愛の在り方
堤から許可をもらったことを早くレナに伝えたかったが、ぐっすり寝ていたので明日にしようと思った。俺自身病室に泊まるのも慣れたものだ。簡易ベットで横になり、レナの帰省をどう安らぎを与えられないか考えた。
車でおよそ5時間の往復。寝ながら乗れる車を探さなきゃいけない。あれこれ考えているうちに深夜になっていた。
どこからかすすり泣く声が聞こえる。
「歩、起きてる?」声の元はレナだった。
「うん、どうした?」
「死にたくない。自分で命を捨てようとしてたのに、どうしても死にたくない。死ぬのが怖い」
「一緒に付き合おうか。ずっとに一緒にいるって約束しただろ」
「馬鹿なこと言わないで。絶対そんなことしないで。少なくてもあなたの心の中だけでも生きていさせて」
俺は頷くことしかできなかった。レナの苦しみ、辛さ、どれも変わってやることができない。死への恐怖にレナが飲み込まれそうになっているのをただ見ていることしかできないのか、俺はただ側にいることしかできなかった。暗闇の中で手探りでお互い手を探しあった。レナの手は恐ろしく冷たかった。
「レナの怖さ、辛さ、不安、半分もらえないかな?」
「側にいてくれるだけで充分よ。病気になって、ずっと真っ暗な世界を生きてきたから、歩は私の光だった。キラキラの一筋の光。だからずっと私を照らしててほしい。後少しだけ一緒にいさせてね」
俺は手を握り返した。何もしてあげれることはないけれど、今日この手を離してはいけないことだけははっきりしていた。