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母親の死①
18時なんとか仕事を次の日に持ち越さない程度に切り上げて、支店を後にした。本来なら手土産を買わなければいけないのだろうが、とにかく病院へ急いだ。
病室へ着くとレナの姉がいた。
「こんばんは。レナさんの容態はいかがでしょうか?」
「変わらずだね。自分で呼吸ができているみたいで少しは安定してるようだけど、目を覚ますかどうか。」
昨日からレナの姉も寝ていないのだろう、疲労感が伝わってきた。
「お父様はどちらに?」
「あー、私の子供を見てもらってるの。さっきまでいたんだけどね。歩さん、父のことは気にしないで大丈夫よ。昨日の事は私からちゃんと説明しておいたので。」
「そうですか。実は直接お父様にお会いして聞きたい事があったんですが。」少し、いやだいぶ緊張してレナの姉に言葉を伝えた。
「私で良ければ聞くけど。どんなことかしら?」
俺はおもむろに10年前別れた日に受け取った手紙を見せ、そして母親の死の真相を聞いた。