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Ⅰ__

  海月って綺麗だよね_____

目も口も鼻も、何かを考える頭もない。きっとそれは争い事ばかりの私達にとってはとても綺麗で神秘的なものだ。

  海も綺麗だ_____

ただ風の流れに任せてぷかぷかと流れていく様は私の好きな海月とまさしく一緒である。人間が落としていく爆弾もゴミも何も言わずに受け止めてくれる器は『綺麗』なんて言葉では表すことはできないだろう。


海月も海は私にとってはとても綺麗で……私の神様のような者である。でも…とても、とても、怖いんだ…きっとそれを綺麗と想えなくなると…




心の悪魔に呑み込まれる気がして_____


○✕○○年

いつも通りテレビをつける。朝起きてまず、テレビをつける…それは俺の習慣となっている。

『ニュースです。今日の悪魔による死者数は____』

なんて物騒な朝の始まり方だろう。朝起きたら死者数がとかどのような死に方だとかというニュースが流れる。だが、こんなニュースは俺が生まれた時からあるものだ。別に気にしない。


悪魔_____

今から200年ほど前、世界では変死が増加していた。1つの事件では右腕だけ綺麗な状態で他の体の部位は原型をとどめていなかった。また、もう1つの事件では人差し指以外の指が折られている状態で見つかった。この死体も両腕(指が折られている状態)以外の体の部位は原型をとどめていなかった。原型をとどめていなかった…そう、熊なにかに食べられたような状態だったと聞くが、ほんとに熊なんだろうか。


そんな事件も10、100、200とどんどん増えていくなか世界は恐怖に包まれていった。

だか、そんなある日を栄えにあの変死事件。少なくなったらしい。

ゲリエ__名前しか知らされていないその集団が変死に関わるなにかを握っている。ただ、ゲリエのおかげで変死が減っていることは確かであった。原因の分からない残酷な死に方に恐怖していた人々にとってのゲリエは光であった。


そして現在 今も変わらず変死は続いているが、200年前に比べれば、多いに減っただろう。


さぁ、そろそろ行かなくてならない。学校へ。

学校へ行く前はいつも仏壇に祈る。今はもういない妹に。今もういない家族に。


あの事件でなくなった家族に____


ガチャ

家族が亡くなってからは戸締まりは前よりも厳重に行うようになった。窓、玄関、最低でも5回は見て回る。1DKの2階建ての少し古いアパート。2階の1番右の部屋からでる。いつもと変わらない。


「海月ーー!!!」

聞き慣れた声がした。声の主は俺の幼馴染の平野 心だ。心は4歳の頃からずっと一緒にいる。心といると安心する。俺は1人じゃないって思えるんだ。

心は明るく昨日あったことなど色んなことを話してくれる。

「海月は高校どうする?」

「あぁ…もうそんな時期か…」

他愛もない会話が続き、学校へ着く。学校は嫌いだが心と今年は同じクラスだったから…なんか大丈夫な気がした。

その時

スッ

何かが通った。黒くて煙っぽくって大きくて、人間ではいや、動物でもなかった。この世の者ではなかった。

「海月?」

心の心配そうなその声で我にかえる。きっとなにかの見間違えだろう。きっとそうだ。___


キーンコーンカーンコーン

朝の会のチャイムが鳴り響いた。


さっきのはなんだったのだろう。もう一度考えてみる。いや、分からない。確かに見たんだ。なんだ。なんなんだ。でも、どこかで見たことがある。どこで、

その時体に稲妻が走るように1つの記憶が蘇った。


『お兄ちゃっ……』

血だらけの妹と微かに聞こえる霞んだ声。

『君の______い__』

男の人の声。なにを言ってるんだ。

なに。なんの記憶だ。知らない。でも知ってる。

呼吸賀荒くなるのが分かる。

誰かに声をかけられているのに気づきもせず…


次の日、俺は学校を休んだ。

心も昨日、俺の様子がおかしいことに気づき、心配し今日はお見舞いに来てくれた。心…心はこの話を聞いてくれるかなど考えもせず、もう言葉してしまっていた。心が呆然している。当たり前だろう。こんな話アニメじゃないんだから…

「俺の兄ちゃん…変死だったんだ。」

変死…俺の家族もだ。もしかして、この記憶は変死の事件…ゲリエ………と関係があるのではないかと、心がいう。心のお兄さんは交通事故で亡くなったと聞いていたが、どうやら違うらしい。心は警察から説明された内容が腑に落ちく、自分で調べいたらしい。だが、ゲリエの情報はどこにもないと言っていた。だが、1人怪しい人がいる。

心のお兄さんの葬式の時、お兄さんの友達が来たらしい。その友達が、お兄さんは変死だと言っていたらしい。どこで、その情報を手に入れたのだろう。確かに警察からもらった内容はどこか怪しかった。だが、変死の内容なんて何も言っていなかった…と。

でも、おかしい。俺は家族が変死だったことを元々知っている。心は知らせれなかった。なにが違うんだろう。

すると、心が重い口を開ける。

「良かったら、兄ちゃんの友達に会いに行かない?」

答えは1つしかなかった。

「いいよ」


今週の休日にお兄さんの友達に会いに行くことになった。事前に心がお母さんにお兄さんの友達のことを聞いていたのですぐに出発することができた。

場所は東京の歌舞伎町…

心の家からはさほど遠くはなかったが、お母さんが息子の友達の家までを知ってるわけでもなく仕事がそこにあるという情報を得て、向かうことになった。

歌舞伎町に着いた時、俺の息がまた荒くなる。あの化け物がうじゃうじゃいる。心の心配する声が聞こえる。

俺は心にそのことを伝え、歌舞伎町の賑わいを避けるように建物と建物の間を抜け、静かな場所へ移動することにした。だが、それが逆によくなかったのだろう。


ヴァァァァ"ァァ"

