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レクイエム
「お焼香させてもらってよい?」
崩れ落ちそうになる純子を勝が支えた。
「こんな私の話を最後まで聞いてくれる数少ない親友だったからね。さぁ湿っぽいのは終わり。おッぱじめるわよ、歩!」そういうとドラムスティックを俺に渡した。
「ごめん、鼻息荒くなってる時に申し訳ないんだけど、何やるの?」
「そりゃあんたたちの思い出の曲に決まってるでしょ」
勝が声を整えてる。学生時代と変わらない高音が綺麗に出ていた。純子がギターの音を合わせてる。久々に聞くが、やはり一級品のギタリストであることは間違いなかった。学生時代レコード社からの誘いもあったほどだから、純子の奏でるギターにはなんの不安もなかった。少々危惧しているのは純子の出で立ちだ。今にも<紅だ!!!>と叫び出すのではないか一抹の不安を覚えた。
俺はドラム位置の確認をした。さすが勝と純子、俺の定位置を知ってるかのような配置。
「さぁ、レナに捧げるレクイエムの始まりよ!」
純子の気合の入った掛け声が合図になった。