俺とアイツの関係③
2006年俺は就職をした。就職先は大手銀行。やりたい事なんて無かったんだ。ただ安定した生活でアイツと暮らせるのならば。
社会人と学生。いままでと同じように一緒に過ごせる時間は少なくなっていった。サークルのOBから言われたのを思い出す。「学生時代のカップルってのは90%の確率で社会人になると遅かれ早かれ別れるもんだ。これは俺の統計上間違いない。」今思えばかなり的を得ている。さすが上山先輩。お互いの時間軸が少しずつズレてきて、それを修正する術をほとんどのカップルはもったいないのだ。いや持とうとするのなら、お互いどちらか自分の生活を犠牲にしなきゃいけない。俺とアイツの関係も、いつも側にいた関係から、少しずつ時間的、空間的距離のある関係に変わっていってきたのだろう。それでも1ヶ月1度会う事を辞めなかった。それはその関係を終わらせるつもりが俺には毛頭無かったし、アイツもそれに答えてくれたから。そんな生活が1年続いた。今思えば続けられたのは、俺じゃなく、アイツが俺の時間軸に合わせてくれてたんだと今は思える。気づかなかったんだよ、俺は、アイツの優しさに。