第19話 実行委員会にて
翌日、やっと暖かくなってきたので、今日はいつもよりも最高な昼寝日和だった。
その日の午後、俺が屋上でスヤスヤ眠っていると、扉のドアが開いた。
「伊吹、そろそろ委員会だから行くよ」
俺の前に現れたのは、同じ委員会でもあり、つい最近友達にもなった八坂芽衣奈だった。
それにしてもこいつ、初対面とのギャップがヤバすぎるだろ……
俺の目の前にいる八坂は、初めてあったときの「おバカ系元気っ子キャラ」いう雰囲気は微塵も感じられなかった。
「もうそんな時間か」
俺は立ち上がって、床に広げていた漫画本とゲーム機をカバンに詰める。
それにしても漫画本が少し多すぎるな……やっぱり漫画20巻分持ってくるは馬鹿だったか。
結局、今日は5巻までしか読めてないし。
「伊吹、学校にそれしか持ってきてないの……」
俺がカバンに物をしまうとき、一瞬見えたカバンの中身に八坂が驚愕した。
なんせ俺のカバンには、つい最近姉ちゃんからパクって来たゲーム機と、漫画本とスマホしか入ってないのだからな。
そろそろ姉ちゃんにバレて取り立てに来られる頃合いかな。
「まぁ別に授業受けないし、いらないかなって」
そんな俺を見て、八坂は深い溜息をついた。
人をそんなふうに見るなよ。お前は天音ちゃんか?
もちろん、今日も天音ちゃんによる授業にでろコールはあったぞ。
「まぁ伊吹はどうでもいいや、それよりほら、早く行くよ」
八坂がドアを開けて俺をそう急かす。俺も急いで荷物をまとめ、かかとを踏み潰した靴をしっかりと履いて、八坂のもとへ向かった。
階段から降りてすぐのとき、俺は八坂に一つの質問を投げかけた。
「そういえば八坂、運動会実行委員の集会場というか集まるところってどこなんだ?」
「西校舎の最上階にある空き教室だよ」
西校舎最上階の空き教室といえば、俺と宮風との口論が行われた場所だ。
いやぁー懐かしいな。まぁ懐かしって言っても全然一昨日なんだがな。
それより、西校舎の最上階なら俺がいつも寝てる屋上から一つ下るだけだからすぐ近くだな。
そうこうしているうちに、気がつけばもう空き教室についていた。
「じゃあ入るか」
俺はドアを開けた。そこには、いかにもな陽キャたちが窓によっかかって談笑していた。
やっぱりこのようなイベント事の実行委員は陽キャが多いのだろうか。
姉ちゃん、俺を選ぶとは人選ミスだろ。マジで。
「いやさ、今日の中村マジウザかったくね?」
「それなー!まじわかるわ!」
陽キャたちはどうやら愚痴大会で盛り上がってたようだ。ほんと、そんなことで盛り上がるとか性格終わってんな。
ちなみに、陽キャ達の言っていた「中村」とは、数学担当の40代教師だ。
忘れものをしてきたら、大声で怒鳴って怒るのではなくネチネチ言ってくるタイプのあんまり生徒から好まれないタイプの先生だ。
ちなみに、俺はこういうタイプの先生が大嫌いだ。
とりあえず、突っ立ってるわけにもいかないので、俺は近くにあった椅子に腰掛ける。
⋯⋯それにしても、誰一人として話し相手がいない。八坂はあの陽キャ軍団に混ざっていったし、天音ちゃんはあの性格なのに、何故か友達がいるのでその友達と話している。
今度天音ちゃんに性格がきつくても友達ができる方法とか聞いてみるか。
早く来てくれ……先生……
俺が陽キャに両側から挟まれるといった、そんな肩身の狭い思いをしていると、部屋のドアがガラッと開いて、先生が入ってきた。
「席につけ、実行委員を始めるぞ」
先生が来た!助かった!と思った俺は、顔を上げた。だけど、そこにいたのは、俺の姉こと峯岸彩香だったのだ。
まさか、担当の先生が姉ちゃんだったとは……
さっきまで窓際で騒いでいた陽キャ共は姉ちゃんがきた瞬間、大人しく椅子に座った。
「じゃあまずは初めての委員会だから自己紹介をしてもらう」
姉ちゃんはそう言って、端の方から1人ずつ自己紹介をさせた。




