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第35話 実行委員会にて〈その二〉

 教室へと着くと、この前同様、窓側最後列の席には5、6人ほどの一軍陽キャ達が屯っていた。

 ワイワイガヤガヤと、まるで休日お昼時のファミレスかの様に教室は騒がしかった。

 

 ドア前に立ちはだかる女子を突破し、俺はなるべく一軍陽キャ達から遠い通路側最前列へと着席した。

 それにしても騒がしいな。別に陽キャ達を貶す訳ではないが、動物園みたいに騒ぐなよ。

 俺は着席し、持参していたゲーム機を取り出して、最近買った恋愛シミュレーションゲームを起動した時、一軍陽キャ達が屯っているところから、何やら八坂の声が聞こえた。


「ねぇ芽衣奈?あの、峯岸とか言うやつの世話してて大変じゃない?」

「いやいやそんなことないよーははは……」


 八坂が俺のことを気にしているのか、チラチラとこちらを見ながら他の陽キャ達の質問に答える。

 気にしてくれるとは優しいな。天音ちゃんなら「誰よその人、なんだか吐き気がするから二度と名前を出さないでくれるかしら」なんて言うところなのに。


「えーでもあれじゃん。なんか高校生にもなって授業サボって屋上とか、どこの厨二病だよってね!」

 

 陽キャ集団の中の1人が大爆笑しながらそう言った。それに乗っかって、周りの連中も笑い始める。

 そして、陽キャ達の視線が一斉に俺の方へと向けられる。

 あー嫌だな、こう言うところからいじめが始まるんだよな。

 それに、やめてくれ、地味に刺さるところに集中砲火してくるな。「アニメのキャラに憧れて屋上でサボりとか痛てー」って、やってる当人が1番思ってて気にしてるんだよ。


「ま、まぁそうだねー……」


 八坂はまたもや俺の方をチラチラと見て、おどおどとしながら要キャ達との会話を続ける。 

 もういっそのことそんな目で見ないでくれよ。同情されてるとか少し虚しいだろ。


「芽衣奈もあんま無理しない方がいいよ。それに、あんなのに毒されて芽衣奈も授業サボっちゃダメだよ」

  

 陽キャ達が再び爆笑しながらそう述べる。

 さっきから俺へのヘイトが強いな。俺が何したって言うんだよ…………

 俺がそんな空気が少し気まずく、起動してホーム画面まで行っていたゲームをそっと閉じた。

 もうこの際、姉ちゃんでも良いから早く来てほしいな。


「で、でも。案外話たら悪い人じゃないっていうかー……」


 八坂が、俺へのフォローのつもりなのか両手の人差し指の先を合わせながら、自信なさげに陽キャ達へと反論する。

 反論するならもう少し自信持ってくれよ……俺が良い人じゃないみたいじゃないか。


「いやいや。そんなの絶対に皮かぶってるだけだってー。もう、騙されないでよ芽衣奈ー」


 酷い!お前らに俺の何がわかるってんだよ……!

 陽キャ共がケラケラと笑いながら俺へと嘲笑の視線を向ける。

 あぁ、早く誰でも良いからこの場をなんんとか助けてくれ……


 そんなこんなで、5分ほど経った頃、俺の目の前、教室前方の扉が勢いよく開かれた。

 ようやくだ、やっと救いの手が……!


「お前ら、席につけ」


 教室へと入って来たのは姉ちゃんであった。

 俺は、良かった……と安堵し、姉ちゃんにバレないようゲーム機を片付け──


「伊吹?なんだ、これは?」


 られなかった。

 教室へと入ってきた姉ちゃんに、俺の机の上にあったゲーム機を指さされた。


「ゲーム機だけど?」


 もういっそのこと開き直ることにした。

 堂々とそう言う俺を姉ちゃんは鋭い眼光で睨みつけた。 

 次の瞬間、俺が大切に抱えていたゲーム機を素早く取り上げた。


「これは没収だ。私が全クリしたら返してやろう」

「えー」

「拒否権はない」


 姉ちゃんはそう言って、ジャケットのポケットに俺のゲーム機を入れ、教壇に立った。

 折角貯めた小遣いで先月買ったというのに…………


「お前らも学校に不要なものは持ってくるなよ」


 教壇に立った姉ちゃんは、まるで自分が生徒の模範となっている先生かのように話を始めた。

 でもな、知ってるぞ姉ちゃん。俺のゲーム機が入ってる右ポケットの反対の左ポケットに姉ちゃんのゲーム機が入ってるって。

 

「じゃあ本日の実行委員会を始める。瀬戸、号令…………瀬戸?いないのか?」


 姉ちゃんは天音ちゃんに号令を頼もうとしたが呼び掛けに反応がなかった。

 数秒後、姉ちゃんに反応したのは天音ちゃんではなく、陽キャグループの中にいる八坂だった。


「あ、先生ー。瀬戸さんは社会科の石川先生に頼み事されて遅れるみたいです」

「そうか。じゃあ代わりに……伊吹、挨拶をしろ」

「え、俺⁉︎」


 姉ちゃんは俺の方を指さした。

 こんなところで争うのも時間の無駄なので俺は号令をかけることにした。

 俺は大人だからな。そう、こんなところでガヤガヤとほざく様なガキではないのだ。


「起立、気をつけ、礼」

 

 俺の号令に合わせ、教室内の全員が礼をする。

 なんかこの感じ、クラス全員を従わせてるみたいで気持ちが良いな。

 号令が終わり、全員が着席した時、姉ちゃんが口を開いて話を始めた。


「えー、第二回実行委員だが、まずは委員長、副委員長、書記を決めてもらう」


 やはり委員会と言ったらこれだよな。

 姉ちゃんがそうして話を始めた瞬間、教室後方の扉が静かに開かれ、誰かが中に入ってきた。

 

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