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病状
18時ごろ病院へ着くとレナの父親がいた。レナの父親もだいぶ憔悴しているようだった。
「こんばんは。今日のレナさんはどうですか?」
「ずっとこんな感じだね」力のない声で、レナの方を向いた。
「意識が戻らない可能性が高く、こんな時でも癌の進行は止まらないようだ。このまま目を覚まさず、死んでいってしまうのだろうか」
なんと声をかけたら良いのだろうか。言葉が見つからない。
「待ちましょう。ただ私はそれを願ってます」
レナの父親はこちらに顔を向けず話し始めた。
「実はね、2年ほど前までずっと音信不通だったんだよ、レナと。香澄とは連絡を取り合っていたようだが。レナが社会人に出てからだから、5年くらいだろうか。まぁ元気に生きていてくれるならそれで十分だった。父親としても役目を終えたのかなぁと思っていたんだ。2年前香澄からレナが癌になったと聞いて、そこからやっと会って話せるようになったんだ」
音信不通の原因はなんだったんだろう、会話をしながら疑問が湧いたが、今は聞いて良いタイミングだと思えず、俺はただレナの父親の言葉を聞き入れるだけだった。