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夢
「レナ、もし自分が病気じゃなかったら、って想像して、叶えたい夢ってある?」俺はあまり夢って言葉が好きじゃない。なぜなら叶わないことのほうが多いからだ。小学校の卒業アルバムに書かれてた夢がどれほど叶えられてるだろう。もしかしたら凄く残酷なことをレナに聞いているかもしれない。
「そうね〜」少し考えて、そして明るく答えた。
「一つ目は長野の満天の星空を歩と見ること。歩はずっと東京にいるでしょ。星の名前はたくさん知ってるくせに田舎の綺麗な星空を知らないと思うの。歩、絶対感動するはずよ。
2つ目は中途半端になっちゃったウエディングプランナーだね。どの結婚式も幸せそうだったんだけど、まだやりたりないかな。準備は凄く大変なんだけど、良い結婚式披露宴ができると達成感があるの。だからもっと続けたかった。
3つ目は翔の結婚式に出ることかしら。お姉ちゃんは結婚もしないで子供だけ産んじゃったのよ。だからね、家族の結婚式に出てみたい。せっかくウエディングプランナーだから私が最高の結婚式をプロデュースしたいわね」
残された時間はあとどれくらいあるだろう。