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永遠に
俺はレナに手を握りながら寝ていたようだ。生命維持装置のアラーム音で目が覚めた。
「えっ、、、」
ナースコールを何度も押した。
「早く来て下さい」
程なく数人の看護師と堤がやってきた。
堤はすかさず心臓マッサージをした。いままで見たことのない形相で堤は心臓マッサージを続けた。
AEDを使っても、心臓マッサージをしてもレナは動かない。
「瀬崎さん、返ってこなきゃ。まだそっちに行っちゃダメだ!帰ってこい。歩さんのために帰ってこい」
10分ほど経ったのだろうか、別の医師がやってきた。
「堤先生、、もう、、、やめないか」
初老の医師が堤を止めようとしたが、制止を振り切って無我夢中で心臓マッサージを続けた。
「堤、いい加減にしろ」
初老の医師が堤の両腕を掴んだ。
堤は放心状態だった。
「レナ、がんばったね。辛かったね」
俺は頬ずりをした。どれくらいだろうか、1時間だろうか、半日だろうか。離れることは出来なかった。永遠の別れになってしまうから。