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第21話 家電量販店にて

 電車に揺られ10分後、俺たちは2つ隣の市にある、大型家電量販店へと来ていた。

 

「で、伊吹はたしか充電器がほしいんだっけ?」


 家電量販店へと入り、エレベーターに乗りながら優斗が俺に話しかけてきた。

 

「そうそう。この前壊れてな」


 本当はまだまだ壊れてないんだよな……

 なんならまだ2つ予備がある。

 こんなところで、また出費か……

 3人だけじゃなくて八坂も入ったからもっと金額が高くなったんだよなぁ、奢りじゃんけん。

 しかも、その奢りじゃんけんで負け続けて金がないんだよなぁ……

 あとで八坂に報酬とは別で充電器代を請求してやろう。


「充電器コーナーは……ここだな」


 エレベーターから降りると、俺たちは充電器の売っている場所を探していた。

 それよりも、さっきから八坂がだまったままだ。これじゃあ来た意味がないじゃないか。


「あー……八坂はなんか買いたいものあるか?」


 俺は、黙りこくったまま下を向いている八坂に話しかけた。

 このまま黙ってようものなら帰ってやろうかな。


「えっ!私は……特に、ない……かな?」


 なんで疑問系なんだよ。俺に問いかけられてもわかるわけないだろ。

 八坂はそういってまたもや下を向いてしまう。


「えーっと悪い優斗、ちょっと八坂が腹痛いみたいだからトイレつれてくわ……」


 俺はそういって、八坂を引っ張り、トイレの方向へと向かう。

 

 優斗が見えなくなったぐらいのところで、俺は足を止めた。


「おい、八坂。黙りこんでたらわざわざ来た意味がないだろ?」

 

 俺はあきれながら目の前のベンチに座っている八坂にそう言う。


「だって……真希がいないと話に入りづらいんだもん……」

「お前そんなキャラだったっけ?気持ちわる……」

「なに!?その反応!」


 八坂はベンチから立ち上がり、俺のことを怒鳴り付ける。

 どうやら、「恋する乙女、八坂さん」は、恋愛対象の男の子を見ると、やっぱり緊張してしまうらしい。

 俺もこういう知識はラブコメアニメでつけてある。どんなことを言えばいいかなんてわかりきったことだ。


「大丈夫だ八坂、お前はその……かわいいんだからな。自信もてよ」


 完璧だ、大抵これを言えばヒロインはイチコロ……ってまてよ?これってヒロインを落とすときに使うセリフじゃ……

 それにしてもこれ、以外と恥ずかしいんだな……

 俺は恥ずかしさのあまり、八坂の方を向けず、下を向いた。


「な、な……」


 声だけだが、以外と満更でもないんじゃないか?こいつ。まさか、恋の手助けをしている間に恋が芽生えるとか言うそんなやつか?


「な……何言ってんの……気持ちわる……私、先に優斗くんのところ戻ってるから……」


 八坂はベンチからスッとっち上がり、俺から距離をとって冷めた声でそう言った。

 少なくとも、声のトーンからして絶対ツンデレではないな。まるで研ぎたてのツンだな。

 ……やっぱりそうか……ていうか、そもそもだけど、俺たちまだ出会って数日だしな……そんな展開、あっても半年後とかだよな……


 俺は、ベンチの前で一人、恥ずかしさに悶えていた


 

 数分して、落ち着いた俺は、優斗のところへと戻ることにした。


「お待たせ……って、八坂はどうした?」


 俺が優斗のところにいくとそこには、先に戻っているはずの八坂の姿がなかった。


「八坂さん?まだ戻ってきてないけど……伊吹、一緒にまさかおいてきたの?」


 多分だが、あいつは優斗と二人きりの状況が気まづそうだったからどこかに隠れているのだろう。


「じゃあ優斗、少し待っててくれ。俺は八坂を探してくる。ここに戻ってくるかも知れないから待っててくれ」


 俺はそう言ってトイレの方へともどっていった。


 探し始めて直ぐに、八坂は見つかった。

 俺が居なくなった後のベンチに座っていたのだ。


「お前、なにやってんだよ……そんな主人公に振られた負けヒロインみたいな雰囲気醸し出して……」


 俺は座っている八坂をまたもや見下ろして、飽きれながら話しかける。

 八坂はベンチに座りながらうずくまり、手を頭に当てていた。


「だって……やぱり優斗くんと二人って考えたら……ねぇ?それよりも、『負けヒロイン』なんて言わないでよ。幸先悪いじゃん!」

「なにが『ねぇ?』だよ。同意を求めてくるなよ。ほらいくぞ」


 俺は抵抗する八坂の手を引っ張って、優斗の元へと連れていった。

 

「ちょ、ちょっと。離して!あんた私に気があるの!」

「ねぇよそんなもん!変な冗談はやめてくれ!」

「だってさっき私のことか、かわいいとか言ったじゃない!」


 本当めんどくさいなこいつ。それに、さっきの「かわいい」を本気だと思ってるのか。一回ラブコメ見てこい。

 あ、そしたらもっとヤバイか……


「だって、そう言うのは鈍感でないかぎり、主人公の男の子が狙ってるヒロインの女の子に言うセリフでしょ!?」


 なんかこいつと話が合いそうな気がしてきたな……

 八坂からも同士の雰囲気がしてきたな……

 「ようこそ、こちら側の世界へ」じゃなくて「よう、同胞」だったか。


「じゃあ俺は鈍感だ。それよりとっとと優斗の方にいくぞ」


 俺はそういって、また歩みを進めた。

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