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シリコンの思い出

作者: 衒学者

インターネットが人口に膾炙し始めた古い時代、私はかつてまだ分厚かったパソコンの前に座り夢中になっていたものだった。掲示板の向こうにいる者、MMOを共にするプレイヤー、動画投稿者達…そんな物語に魅了されていたものである。


しかし月日というものは早いもので、元々ある版権の魔法使いに召喚されていた人間達は様々な世界を渡り歩き始めた。それがやがて転生という形を取り出したのはもう十五年以上前からの話である。そんなテンプレも薄れ始めているのが昨今の界隈だ。


オンラインゲームはソシャゲにシェアの大部分を奪われて十年以上の月日が経った。約二十年前に全盛を迎えた動画サイトは死に体になって久しく、掲示板は過疎化が止まらず、名前すら変わった。FLASHの機能は停止してもう五年は経っただろうか。今やいくらかの動画がその一部をかろうじて保存しているだけで、大部分は遠い記憶の中で失われている。


昔が良かったとは言わないし言えない。古き思い出は失われ、美化されるものだ。2008年くらいに大学生だった人間なら、少なくとも36歳くらいになっているのだ。それぐらい経てば大抵のものには飽きてしまうし、やるべきことも多くなっているだろう。案外何かのソシャゲでもやって生きているのかもしれないし、飽きずに変わらない場所で遊んでいるかもしれないが。


しかし故郷が寂れて哀愁を感じるように、時の移り変わりに無常を感じる。それほどまでに時は過ぎ、歳を重ねてしまったのだ。

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