低い唸り声が聞こえた。

海月と心は顔を見合わせ、ゆっくりと後ろを振り向く。海月はハッとした。あの時見た怪物だ。黒くて煙っぽい…そしてとても大きい。大きいと感じた、怪物は思っていた倍大きかった。目は真ん中に1つあり、口は裂けてるように大きい。怪物がニタァと笑った時、2人の頭に死がよぎる。その瞬間2人が全速力で逃げる。怪物もはじめは追いかけてこなかったが、2人が逃げ出した途端、追いかけてくる。

叫びながら2人は逃げていく。

絶体絶命、そんな時に海月が

「なぁ、心」

「なに?!」

「俺、お前と会えてよかった!!」

「なっ何言ってるだ?」


バシュッッッ!!

なにかを勢いよく切る音がした。

その時、怪物のあの大きな足音もなくなる。

海月と心は顔を見合わせ2人同時にゆっくり振り返る。振り返るとそこには中性的な人が立っていた。髪が長く、白髪でまつげも長いうるっとしている唇で誰が見ても綺麗…という言葉が似合う人であった。


「君…見えてるの?」

その言葉は海月に向けてだろう。この人…もしかして…そんな考えが2人の頭に浮かんだ瞬間…


パチン

指パッチンの音だ。その音が鳴ったとき紫色の煙が漂う。その煙を吸った時、その後の記憶はない。


目を覚ますと、海月達は小さなめの部屋にいた。先に目を覚ましたのは海月。心は海月の横でまだ眠っていた。するとそこへ、あの中性的な人が部屋へ入ってきた。なにを考えているのかわからない、胡散臭い笑みを浮かべながら、海月に近づいてくる。中性的な人は海月の頬に手を当てそのまま耳へ、髪を撫でる。慣れない状況に海月は対応することができなかった。中性的な人の目も見ることもできずにされるがままな状態で中性的な人が海月の耳元で一言囁いた。

 「やっぱり君…見えてるんだよね?」

あの時と同じ質問だ。海月を息を呑み、見えてることを伝える。中性的な人は不気味な笑みを浮かべ、海月の手を引き、元いた部屋をあとにする。中性的な人は霧島 遥というらしい。


元いた部屋を出て、遥には教会のような大きな部屋へ連れてかれた。大きな部屋の奥には大きな女性の像が建っていた。教会のような部屋には茶色の四角の椅子がたくさん並んでおり、遥は椅子に腰掛け、喋りだした。

「ここはゲリエの本部だよ。」

遥の言葉に戸惑いを隠せない海月。ゲリエの本部…ということは遥はゲリエに関係があるということだ。

「君がどうして、ゲリエ本部の敷地に入れたのかはおいておき、君は…あの怪物が見えてるんだよね?」

「はい…」

「あの怪物はゲリエ内では妖無と言われている。僕たちゲリエの人間は妖無を撲殺することを目標に日々妖無の駆除をしている。」

ゲリエの正体は妖無…あの黒い怪物を倒す団体であった。でも…そんなことあり得るだろうか…だがしかし海月はその妖無を目の当たりにしているわけだ。否定はできない。しかも遥が嘘をついているようには見えなかった。そうすると…海月も心が妖無に襲われた時、振り向いたときには妖無はいなかった…ゲリエが妖無を倒せるとなると遥があの妖無を倒したことになる。が、こんな小さな体で?海月は否定はできないが、肯定もできなかった。遥は淡々と話を続ける。

「妖無は魔界からおりてきた怪物が人間の心の中に入ったことで具現化されたものだ。妖無の形はそれぞれ、心に入り込んだ人間の思いによって強さも変わってくる。例えば、殺人鬼の頭の中と精神疾患を持って患者の頭の中から生まれた妖無は殺人鬼だと見たからして狂気に満ちて、所々尖っているし精神疾患患者はずっと泣いてる妖無だったり…ね」

「どうやって妖無…を倒すんですか?」

「それを教えるのは君の意志によるよ、君が妖無を見えてるのであれば話は早い…君ゲリエに入隊する気はない?」

しばらく黙り込む海月。失った家族…変死…なぜ変死となったのだろう。妖無は幽霊と同じように見える人と見えない人がいるのだろう。海月の家族は見えなかったのだろう。だが、その場に海月は……兎にも角にも変死と判断された家族…ここ最近の変死はゲリエに関わっているはずだ。

「心…心は?」

「あぁーもう一人の子だね!あの子も多分見えてるよ…」

「心も一緒がいい…」

遥は察した様子でため息をついた。遥は心に同じ質問をしても同じ答えが返ってくるのだろうと考えたのだ。遥は海月と心を襲った妖無の1番近くにいたゲリエの隊員だった。すぐに妖無の場所へ向かった時丁度…

『俺、お前に会えてよかった!!』

『なっなに言ってんだ?』

この場面を目撃していた。ニコイチ…という言葉が合うだろうか、遥にとって海月と心はどちらかがかければそれは海月でも心でもない…と遥は悟っていた。

「わかった…」

ジト目で海月を見つめ…しょうがないと言わんばかりに一言放った。遥はまたここにおいでもう一言放つと海月の意識は飛び、次また目が覚めた時は電車の中で心と一緒に揺られ、帰っている途中であった。


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