大晦日
もうすぐで2018年が終わる。つい1ヶ月前にこんな状況で新年を迎えるとは思いもしなかっただろう。10年間の空白を埋めるようにレナと一緒にいる。今、レナの容態は安定しているが、いつ病魔が襲いかかって命を奪っていくかわからない状況に不安を感じていた。
「ハッピーニューイヤー!」
やけに明るいレナの声で眠気が飛んだ。
「歩、人生初の2人の新年だね。今年もよろしくお願いします」
「確かにそうだね。あけおめ、ことよろです」長く付き合ってはいたが、学生時代はどうしてもお互いの実家に帰ったりしていたから、こういう機会はなかった。皮肉なものだが、確かに初めてレナと迎える新年になった。
「歩さん、今年の抱負は?」
突然難題を突きつけられた。
「うーん、そうだな〜整理整頓?」
「つまんない男だね」
「じぁ、レナは?」
「愛する人たちが私が居なくなってもその人が生きていけるようにすること」
レナにとって凄く辛い言葉であるはずなのに、強い言葉で俺の胸に刺してきた。
「何言ってんだよ。デズニーランド3回行くとかにしろよ」
「そうね、じぁそうしとくわ。あとUSJと富士急も1回ずつね」
「富士急は付き合えないよ。早い乗り物は苦手だから」
「ダメよ、私も病気辛いんだから、そんぐらい付き合いなさい」
「承知しました〜」
そんな会話をしながら2人は眠りについた。