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天体観測③
星が降る。その表現が正しいのだろう。数個の星たちがこちらに向かって降ってくる。西へ東へと。しぶんぎ座流星群だ。
「凄い、凄い。歩、これはどういうこと?」
「これが流れ星だよ。レナ、願い事しなきゃ!」
俺の首にかかっていた両腕を離し、俺の顔の前で手のひらを合わせてレナは願った。
「歩むの分も祈るから、願い事は何ですか?」
「今この時、この瞬間が永遠に続きますように」
「オッケー」
か細い声でレナが返事をした。
1つ星が流れた。レナは小さい声で俺の願いを唱えた。
「レナ、双子座の話してもよい?」
「うん、歩のオタクっぽいところ結構好きだよ」
「あのね、一般常識レベルです。ほら、あそこを見てごらん。冬の大三角の右の方。2つ明るい星があるのわかる?」
「うん、わかる、わかる」
「あの2つの星がカストルとポルックスっていうんだ」