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薬禍  作者: 大橋博倖
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第2話  今から私は銃乱射事件を起こす


『あーあー録れているかな。

これはこのテの、ああいや、実は私は詳しくないのだが、実況生配信、で良いのだろうか。

(映像パン 初老男女の射殺死体)

ドッキリとか、企画とか、冗談とか、そういう事じゃないんだ。これは私の両親で、今撃ち殺した。二階には兄弟姉妹の死体もある。ああ、今日は私の誕生日なんだ、それで全員家族が集まった。だからだ。長男が乱射事件の実行犯では皆これから辛い人生となるからね。』


 今年に入って255件、死者62人 数字で見るアメリカの現実と憂い


 これは、2019年当時の記事です。

 そして、人類史上、と表現してよいでしょう、最も有名な乱射事件となった本件、NRAの喜劇、と俗称される事件は、2030年に勃発しました。

 銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ、と豪語してきた、NRA、全米ライフル協会そのものが標的となったのです。

 奇しくも、その前年、29年は全米で銃規制に関し、最高潮を示していました。


「ミス・マーガレット・シェルダン」


 ひくり、と、ポーカーフェイスを貫き通してきた初老の男、『ディープスロート』を自称し自ら私たち、特集記事、『アメリカの良心』を企画した我々に接触して来た数多の情報提供者の一人、その片眉が微かに震えた。


「銃規制法案運動の中心人物、皮肉にも」

 私は、彼の表情に注視しながら、言葉を繋ぐ。

「銃乱射事件に巻き込まれ、死亡されましたね」

 ああ、という嘆息と共に、その重い仮面が剥がれ落ちた。

「そうだ」

 ディープスロートは激しくかぶりを振る。

「私の、孫娘だ、これで満足かね」

 ようやく、核心の、表層に指が届く、その感触に記者の本能が疼く、より慎重に、相手に気取られないよう大胆に、しかし全神経を駆動させつつ私は次の言葉を探す。


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