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第41話 屋上にて

きりが悪いので、間話を後回しにします

「なんだ、天音ちゃんか」


 前から向かってきたのは、天音ちゃんであった。

 天音ちゃんは俺を見るなり腕を組み、怪訝な顔をした。


「なによ、私なら謝るのを途中でやめてしまうのかしら?」

「はいはい、すみませんすみません」


 俺は、軽く受け流した。

 すると、天音ちゃんの怪訝な顔が、より一層怪訝になった。

 

「謝罪もまともにできないのね。だから、友達が少ないのよ、あなたは」


 天音ちゃんが、ニヤッと不敵な笑みを浮かべる。

 い、いや。別に友達はいるし……五人ぐらい……


「五人しかいないのかしら。あ、もしも私が入っているなら除外してくれるかしら。私はあなたのことを友達だなんて思っていないから」


 どうしたものか、俺の友達がどんどん減っていく。

 あ、減るじゃなくてもとから友達じゃなかったのか。

 天音ちゃんは、そのまま俺の横を通り過ぎていった。

 俺は、そのまま階段を登り、屋上へと向かった。

 

 屋上へと着き、扉を開くと、暖かい風が屋上から扉の内側へと、強く吹き込んできた。

 今日はいつもよりも風が強いなと思い、風よけのためにベンチの裏側へと向かう。

 

「よっこいしょっと」


 俺は荷物を下ろし、地面に段ボールを敷いて、座り込んだ。

 少しずつ暖かくなってきていて、今日は一段と過ごしやすい日であった。

 俺はさっそくノートパソコンをカバンから取り出し、起動した。

 

「……うーん、やっぱり遅いな」


 屋上ということもあり、学校の固定Wi-Fiがかなり遅かった。

 起動はできても、オンラインゲームはおろか、サイトなども開けなかったため、俺はしびれを切らしてもう寝ることにした。

 地面に敷いた段ボールの上に寝っ転がり、腕を頭の下に置いて枕代わりにした。

 俺は、綺麗な青空に向かって大きくあくびをし、そっと目を閉じた。

 

* * *


 眠り始めてどれくらいたっただろうか、俺は目を覚ました。

 予想だとまだ一時間ほどしか寝てないと思ったが、スマホを起動して時間を見ると、時間はもうお昼になっていた。

 そろそろ天音ちゃんが来るな、と思って俺はドアの目の前で待機していた。


 すると、予想が当たって、前に立ったちょうどに屋上のドアノブが、ぐるっと回った。


「こんにちは、天音ちゃん」

「は⁉」


 天音ちゃんは、俺に驚いて、普段出さないような情けない声を出して、後ろに後退する。

 よし、ドッキリ大成功。

 俺は心の中でガッツポーズをとった。


「あなたって人は、高校生になってまでそんなしょうもないことをしているのかしら?感性が小学生から変わっていないようね。小学校に戻ったらどうかしら?」


 天音ちゃんは一度自分を落ち着かせるためか、一度深呼吸をしてから俺への罵倒を開始した。

 それにしても、本当にブレないな天音ちゃんは。


「小学校か~戻りたいけど戻りたくないな」

「結局、どっちなの?それは?」


 天音ちゃんは、いまだに階段前で仁王立ちしている俺から離れて、踊り場の方から会話を続ける。

 もっと近づいてきてくれても良いのだが……この距離感が天音ちゃんならではというものなのだ。

 俺は、一人でうんうんとうなずいた。


「なんで首を縦に振っているのかしら?少し気味が悪いわ……」


 天音ちゃんは、体をすこし後ろに引き、俺を軽蔑のまなざしで見つめた。

 ……ここ最近の天音ちゃんのツンで、もしかしたらとは思ったが……俺はMなのかもしれない。

 不思議と、天音ちゃんに罵倒されても、傷つかなくなってしまった。 

 これ以上この領域に踏み入るのはまずいな……


「まぁまぁ、それより天音ちゃん。今日は屋上まで来ないの?」


 俺は、天音ちゃんにそう言う。 

 先ほどから、天音ちゃんは踊り場から一切動く気配がない。

 

「今日はなんだか、より一層あなたのことが気持ち悪いわ。今日のところはここらへんでお暇させてもらうわ」


 天音ちゃんはそう言って、階段を下って行った。

 それより、天音ちゃんはこれを強制されているわけじゃないのか?

 俺はそう疑問に思いながら、元居た段ボールのところへと戻った。

 だが、数分後、またまた屋上の扉が開かれた。


 今度は誰だろうと思い、扉の方を向いた。

 そこには、先ほど出て行ったはずの天音ちゃんの姿があった。


「おかえり」

「……はぁ……」


 天音ちゃんは下を向いて、大きなため息を漏らした。

 それにしても、なんで戻ってきたのだろうか。

 もしや、俺に気があるのだろうか。ツンデレか?ツンデレなのか?


「階段下に峯岸先生がいたの。それで、言い争いの末に正論なんて関係なく、補修を武器にここに帰らされたわ」


 姉ちゃんの仕業か……本当、なんでそんなんで教員になれているのだろうか。

 俺は不思議でたまらなかった。

 それより、俺に気があるから来たのではないというのは少し悲しいものだ。

 

 その後、天音ちゃんはブレザーのポケットに入っている小説を読み始め、予鈴がなると、すぐに教室へと戻って行ってしまった。

 なんだか、前よりも当たりが弱くなっているような気が……まさか、「押してダメなら引いてみろ」を実践しているのか⁉

 俺はポジティブに考えることにした。たとえ、ゼロに等しい確率であっても。

 俺は、段ボールの上に寝転がり、深い眠りに落ちた。

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