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異世界クッキング③

「あっダリルさん、昆布ありますか?大きな筒状の瓶で良いので、表面拭き取って昆布と水を入れたいんです」


「昆布を水出汁にするということですか?昆布に切れ目は入れますか?」


ハイドロイドがサーブ役となって、各お皿に魚介トマトパスタを分けてくれているので、ポテトに供えるレタスを洗うダリルに頼む。


「あぁ、湯豆腐とかだったら旨みをだすために切れ目いれますけど、水出しは一晩付けるので必要ないんです。明日の朝ごはんのお味噌に使う予定で。一晩過ぎるとエグ味がでるので、切れ目入れるとよくないんですよ」


「なるほど、分かりました。やってみます」


七人家族で暮らしていた為に、少し増やして10人前を目安にして作ったがいつもの癖で味見を忘れてしまった。今更ながら不安になりつつ、明日のメニューを確認する。


「素晴らしいです、使徒様!魔素が少ないのに魚介の旨みがたっぷりで、トマトの甘みと酸味が口の中に広がります!」


「このハニーマスタードポテトは使徒様のご考案ですか?!はちみつにマスタードに少量の醤油でアクセントがありながら無限に食べられます……!」


「これ、王族メニューにならない?」


「あっはー陛下、それはどうでしょう」


「口の中が幸せ〜!ハイド、おかわりないんだよね〜?」


「ないです父上、私の分を少しお分けしますので耐えてください」


「さすがに息子の分ぶんどれないよ〜!減らすときは陛下のお皿から……」


テーブルには、イザークの分がきちんと分けられている。


ダリルは早速昆布だしを作っていたので、ベイツからフエギス料理を預かっていないか聞くと、すぐに冷蔵庫から出してくれた。


魔道レンジの使い方は、一回みてだいたい分かっている、異世界転移者の指導があったのだろう、日本のものとよく似ている。それでフエギス料理を温めている間に、自分の分をダリルに勧めてみた。


「良かったら食べてください、僕は最初に買ってもらったものを食べるので」


「いえしかし」


「せっかく手伝ってくださったんですから」


音を立てていた魔道オーブンが止まる。


キッシュもすぐさまダリルに切り分けられ、厨房がかしましい。


「ダリル、いいよ〜、イザーク君がそう言ってくれてるんだし、シェフとしても味は盗みたいだろう」


「……では失礼します」


オットーメルナスの許可を得て、ダリルは洗い場近くに移動して食べ始めた。


さすがに国王の座る同じテーブルでは食べられないのだろう。


表情筋は硬いままだが、サラダを含んだ口と目が笑った。


イザークも温め直したご飯を食べ始めたが、気づけばテーブルは無言になっている。


「し、使徒様……!」


ようやく、ドワーフが声を上げた。その手がキッシュの食べ掛けを握って震えている。


「なんという美味!!具だくさんでも中身が溢れず、味の奥深いことと言ったら!」


「こんなの魔素の高い料理でも味わったことがありまさんわ!この玉ねぎの甘み!」


「これを魔素の濃い材料で作ったらもはや意識が飛ぶのでは?」


「耐熱皿は、日本のものと同じでしたか?分量がきっちりと!」


おにぎりを食べ終えたイザークは――ちなみに梅干し味とおかかだった――キンキラ光るたくさんの眼差しに貫かれた。


「いえ、お皿は実家で作っていたサイズと似ていたので、あとは目分量で増やしました」


ほぅっと人数分のため息が漏れる。エドワード王は皿にタルトの欠片でも残ってないかと空の皿にフォークを入れていた。

料理編長々としてすみません。

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