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友達
その手紙を俺は紙袋いっぱいに詰めて持って帰ることにした。翔は内容がだいぶ気になったようだが、香澄が2人のことだからそっとしておきなさいと窘めた。
このアパートもだいぶ老朽しているのだろう、隙間風が冬の厳しさを教えてくれていた。
片付けも終わり、ではまたと香澄に伝えた。香澄から
「時々、この子の面倒見てくれる?私も色々と仕事があるものだから、暇な時で良いから」
「もちろんですよ。レナとの約束ですから」
「何の約束?」
翔が不思議そうな顔でこっちを見る。
「レナちゃんが翔のこと、宜しくって言うからさ」
「宜しくってどう言うこと?」
だいぶ難しい質問だが、
「ちょうどいい具合の友達になってくれってことだよ」
「そっか、じぁマブダチだね」
そうだと返した。
翔の父親にはなれないが、決して離れる事のない友であり続ける事を心に誓った。