旧友
純子に電話をした。純子は同じバンド仲間で共通の友人だ。
「久しぶりね。どうしたの?元気してる?レナと別れてからだから10年ぶりかしらね。貴方達絶対結婚すると思ったのに。歩はもう家庭持ったの?私はね、もう子供2人居るのよー。まだレナは結婚してなかったと思うけど、でも3年やり取りしてないからなぁ。分からないなぁ。って聞いてないわね。ところで何?」昔と変わらず、純子はよく喋る。そしてこちらの話をさせてくれない。
「レナが病院に担ぎ込まれて、家族の連絡先を知らないかな?実家の連絡先とか」
「えっあんたたちまだ続いてたの?ちょっと切羽詰ってそうだからナリソメはまた聞くわ。実家の連絡先は知らないけど、お姉さんなら分かるわ。ただお姉さんとも10年以上会ってないから、今も同じか不安だけど。とにかく掛けてみて。私から連絡してみようか?」俺は断った。純子に容態が回復したら連絡すると一方的に電話をきった。いつも雑な扱いをして申し訳なく思う。そう思うのはいつも一瞬であることを10年ぶりに思い出した。しまった、レナの姉の名前を聞くのを忘れてしまった。取り敢えず早く知らせなきゃいけない。どう伝えよう、レナの容態や何があったかも。