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次の日
あれから10年経った。あの時の気持ちと今日あったこと。俺にとってレナの存在は大きすぎるんだと改めて感じた。
朝が来た。あまり寝れなかった。家のポストに入った新聞を取り、それでも仕事に向かわなくても行けないという半ば強制にも満ちた感情で電車に乗った。
レナと別れてから俺は死に物狂いで働いた。脇目も振らずがむしゃらに。お陰で同期の中ではトップの出世頭だ。レナのことを考えないように生きてるすべての時間をほぼ仕事に費やしたのだから当然の結果といえば当然の結果だ。10年間誰とも交際しなかったわけではないが、どの女性ともすぐに別れてしまった。いつもレナと比べてしまったからだ。頭の中から忘れようと思えば思うほど強く頭にこびりついて離れなかった。
とにかく今日は早く仕事を切り上げよう。仕事場から病院まで幸いなことに30分で着ける。恐らく今日はレナの父親もいるだろう。俺がどう思われているか不安だが、10年前にレナからもらった手紙の真相を聞きたいと強く思っていた。