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剣も魔法も平均以下の少年領主、数字と制度で破綻領地を国家にする  作者: 芋平


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第8話 農地改革

 畑に人が集まっていた。


 鍬を持つ者。

 腕を組んで動かない者。

 露骨に不満を顔に出す者。


 アレクはその中央に立ち、深く息を吸った。


「今日から、農地の使い方を変える」


 ざわめきが広がる。


「今までの畑だけでは、足りない。

 休耕地と放棄地を再利用する」


 一人の農民が声を荒げた。


「そんな土地、作物が育たねぇ!」


「分かっている」


 アレクは頷いた。


「だから、やり方を変える」


 彼は地面に木の棒で簡単な図を描いた。


「同じ作物を作り続けるのをやめる。

 年ごとに作物を変える――輪作だ」


 農民たちの顔には、露骨な疑念。


「聞いたこともねぇ」


「失敗したらどうする!」


「俺が責任を取る」


 即答だった。


 だが、その言葉は軽く聞こえたかもしれない。


 改革は始まった。


 だが、現実は甘くなかった。


 数日後。


 芽が出ない畑。

 水はけの悪い土地。

 作業に慣れない者たち。


「領主様……」


 役人の声が重い。


「予定より、進んでいません」


 アレクは歯を噛みしめた。


(知識だけじゃ、足りない)


 前世の記憶はあっても、

 この土地の土を、彼は知らなかった。


 村では、不満が膨らむ。


「やっぱり机上の空論だ」


「余計なことをしなけりゃ……」


 その夜。


 アレクは一人、畑に立っていた。


 冷たい土を、素手で掴む。


(……失敗した)


 初めて、はっきりとそう思った。


 剣も魔法もない。

 知識も万能じゃない。


 自分は、まだ若すぎる。


 だが――。


 足音が近づく。


 カイルだった。


「……やめるのか?」


 アレクは首を振る。


「やめない」


 ゆっくりと立ち上がる。


「やり方を変える」


 翌日。


 アレクは農民たちを集めた。


「俺が間違っていた」


 ざわめき。


「土地のことは、俺よりお前たちの方が知っている」


 彼は頭を下げた。


「教えてくれ。

 この土地で、どうすれば育つ?」


 沈黙の後、一人の老農が前に出た。


「……水路だ」


「水が足りねぇ」


「土が固すぎる」


 次々と声が上がる。


 アレクは全てを書き留めた。


 改革は、独りでやるものじゃない。


 そう理解した瞬間だった。


 帳簿に、新しい文字が加わる。


【試験区画】

【農民主導】

【小規模検証】


(……次は、当てる)


 失敗は、終わりじゃない。

 正しく扱えば、次への材料だ。


 フェルディナンド辺境領は、

 ゆっくりと、だが確実に前へ進み始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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