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第20話 続・実行委員会にて

 気がつけば、自己紹介は俺の番になっていたので、立ち上がって皆の方を向いた。


「えっと、2年3組の峯岸伊吹ですよろしくお願いします」


 俺がそう言い、席に座ろうとすると、姉ちゃんが座ろうとする俺を止めた。


「待て伊吹、実行委員に希望した理由をまだ言ってないだろ」


 姉ちゃんは俺のことを指さし、そう言った。

 そういえばそんなことを自己紹介と一緒に言えとかほざいてたな。

 それにしても、俺には他の奴らみたいに良い感じの理由はないんだがな。姉ちゃんに無理やりやらされただけだし。


「希望した理由は俺の姉ちゃんこと、そこにいる先生に押し付けられたからだ」

「人聞きが悪いな。ご用命を賜ったとかにしたまえ」


 そんな嬉しいことでもないのにわざわざそんな言い方したかねぇよ。

 俺は姉ちゃんを無視して席に座った。


「じゃあ次、八坂」


 姉ちゃんはそういって俺のとなりに座っていた八坂を指名した。


「えっと、同じく2年3組の八坂芽衣奈って言います!」


 八坂は、最初に会ったときのような頭がちょい悪い感じの元気っ子バカを演じていた。

 俺と話すときとは全く違う八坂の姿に、俺は少し寒気と言うか恐怖を覚えた。


「実行委員に希望した理由は、運動会を今までにないぐらい盛り上げたいと言う思いがあったからです!よろしくお願いします!」


 すごくありきたりな理由だな。もう定型文だよな。

 ていうかこういう場でこのセリフって大体3人中1人は言うよな。


 その後、自己紹介は続いていき、気がつけば天音ちゃんの番になっていた。


「2年6組、瀨戸天音です」


 天音ちゃんは、冷たく、凍てついた声でそういった。

 ほんと、どうしたらこの性格で友達ができるんだろうな。


「希望した理由は、他にやる人がいなかったからです。よろしくお願いします」



 その後も自己紹介は続いていき、やがて全員の自己紹介が終わった。


「じゃあ今日はここまでだ、帰っていいぞ」」


 ……はあ?もう終わり?俺は一体何をしに来たんだ?

 姉ちゃんがそう言って教室からでていくと、それに乗じて他の奴らも教室から出て行った。


「何やってんの伊吹、ほら出ていくよ」


 

 八坂に連れられ、階段を降りて下駄箱前へといくと、そこにはいつもの優斗と真希の姿があった。


「あれ、まだ30分も経ってないけどなんかあったのか?」


 あまりにも早く降りて来た俺達に、優斗は驚いてそう質問した。

 まぁ、委員会があるから遅くなるかも、だなんて言ったからな。そりゃこんな早く来たら驚くわ。


 姉ちゃんが昨日、ウキウキでゲーム屋の紙袋下げて帰って来たんだよな。多分、早く帰ってそのゲームがしたいのだろう。職務怠慢にも程がある。 

  ほんと、なんでこんなんで教員になれたのやら。


「今日は自己紹介だけらしいからな。だから早かったんだ」


 俺がそういうと優斗は、「なるほど」と頷いた。

 

「行こう!真希!」

「うん……」


 やっぱり、昨日から真希の元気がないような気がする。 

 一体どうしたのだろうか、カラオケで歌いすぎて喉が終わってるのか?


「今日はどこかよって帰る?」


 俺と八坂が下駄箱で靴を履き替えていると、優斗が俺達にそう言ってきた。


「俺は構わないけど、八坂と真希はどうだ?」

「私は大丈夫!真希は?」


 八坂がすぐ隣に居た真希にそう言うと、真希は一歩後退りして八坂から離れた。


「ごめん、今日はお店の手伝いがあるから無理」


 実のところ、八坂の両親は定食屋を営んでいる。定期的に真希が手伝うのだが、今日はその日らしい。

 

「そうか、じゃあ今日はそのまま帰るとするか」


 俺がそう言うと、急に八坂の視線がこっちへと向いた。その目はどう考えても睨んでいた。

 恐らくだが、「優斗といられる時間を少しでも増やしたい」ということだろう。

 さて、どうしたものか、この状況で八坂の思い通りどこかに寄ろうものなら真希をハブることになる。だけど、ここで解散しようものなら、翌日には八坂の怒号と詰め寄りが来るだろう。多分。


 悩んだ末に、俺は八坂の思い通りにすることにした。

 条件付きだがな。


「……!」


 俺は右手の親指と人差し指を合わせ、指を擦った。

 そうだ、これは金を要求する時のハンドサインだ。 

 ハンドサインを見た八坂は、一瞬悩んだが、頷いて承諾した。

 

「あ、優斗。俺、充電器が欲しいんだ。ちょっと店によってかないか?」

「うーん、じゃあそうするか。ごめんな真希」


 よし、作戦通り。

 と言うことなので、俺達は真希とは駅前で別れ、家電量販店のある方の電車へと乗り込んだ。

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