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スーパーの店員の水野さん  作者: 開墾路花壇
3/15

2 恋のレジェンド 3 彼との出会い。それは、ひとめぼれ

2 恋のレジェンド


 六月十九日 火曜日


 その夏、この町に一つのうわさがSNS上で飛び交った。「恋のレジェンド」。それは、


 七月七日七時七分七秒にメタセコイヤの木の下で、好きな人のグッズを、にぎって願いごとをすると、永遠に結ばれる。


という恋にまつわるうわさが。

 わたしには、関係ないことだと思っていた。でも奇跡は突然、わたしのもとに舞い込んだ。


3 彼との出会い。それは、ひとめぼれ


 六月二十二日 金曜日


 わたしの住んでいる町に、スーパーがオープンした。オープンして一週間くらいは、特別価格みたいなうたい文句で人がごったがえしていたけれど、ピークを過ぎた今はそうでもない。なのでわたしは、行ってみることにした。

 この日、わたしは「パイの実」を買うために売り場に行った。欲がでて三箱胸に抱えていた。今思えばそれがすべてのはじまりだった。

 抱えていて、動きと下への視界が、いつもより確かに悪かった。あと、雨が降っていて、傘も持っていた。それで、その傘の先が、ななめっていて、すれ違い様、その傘の先が、人にぶつかったのだ。持っていたカバンがわたしから離れて、すこし宙を舞い、わたしの元にまた、戻る。その衝撃で、わたしはというと、抱えていたパイの実を床に落としてしまった。三箱とも全て。ぶつかった男―ヘッドフォンをつけた見るからにオタクっぽい―は、そ知らぬ顔で通りすぎていく。ちっ、オタクめ、わたしは内心、舌打ちをした。わたしはそのまま前かがみにかがんでパイの実を拾おうとした、まさにそのときだった。

「あのー、大丈夫ですか?」

 声のするほうを向くと、そこにはイケメンのお兄さん。ニコっ。笑顔がとてもまぶしい。そこから見える歯が、ピカリ、まっ白だった。一瞬、わたしの知らないジャニーズのグループの人かな?って思った。それくらい彼は、まぶしくてカッコよかった。ドキっとした。胸がしめつけられるくらいキュンとなった。

「はい。大丈夫です」

 わたしがとっさにだした言葉だった。すると彼が、なぜかとまどいながらこう言った。

「じゃなくて、あのーう」

と、イケメンの彼の視線が、段々と、わたしの下のほうを、向いていく。その視線の示す先、わたしの下半身へと。・・・・・・えっ!わたしの、ショーツが……見えていた。しかも前の方。って、ちょっとー!わたしはあわてて、めくれあがったスカートの、すそを直した。恥ずかしくて、彼の顔を、直視できない。赤面とは、このことだ。それにしても、あの、オタクっ!すれ違いざま、わたしのスカートの、すそがめくれあがって、わたしはそれに気づかず、そのままカバンを、上から押しつけてしまったのだ。もう、ホント嫌になっちゃう。わたしは、赤面したまま、その場をあとにした。拾った、パイの実三つを持ってレジへと。

 それにしても・・・・・・茶色のサテン地でよかった。

 

 六月二十二日 金曜日 雨、彩穂にとっては、のち晴れ。

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