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チートみたいな気がしないでもない

ドラゴンを見た時はまだ実感が無かったが


初めてモンスターと相対すると足が震える

それはそうだろ

だってアイツ、俺を殺して食う気なんだぜ


「どわああああ!」


ィィィ…


シールドが奴の爪を弾く


空中が波打ち、見えないシールドが守ってくれた


「くっそ、ビビるってこれ!」


「ご主人様頑張ってー!」


かなり後ろに対退避したアイは俺を応援していつ用意したのか旗を振っている

足はプルプルと震えてまるで自分の足じゃないみたいだ


「はあ、はあ」


目覚めてからよくわからんままこんな事になってるなんてなぁ

眠る前は想像すらしてなかった


「うりゃ!」


俺の降った刀が空を切る

当たらねぇ!

そんなに重くない刀だが、まるで力が入っているような気はしない


「ぐるるるる」


「ヨダレ垂らしてんじゃねぇよ怖いだろうが」


必死に強がりを吐く

そういえば銃もあったな

ホルスターから銃を取り出して構える


この銃は反動がほとんど無い

だから片手で楽に扱える


ドンッ


地を蹴りネコ科のモンスターが俺に飛びかかる!

同時にトリガーを引く


カンっ


カカカカカッ


空中じゃ身動き取れねーだろこんにゃろ!


銃を何度も打ち込むと


モンスターは打たれた反動で仰け反り

そこに乱射したものだからそのまま吹っ飛んだ


死んだか!?


どさりと落ちた。だがモンスターはゆっくりと、だがしっかり立ち上がり、ぽたぽたと血を流している


どんな耐久力だ!


刀を構えて走る、モンスター横まで来たが反応する素振りはない!いける!

俺はモンスターの首目掛けて刀を下ろしたー


「お見事ですご主人様!」


振り向くと

いつの間にかアイがそばにいた


「あ、ああ何とか倒せたよ…」


ほんの少しばかり放心していた様だ


「さっそくカード見てください。多分Lv上がってますよ」


ん?ああ、Lvか…っておい


「Lv17になってる…」


上がりすぎじゃね?

それだけ経験値とやらが美味しいってことなのかな


「まあまあですね!かなり身体は強化されてますから次は楽チンですよご主人様」


そう言ってアイはコップに水を入れて渡してくれた


ゴクリと飲み込むと…


「うまっ。何コレ」


「栄養ドリンクです。Lv上がるとかなりエネルギーを必要としますから」


ふうん、そんなもんかね


アイは手馴れた感じでモンスターを腑分けして心臓のあたりから黒い石を取り出す


「これが魔石です」


そう言って見せてくれたが、よく分からない


「コレは小さいですが、大きなものだと1メートルくらいのもありますよ」


どんなサイズのモンスターだよそれ

今のでも5センチくらいあるのに…


ちなみにネコ科のモンスターは体長2メートルはあった


その後も、アイがモンスターを見つけては俺が何とか倒すを繰り返して

Lvは30まで上がった





「お疲れさまです。さて、そろそろ一旦引き上げましょう」


「はあ、はあ、はあ」


栄養ドリンクを飲んでも疲労は取れないらしく

もうヘトヘトだった


何とか街まで歩いて帰って、アイが取った宿に着く


扉を開けて宿に入ったとたんに、やっと寝れると緊張の糸がきれて


バタンとそのまま倒れて気を失った



夢を見た


かつて、どこかの牧場で

牛を捌く夢だ


命を繋ぐと言うことは、他の誰かの、何かの命を頂いていると教えられた


もっともだと思った


だから俺は、勇気を出して日本刀を振りかざす

目の前のモンスターに向けて


俺は生きたい。だから、すまんと心で想いながら刀を振り下ろすんだ



「ねえ健司さん。お酒は色んなことをぼやかしてくれるね」


「そうだな」


「だから、貴方が眠りに付いたらきっと私、凄く飲んでしまうかも」


そんなこと俺に言うなよ…


もう、片足が溶けてきてんだ…このままだとあと1年もしないうちに俺は死んじまう


だから俺も、ぼかやすために酒を飲むんだ







「お目覚めかい?」


どこだココ?

昨晩飲みすぎたかな…

見覚えのない天井。まるで田舎にあるキャンプ場のロッジみたいだな

窓からの月明かりか、明るい


ふにっ


「やだね、どこ触ってんのさ!」


「え?」


見れば手のひらには見覚えのない尻が…


「うわっ!すみません!」


慌てて飛び起きて体制を整える


「あはは!いいんだよ、わざとじゃないんだ」


「えーと、あなたは?」


何となく昔美人で、今もそれなりにモテそうな女性がそこにいた


「わたしゃノルン。この宿の主さ、あんた帰ってきてそのまま倒れて寝ちまってたんだよ」


「はあ…倒れて寝てた?」


「あ、ご主人様お目覚めですかー?良かったぁちょっとやり過ぎました」


パタパタと水を持ったアイが駆けてきた


「まったくだよ、Lv幾つ上げたんだい?1や2じゃないだろう?」


「あはは」


アイが申し訳なさそうに頭をかいた


ああそうか、夢じゃなかったんだな

俺は無事に目覚めてこうして無事に生きている



それにしてもぶっ倒れたのはアレか、無理やり栄養ドリンクでLv上げの栄養補ってたけど、それでも過労になったんだろう


「さ、アンタ腹減ってんだろ?そこにおにぎり置いとくから食べな」


そう言ってノルンは出ていった


「優しい人だな」


「ええ、ウチの客が死んじまうとか言って部屋まで運んでくれましたし」


「今、何時だ?」


俺はおにぎりを掴んで食べる

うん、美味いな


「もう真夜中です。もう少しお休みになって下さい、明日はギルドに魔石を納めに行きましょう」


「ああ、分かった」



腹も膨れた俺はもう一度寝る体勢になる

そういや、起きてから初めての食事だったな…


おにぎりはやっぱ美味いなぁ…


この時代にもちゃんと米がある事に安堵した


酒はあるのかなと思いながら眠りにつくのだった





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