それから①
あれから25年が経った。
俺は某有名ホテルのウエディングプランナーをしている。もちろんレナが就いていた仕事だったというのもあるが、夫婦の幸せを形にする仕事を純粋にやってみたいと思ったからだ。この25年間結婚式のあり方は変わったが、表現の違いはあれど、幸せと感謝を表すことは普遍的だ。これでもサプライズウェディングが得意分野になり、色々な趣向で人々を驚かせられるようになった。レナが側で見ていたらまだまだ甘いと言われるだろうが、少しは合格点がもらえるだろう。
翔が大学に入るまでは月に数回会う間柄ではあったが、最近は年に数回程度だ。翔の夢は宇宙飛行士。今はJAXAに勤めて来たるべきに備えて訓練に勤しんでいる。
先日翔から紹介したい人がいるとの電話が入ったため、会いに行った。
「歩さん、紹介するね。相澤唯さん。結婚しようと思ってるんだ」
「そうか。それは良かった。もう翔も35歳だからな。気にしてたんだけど、本当におめでとう!」
お似合いな2人だった。相手の女性はどことなくレナのような雰囲気があった。気のせいかもしれないが。
「それでお願いがあるんだけど、結婚式お願いできないかな?」
「もちろんだよ。これほどの喜びはない。任せてくれ」