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双子座
「カストルとポルックスは異父兄弟なんだけど、カストルは人間、ポルックスは神の力が宿っていたんだって。ポルックスは神様だから死ぬことはなかった。2人は仲の良い兄弟だったんだけど、カストルはある戦で命を落としてしまったんだ。ポルックスはその悲しみに耐えれなくて、ゼウスにカストルも神にして欲しいと頼み込んだんだ。でもゼウスは条件を出した。2人とも半分人間、半分神になること。一日置きに天界と人間界を行き来することを条件にしたんだってさ。だからね、ポルックスはカストルと一緒に一等星の隣同士で仲良く並んでるだってさ」
「私はポルックスみたいに歩を連れてったりしないわよ」
レナは少し笑みを浮かべたように言った。
俺はその時言葉が見つからなかった。俺はポルックスのようにレナを失っても取り返すことができない。ただ夜空を眺めていることしかできなかった。星が流れる。星が降る。あまりに綺麗な星空の下、この時が永遠に続くことをただ願うほかなかった。
「ねぇ、歩、私あなたに話さなきゃいけないことがあるの」