真相
姉の香澄もレナに似て凄く意志の強い女性に見えた。そして母親の死の真相を語り始めた。
「その時もレナは自殺を考えてた。家に誰もいない時を見計らって死のうとしたの。引きこもりだから、あくまで感覚で家に誰もいないだろうと思って、キッチンのガスの元栓をあけて、一酸化炭素中毒を図ったのよ。私たちの家は少し不思議な作りをしてて、キッチンとリビングが二階にあったの。レナは何かで調べて1番楽に死ねるのは何かを考えてそれに至ったみたい。でもね、レナは死ねなかった。
たまたまその日ね、共働きだったお母さんが体調を崩して、キッチンの下の部屋で寝ていたの。一酸化炭素ってね、空気より重いから下の階にいってしまって、母がその犠牲にあってしまった。それが真相よ。
レナは自分を責めたわ。目を離したら本当に危ないくらい。何度も何度もレナは死のうとしたわ。お父さんも私も本当に辛かったけど、レナをどうしたら元気な頃のレナに戻せるかすごく考えたわ。それがね、バンドだったのよ。彼女なりの答えだったんでしょう。バンドやってる時は全てが忘れられるって。高校にはこの真相は伏せてなんとか通わせたわ。凄く私たち家族が悩んだのは東京の大学に通いたいと言った時ね。本当に不安だった。でも歩さんと出会えたから、レナにとって良い意味で人生を変えてくれたんだと思うわ。」
それから香澄から新たな手紙を受け取った。
「さっきお父さんががレナのアパートに行ってきたの。あなた宛の手紙。きっと遺書なんだと思う。開けてないわ。読んであげて。」
お決まりのパターンといえばそれに尽きるが、香澄の居る前では開ける事が出来そうにない。俺は香澄に提案をした。
「今日は私が病室に泊まっても良いですか?」
「さすがにそれはって言いたいところだけど、お言葉に甘えようかしら。お二人でごゆっくりしてください。」
何かを悟ったように香澄は了承してくれた。