表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/40

第18話 カラオケにて〈下〉

 俺が八坂と歩いていると、八坂が急に口を開いた。

  

「峯岸くん……いや、面倒臭いから伊吹でいいか」


 何?急に名前呼びなんて。俺に気があるの?ねぇ?


「伊吹、突然だけど私に協力しなさい」

 

 急な命令口調だな。でも、別にMではない峯岸伊吹くんは、あんまり嬉しくないのだ。もっとこう、上目遣いで可愛げに言ってくれた方が俺的には嬉しいな。

 

「何を協力するかによるな」

「私の残りの高校生活を華やかにしてほしいの」


 一軍女子の八坂なら、もう華やかで輝かしい高校生活を送っていると思うんだがな。

 何が不満なんだ?


「つまり、俺は何をすればいいんだ?」


 先ほどから八坂の表情にさっきのような笑みが見られない。天音ちゃんほどではないがどこか冷たい目をしている。


「私は、優斗と付き合いたいの」

「悪いことは言わない。後悔しかしないぞ。あれと付き合うぐらいなら国語の高橋と付き合った方がマシだ。それより急に優斗呼びに変わったな」


 国語の高橋とは、俺達の隣のクラスの担任で、50代ぐらいの禿げたおじさんだ。ちなみに、授業は面白く、ノリもいいため、生徒からの人気はまぁまぁある。


「真希も優斗のこと悪くいうけど、実際どんな人なの?」


 ……コイツ、優斗の本性を知らずに付き合いたいとかほざいてるのか。バカだろ。やっぱりこういう元気っ子キャラはバカなんだ。


「中学の時は女の子取っ替え引っ替えしてたし、飽きたらポイとかいう典型的なクズだ。高校からはいいやつキャラを保つために誰とも付き合わないらしいが。それより、あいつのどこが好きになったんだ?」

 

 俺が1番疑問なのはそこだ。優斗は八坂と会った時にこういった、「クラスは一緒だけどこうして話すのは初めてだね」と。ほぼ初対面なのにも関わらず、どこを好きになったというのか。

 どうせ顔だと俺は思うんだけどな。

 

「優斗の本性は私がなんとかして直せばいいだけだし。あと、好きになった理由だっけ?そんな言えるわけないじゃん」

「そこがわかんなきゃ俺もどうしようもできねぇんだけど?」

「伊吹ならいけるって」


 どうしても言いたくないのか……それにしても距離近いな、コイツ。これが一軍陽キャというものか……


「で、いくら出してくれるの?」

「え、お金とるの?」


 え?逆にとらないの?俺のことただ働させて自分だけ幸せになるつもりだったのかよ。

 酷いよ!自分だけ!優斗の幸せになろうなんて!


「じゃあ、もし付き合えたら私が叶えられる範囲の願いを一つ願いを叶えてあげる」


 ありがちあやつだな。大抵、ラブコメの最後ではこういう協力関係だった間柄の奴らが付き合うんだけどな。

 あれ?もしや八坂ルートが発見された?


「仕方ない、まぁ呑んでやろう。それより、真希にはこの話したのか?」

「いや、してないよ。でも、真希のお陰で優斗との接点が増えたからまぁ実質真希も協力者だね。いや〜私の作戦がうまくいったよ」


 ……コイツ、優斗と知り合うために真希近づいたのか……八坂もなかなかのクズだな。

 やっぱりクズ同士は惹かれ合うものなのか……


「早いうちに言っておけよ……」


 俺は八坂にそう言って、飲み物をとって部屋へと戻った。



 あれから1時間ほど歌って、俺達はもうすでに帰路についていた。

 反対方向の電車の八坂とは駅で別れ、俺達はまたもや3人仲良く並んで吊り革を持っていた。


「そういえば伊吹、途中で八坂さんと飲み物を取りにいった時、帰るのが随分と遅かったんだけどなんかあったか?」

「いや、そのーえっと……」


 俺は口を籠らせた。

 それよりも、何かいい言い訳を思いつけ……散々姉ちゃんとの口論で揚げ足を取り続けたんだ。言い訳ぐらいなら簡単に出てくるはずだろ。


「あ!そうそう、運動会実行委員の話をしてたんだ。それで少しな」


 悪くない言い訳だ。さすが俺、咄嗟にしてはいい言い訳だ。


「そうなのか。そういえば明日は運動会実行委員の集まりだったもんな」

「そういえばそうか。……真希?さっきから元気ないけどどうしたんだ?」

 

 俺は吊り革を持ちながら俯いている真希にそう話かける。なぜだか、真希はカラオケで歌ってた時から少し元気がない。なんでかはわからないが、気がついたらテンションがダダ下がりしていた。


「そう?そんなことないと思うけど……」


 真希はそういうが、やっぱりなんだか元気がない。いつも怒り以外の感情をあんまり外に出さないから、心情がわからないが、今日のは明らかに元気がない。


「まぁ、なんか悩んでるんだったら相談しろよ」


 優斗が真希の肩をポンと叩いた。


「優斗にはするかもだけど伊吹はやめとく」


 俺も優斗のように肩を叩いて元気づけようとしたが、手を上げたところで真希に遮られてしまった。

 元気はなくとも、俺へのディスりは変わらないのかよ……

 

 その後、俺達は駅に着くと、すぐに解散して自分の家へと帰っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