目覚めは気怠く
目が覚めると、そこにはアイと姫さん、爺が居た
「あー気を失ってたか」
まだやや体が重い・・・
「お主、何者なのだ?あの様な魔法見たことが無い」
爺が言った
「大丈夫ですか!?」
姫さんだ
ふむ、どうやら3時間ほど気絶していたらしい
アイが先程いつもの怪しい栄養ドリンクを口から飲ませてくれたみたいで、それで回復したようだ
Lvが30から38へ上がっていた
このせいで倒れたみたいだな
アイは予想より上がらなかったと言ってブツブツ言っていた
俺をどれだけ強化する気なんだろ?
マトリックスマジックキューブは残念ながら壊れてしまっていたらしい
まあ命より大切なものはないからいいだろ?
爺さんには壊れたキューブで放った魔法とだけ言っておいた
詳しく説明してもわかんねーだろうしなぁ
「そう言えば貴方様のお名前を教えて頂けませんか?」
あ、そか。まだ話してなかったな
「健司と言います。こいつはアイ、であんた達は?」
「私は水上姫奈、こちらは柳一と言います」
へえ、なんだ姫っつーからプリンセスと思ったら名前だったのか
「よろしくな、それで今どうなってんだ?」
これにはアイが答えた
「はい、ご主人様。街の被害はさほど無かったですね、魔族の方は今は牢屋に放り込まれているようです。魔法を使われては行けないとかで魔法が発動出来ないよう首輪をかけられてです」
そんな物があるのか
「あの牛は現在解体中で、夜にはみんなで食べようって事みたいですね」
え?食えんのアレ…まあ牛だけどさ
あの二本足で立ったとことかキモかったっていうか怖すぎるだろ
「お主ら何処からきたのだ?この街のものではあるまい」
爺さん…返答に困るは質問はよしてくれよ
なんて言えばいいんだ?
俺はアイをちらりと見る
「柳さん、私たちはこの近くの山奥で暮らして居ましたが最近降りてきたのですよ」
アイの創作話がスタートした
「ふむ?この辺りに村なぞあったかのう?」
「2人で暮らしていましたので」
俺にはまだ地図が頭に入っていないのでこの辺りが何処かもわからんのだがね
「そ、それで健司様とアイさんのご関係は!?」
「あー。親子?みたいな」
間違ってはないだろう
はうっと、姫さんが目を覆う
親子だと何かショックが?
「それにしてはお2人、年の差があまりにもなさすぎるような」
ああ…そういや俺若返ってるんだっけ
「じゃあ兄妹くらいかな?」
「なぜ適当なんじゃ…怪しいのう。まぁええわ・・・話したくない事もあるじゃろう」
そうそう、気にすんなよー
話を変えよう
「あんたらは何処から来たんだよ?」
「ワシらはアカサカから来た。ワシは代々水上家に仕えておる」
へえ、仕えるねえ。なんか昔みたいだ
アカサカなあ…
「なんか戦国時代みたいな感じだなー」
「ほう、戦国か・・なかなか言い得ておるな。確かに各国の王共は覇権を握らんと小競り合いを続けておるし、3年前にもキューブ採掘場を巡り本格的な戦いもあった」
ほー、キューブ採掘場ねえ・・製造プラントあたりを掘り返してるのかな
あれってどこにあったっけ?確か北海道、東北、東海くらいだったよな
するとアイが耳打ちをしてきた
「このあたりはもともと東海のあたりです」
おお!!てことはどっかに富士山みたいな山もあるのかな
どこかで地図手に入れたいなぁ
アイは持ってないのかな
「このあたりでもキューブが出土した場所があるんですよ、遺跡なんですけど・・・私たちはそこに行こうと思っています」
「ん?姫さん魔法使えていたのにキューブがいるのか?」
「はい・・私達が探しているのは癒しのキューブと結界のキューブと言われているものです」
ああ・・あの役に立たなかった奴か
結界は知らんから眠っているうちに開発されたものだろう
俺が病になった時、まっさきに使った回復キューブ
それは回復魔法を使うための物だ
ひどく燃費が悪く、魔力だけでは発動できなかった
必要なのは「水」と「薬品」だ
その症状に合わせた薬を素材に用いると劇的に回復する
ただ、燃費は悪いが大体の病気に効くため、風邪の特効薬としての地位を築いた
それであれば薬品はなんでも良かったしな
俺がやったのはキューブの初期開発だけだ
それのパテントで大金持ちになって地下医療プラントを作ることが出来た
その後様々な企業や国がキューブの開発をしてくれたので俺自身最初に作った魔法キューブ以外は詳しくは知らない
そういえば・・・俺の家どうなってるんだろう?
あそこには色んな所から送られてきたキューブがあるはずだけど・・もうないだろうなぁ
「あの、健司様?」
「あ、ああすまない。アイ、医療キューブとか持ってないか?」
「ないですねぇ・・・あれは第7医療プラントあたりで全部無くなってしまいましたから」
「そうか・・・まぁいいや、なら姫さん、俺が一緒に探しに行こうか?ちょっと興味あるから遺跡に」
「え!?いいんですか?!」
「姫!!サトシらが調査にでておるではないですか!」
「ああ・・そうでした」
誰だそれ・・・
俺がそんな視線を向けていると
「我々は二人だけで旅をしているわけではないのじゃ
」
「はい、街の外はモンスターがかなり活発な為に護衛を付けております」
護衛ってことは姫さんや爺さんよりも強いんだろうな
確かに昨日Lv上げをしていたらかなりのモンスターに出会った
道から外れたらこれでもかと出会ったからなあ
しかしアレでは旅をするのは大変だろう
だから結界のキューブなのかな?
モンスターを寄せ付けないとか?
とりあえず俺は今のところ目的も無く世界をみてまわるだけだし…アイは何らかの思惑があるようだが俺には分からんしなあ
「ご主人様、ひとまずは昨日の魔石とかをギルドに売りに行きませんか?」
「そうだな」
冒険者の主な収入源は魔石とキューブみたいだから
ひとまずは暮らすためにいくらくらい必要なのか調べないといけないだろう
昨日モンスター狩りをしている時にアイも50年前の物価とかなり違うと言ってたしな
「とりあえずついて行っていいですか?」
「構わねえよ」
あっ!もしかして姫さんと行くとなると
「ワシも行こう」
爺ももれなくついてくるんだな…
まあイイけど




