ギルド
カードを受け取りエンと言う名前の金貨を収納キューブに入れると、俺たちは一旦広間に戻る
「でだ、アイ、説明は」
「はい!カードとは本人の魔力を通せばその人のステータスが表示されます。元は医療用のキューブが元になっていて、色々身体情報が表示されて身分証明みたいな扱いになってます」
ああ・・・確かにこれキューブだわ。正方形ではないけど四角いもんな・・・カードだけど
ああ、だから1万円も取られるのか
「Lvってなんだ?」
「Lvとは魂の器の強さを表すものです。モンスターを倒すなど、経験値を得ることにより成長し、それに合わせて肉体なども強化されます」
「なんだそれ・・・ゲームか?もしかして俺はまだ眠っていてアイザックが見せている夢かコレ」
「いいえ、現実です。1500年くらい前にあった人類の進化計画の結果、魂の強さにあわせ肉体が強くなるようになりました。あとアイって呼んでくださいってば」
「よくわからんな・・・あとなんで俺に魔力なんてもんがあるんだ?」
「そのように調整しましたので。肉体値なども当時の最高スペックだと思います。ワンオフものですよ?」
アイはニコニコしてそう言った
ふむ、これはあれか・・今の人類のスペックに合わせて肉体改造されて目覚めたと思って良さそうだな
「分かった分かった、んじゃそれはいいとしてこれからどうするんだ?」
「そうですね、適当に宿を取ってから少しモンスターでも狩りに行きましょう!」
モ・・モンスター?
「魔石を集めて、経験値も溜まっておいしいですよー」
アイはそう言うとギルドに教えてもらった宿屋に歩き始める
魔石なあ…さっきのギルドのお姉さんの話じゃ、通貨の代わりになるような事を言っていたな
「しかし、キューブは高く売れるんだな」
「この時代ではキューブの生産プラントはもうありませんから。私達のプラントを含めても」
「なっ!おいおい、それじゃ凄い貴重品じゃないか!?あと幾つあるんだ?」
「安心して下さい、必要数は確保できてますし…そもそももうそんなに必要ありません。ちなみに今ギルドが買い取りしているキューブは発掘品が主でしょうね」
まあアイが言うなら大丈夫なんだろう…
3000年稼働したAIだしな
もはや想像出来ない域に達しているわが子だ
見た目もまるで人間にしか見えないし
聞けば、ほぼ変わりないそうだし
食料も必要だし、排泄もするとか。まさか…
「生殖もできますよ」
心を読んだ!?
まさか何かを仕込んであるのか俺の体!
「さて、宿の部屋をとってきますから待ってて下さいね」
アイは何事も無かったようにそう言って宿屋に入って行く
ホテルニャーオターニ
微妙に惜しい名前だなあ…
そう言えばモンスターを狩りに行くって…魔法で対抗できんのかな
武器…銃とかは無さそうだなあ。もしどこかで発掘されたとしても弾に困るだろうし、稼働するかも怪しい
ギルドに居た冒険者をよく見ておけば良かったなー
「では行きましょうか」
「行くのはいいんだが、武器とか防具はいいのか?」
「はい、収納キューブにありますから街を出たら出します」
「分かった」
俺はこの時代の流儀に逆らうのは辞めようと心を決めて前向きに考える事にした
街を出ると、広い街道がありそこには馬車なども行き来している
ちなみに馬車は馬が引いているが、俺の知る馬ではない。なんか大分違うな…長毛だし
でも馬と言うのは分かる
「さて、そろそろですね」
そう言うとアイは武器…刀を取り出した
日本刀か?
それと…銃だなオートマチックの
銃あるじゃん
「この刀は単一素子で作られた刀で、傷つきませんし、一部魔法が付与されています。あと銃ですが基本的に弾は内部で生成されまして、その辺の土をカートリッジに詰めてください。それでOKです」
「お、おう」
「銃はこちらのホルスターにどうぞ。刀は最初は腰に差して慣れてください。慣れたら背中にでも良いですし」
言われるがままに装備する
何だか変な感じだ
「防具の代わりにこちらの指輪をどうぞ。物理攻撃と魔法攻撃を防ぐシールドを展開します」
指輪は指に通すとサイズが自動的に変わる
とりあえず日本刀は試し斬りしてみる。その辺の木を切ってみるとまるで溶けたバターを切るくらいの感触ですっぱり切れてしまう
銃には土を詰めたカートリッジを差し込んで撃つ
カンっと言う乾いた音で発射された弾は木に小さな穴を開けた
「サブマシンガンモードもありますよ」
スイッチを入れて撃つとおおよそ100発がわずか2秒程で発射され、的にした岩が消し飛んだ…
「なあ、コレヤバくないか?武器として強すぎない?」
シールドは試すことが出来ないので保留とした
「まあ、この辺りのモンスターならコレで十分ですが、他の場所にはこの程度では倒せないのも生息してますからね」
マジでか!?
そう言えば最初に見たドラゴンなんかはコレじゃあダメな気はするが…
「ドラゴンなんかは生物と言うより魔法に近いですからね。時空振動系の魔法とか使われたらその刀でも折れちゃいます」
「…マジか…」
「ご主人様のLvが上がれば対抗出来るようになりますから安心して下さい」
何それ。Lv上がるといけるようになるの?
つか俺の体どうなってんの?
「とりあえず初戦の相手来たみたいですよ!カートリッジに土を詰めて下さい!」
アイが指さす方向に居たのは1匹のネコ科っぽいモンスターだ
俺は土を詰め、銃をホルスターに戻してから刀を抜いてぎこちなく構えた
ええ・・・またミス。もういいや、投稿してしまえ的な