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友との再会
「歩さん、この人たち誰?」明らかに翔は恐れた表情で俺の方を見た。
「レナちゃんのお友達。危ない人ではないよ」
<たぶん>という言葉を付け加えるのが正確な表現だったかもしれない。
「手伝いなさいよー」
大声で純子が叫んだ。ドラムセット、ギター、マイク、アンプなど多くの機材がトラックに積んであった。
「えっ勝?」
「久しぶり。こんな時でしか来れなくてごめん。大変だったな」
「まぁな。とにかく中に入ってくれ」
勝は昔と変わらず口数が少ない。
「ちょっとあんたも手伝いなさいよ」
「はい、ママ、わかりました」
「ん?どういう事だ?」少し状況が掴めずにいると、純子から話してきた。
「あっ言ってなかったっけ。私たち実は夫婦。あたしの才能に惚れ込んじゃったみたいでね。猛烈なアタックに落ちちゃったのよね」
「おっ、おう、そうだな」
言わされた感じが強いが勝は否定しなかった。
「覚えてるわよね、ドラムの感覚」
10年ぶりだがたぶん知ってる曲であればやれる自信はあった。
「もちろん」