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第50話 続・屋上にて

 俺がそういうと天音ちゃんはとうとう本をパタリと閉じ、俺の方を向いた。

 やっとこっちを向いてやっとこっちを向いてくれたか……

 

「別に良いと言っているでしょう?あなたにそうやって謝られるのは控えめに言って気持ちが悪いわ」


 天音ちゃんは、ブレザーのポケットに本を仕舞い込み、俺に軽蔑の視線を向けながらそういう。

 相変わらず冷たいというか凍てついているというか……なんだか一周回ってかっこいい気もするな。

 ていうか、それで控えめなんですね、天音ちゃん。本心で言ったらどんな罵詈雑言が飛んでくるんだろうか。

 いやいや、俺は女の子に罵られて喜ぶような人間ではない……はず…… 


「そんなに言うなら辞めておくよ」


 俺がそう言うと、天音ちゃんは少々強張らせていた表情を解いたように見えた。

 ……⁉︎デレるのか!とうとう天音ちゃんが!

 俺はゴクリと喉を鳴らした。


「謝罪はいいから感謝の気持ちを持ちなさい?」


 天音ちゃんは、俺に対して、そう言ってきた。

 いつもの天音ちゃんよりは凍てつかず、少し冷たい程度の声のトーンであった。

 ……これはデレたのだろうか?まさかラブコメ的展開に進んでいくのだろうか?


「感謝してるぞ。ありがとな」

「じゃあ授業に出なさい。峯岸くん」


 ……どうやらデレじゃないみたいでした。好感度メーターはゼロのままっぽいな……

 俺が天音ちゃんへの返答を考えるのにあたふたしていたその時、またもや屋上への来客者が現れた。

 風に靡く綺麗な茶髪、年相応の発育をした体。

 そう、何を隠そう屋上へと来訪したのは八坂であった。


「どうした、八坂?」


 俺は、八坂にそう尋ねる。

 まぁ、いつも通り実行委員会についての話であろう。

 すると八坂は、急に話しかけられて驚いたのか、「え⁉︎」という情けないような声を出した。

 

「いや、今日も委員会だよって、それだけ」


 八坂は一度深呼吸をすると、落ち着きを取り戻したのか俺の方を向き直って冷静にそうつげた。

 委員長を決めたあの回から三回ほど委員会を行い、そろそろ本格的に運動会の準備をするところまで来ていた。

 まぁ、俺は楽しみではないから別になんでもいんだがな。

 運動会でそろそろeスポーツを行なってほしいところだ。

 

「了解、後で呼びに来てくれ」


 俺が八坂にそういうと、八坂はコクリと頷き、屋上から去っていった。

 それと同時に、まるで吹雪でも起こったのかと思うぐらい冷たい天音ちゃんのため息が聞こえてきた。

 俺は恐る恐る天音ちゃんの方を向くと、そこには頭を抱え、何やら真剣に悩んでいそうな天音ちゃんの姿があった。

 ここで無視するのは男ではないと、俺は天音ちゃんに声をかけることにした。


「どうしたんだ?なんかあったのか?」


 俺がそういうと、天音ちゃんの目はより一層鋭さを増し、俺の方を睨んできた。

 天音ちゃんの天音ちゃんのあまりの剣幕に凄み、俺は一歩後ずさりをした。

 

「あなた……八坂さんにまで迷惑をかけているの?」


 ……天音ちゃんの悩みの種はどうやら俺だったらしい。というか薄々気づいてた。

 あれ言った後に天音ちゃんの悩みの原因に勘づいて、「うわやっちゃったよ」って思ったものだ。

 いや、ほんとすんません。次から八坂には呼びに来なくて良いって言っておこう。


「私にも迷惑を掛けないようになってほしいところね」


 ……ぐぅの音も出ません。 

 天音ちゃんがそういうと、ちょうど良いタイミングで校舎中に予鈴が鳴り響いた。

 校庭で遊んでいた運動部のようキャ達は掃除機に吸い込まれるゴミのように校舎へと入っていった。

 見ろ! 人がゴミのようだ! なんつって。

 予鈴がなり終わると同時に、天音ちゃんが「さようなら」と言って校舎内へと戻っていった。

 俺はそのままダンボールにねっ転がり、深い眠りに堕ちようとした。


 それにしても、今になって思い返してみると八坂が何だかそっけなかったように感じる。

 いつもなら「伊吹!今日は委員会だから忘れないでね!」なんて元気な大声で言ってくるはずだ。 

 なのにも関わらず、何だか今日は控えめというか、いつもの八坂に比べて落ち着いているような気がした。

 ただ単に寝不足なだけなのか、はたまた何か悩みでもあるのかと、俺は脳内で思考を巡らせる。

 まぁ俺達とつるんでいるとはいえ一軍の八坂だ。なんか人間関係でトラブルでもあったのだろう。

 俺はそう思い、放課後の委員会で聞くことにした。

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