2XXX年
青い空に流れる飛行機雲が僕の道を示してくれる。君の道は、こちらだよと。
~2XXX年~
日本は、いや世界はとても発達していた。機械化が進んだ事はもちろんの事、すべての世界が民主主義社会になり目まぐるしい発展を遂げていた。戦争もなくなり、世界は一つになっていた。どこの国へ行くにもパスポートというものはなくなり、全てが自由化され本当の”平和”が世界中を包んでいたのだ。
僕も、その”平和”の中に生きている人間だ。
「アキル、今日の予定を教えてくれないか」
「今日の予定は、12時会食、15時会議、19時からはデートです」
一日の大まかな予定を教えてくれているのは、僕の秘書ロボットアキル。記憶力が優れたロボットだ。
「ありがとう。カコミ、今日の夕飯はいらないから」
「かしこまりました、智様。行ってらっしゃいませ」
もう一人、いやもう一体この家にいる。家事ロボットカコミ。掃除に洗濯、ごはん支度家事全般を得意とする。それ以外にも、様々な点で気が利くロボットだ。
各家庭に一台はロボットがいる。それぞれ特性があり、買う人のニーズに合わせて作られている。
ロボットと言うと、固くゴツゴツとした物をイメージするが、全く違う。皮膚も柔らかく、髪もフサフサトしている。まるで、生きた人間のようだ。いや、正確に言うと”生きていた人間”と言った方が正しいかもしれない。