5/7
第五章 崩壊する運命
次の日、ジュリエットは王宮の広間で大規模な陰謀を暴く。
彼女が、実は王族の陰謀を暴いていた事がその日発覚した。
偽の証拠をでっち上げてアルノーを陥れようとした過程で、ジュリエットは真の黒幕──宰相の不正を暴いてしまったのだ。
王は驚き、民衆は称賛する。
「ジュリエット・ミルフィア・シャルル……貴方は悪役ではなく正義の令嬢だったのか!」
ジュリエットは首を振った。
「いいえ……私は本当に悪役でした。ただ……私の悪行が偶然、善の結果を生んだまでです」
アルノーは彼女を見つめる。
「何故、俺を邪魔した?」
「……貴方が幸せになる未来を見たかったから……」
「え……?」
「でも、その為に貴方を傷つけようとしてしまった。それが私の罪です」
彼女は跪き頭を垂れた。
「私を処罰してください、殿下」
「……」
アルノーはジュリエットに手を差し伸べる。
「いいえ。貴方は……俺の一部だ。未来の俺が過去の俺を救おうとした。それなら──俺は未来の俺を許す」