病院
病院に着くとすぐ手術室に運ばれた。何人もの医者が目の前を行き交う。こんな時俺はどうすべきだろう。ただ立ちすくむしかなかった。
何時間たっただろうか、医者が手術室から出てきた。明らかに表情は暗く、間違いなく俺自身が覚悟を決めなくてはならない状況に違いなかった。
「あなた、恋人の方?」妙に馴れ馴れしく問いかけられた。
少し頷くと、「本来は家族に伝えるべきことなのだが、、、、家族の連絡先は知らないかね。彼女のご両親とか。」レナの父親には一度だけ会ったことはあるが、もちろんレナの実家の場所も知らなければ連絡先も知らない。ただ咄嗟に出た言葉は「入籍を来月に控えてますから、容態を教えてください。」一瞬その医者は躊躇いを見せたが、話してくれた。
「奇跡的に一命は取り留めているが、意識レベルはかなり低い。現状人工呼吸器無しでは自分で息をしていない。脳死までは至っていないが、かすかな反応のみだ。早く近親者に知らせなさい。」
俺はただ頷くのみだった。
まず俺はレナの家族の連絡先を見つけなきゃならない。
唯一レナと共通の友人がいる。そいつに頼るしかないか。なんて話そう。