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黒塗の八岐大蛇 ~負けれない少年は、人道外れでも勝利をもぎ取りたい~  作者: 白亜黒糖
第6章 誇り高き青の王家と生贄喰らいの魔本
235/250

6-28 宝物庫での企み ⑤





―――(さまた)()らう炎蛇(えんだ)

―――蛇剣舞:風蛇(ふうだ)飛突刃(ひとつじん)



 左腕から放たれた、炎の蛇が纏わりつくように、ナニカを燃やす。

 渦を巻くような風の刃が、真っ直ぐと燃えるナニカに突き進む。



「ッチ、流石にこの程度じゃ駄目か」



 風の刃は、血の刃の一撃で簡単に潰された。

 同時にその振る勢いで炎も掻き消える。



[……――]

「――づぁっ!?」



 ナニカの姿がブレた瞬間、嫌な気配のした後方を向いて、剣を盾にするように構えた。

 案の定現れた紅い怪物の攻撃を受ける。

 剣を貫通して、全身を駆け巡る衝撃が身体を飛ばす。

 痺れる身体を魔力で無理矢理に動かし、問題なく着地する。



[――……]

「今度は喰らわねぇよ!」


―――()()らえ雷蛇(らいだ)・五連

―――蛇剣舞:地蛇(ちだ)破砕刃(はさいじん)

―――蛇剣舞:風蛇(ふうだ)斬尾(ざんび)



 次の攻撃を予測し、回転するようなステップで横に即座に避ける。

 真横をナニカが、通り抜けたと感覚で理解した瞬間、後方へ左手を向け、雷蛇を放つ。

 噛み付いた雷蛇が爆発し、怪物の表面を傷つけた。

 振り返り、その傷が呆れた速度で再生するのを見ながら、次の攻撃の準備をする。


 血色の刃を薄黒い結晶が包み、風が更にそれを包む。

 ライトは、剣で居合の構えをとる。



(多少の傷は再生するが、分離した身体はどうなるかね?)


―――蛇剣舞:蜿蜒長蛇(エンエンチョウダ)()流雲八波(リュウウンハッパ)


 

 刃にウネる蛇の紋様が刻まれる。

 急速に伸びた刀身で、ナニカの左二の腕を八回切りつけた。

 砕けた結晶が傷口を広げ、風が更に押し広げる。

 そうして、想像よりも容易く切断された、刃の腕が床へと落ちる。


 だが、油断した。



「グアッ!?」



 左腕の切断など物ともせずに、高速移動してきたナニカの蹴りが、彼の腹を抉る。

 居合の構えから、回避は出来なかった。

 何度目か分からないが、壁に叩きつけられる。鈍い痛みが、思考をも鈍らす。

 それでも、壁から這い出て、攻撃に備える。


 しかしながら、攻撃は来なかった。



「何、して……はぁ…」



 思わず、溜息が漏れる。

 視線の先で佇んだナニカは、全く動こうとしない。だが、怪物の切り落とした左腕の断面は、ボコボコを膨れだしていた。

 瞬きごとに膨れた肉は、強靭な腕となり刃となった。

 さっきまでと、大きく違うのは刃の形が、左右非対称の斧のようになったこと。

 厚く何でも切り裂いてしまいそうだ。



「てか、あんな大きかったか?……待て、状況は最悪かもしれねぇ…」



 ライトは、ふとナニカのサイズに違和感を感じた。

 明らかに、先程までより大きくなっている、成長しているように感じた。

 そして、それは間違っていない。

 確かに、2mから2.5m近くまで大きくなっているのだ。



(あの怪物は、卵から生まれた。…もし、あれがまだ幼体の状態で…まだまだ成長途中だとしたら…だとしたら…俺だけじゃあ、手が負えなくなるかもしれねぇ)



 想像したのは、最悪の状況と事態、そして結末。

 嫌な汗が流れる。足に力を入れて、踏み出す。


 想像よりも遥かに速く、怪物との距離は縮まった。



「『喰らえ』!」



 無理矢理に剣を振り上げ、ナニカにぶつけながら言葉を紡ぐ。

 刃に生成された口が開き、空間ごと怪物を喰らう。



「チイッ!?」

[――……]



 右肩口から切断するように、怪物の身体を喰らうことが出来たが、当然その程度で相手が怯むわけもなく。

 真上から、血肉の重き斧が振り下ろされた。



「受け、れるっ!」


《黒剛彩王-虚の理-悪逆非道-暴虐非道-偽詐術策-聡明》


―――八彩王法:喰らい妨げろ、黒盾(エスクード・イヴィル)



 集中力を総動員し、時空魔法を使ってもいないのに、視界に流れる時間が遅れているかのようになる。

 あまり消費したくない王気を使い、頭上に斧を丁度防げるだけの、最小限のサイズの漆黒の盾を作り出す。


 斧と盾の衝突の衝撃で、空間が震える。

 力は拮抗したかに思えたが、一瞬の間を置いて、漆黒の盾に罅が入る。

 危機を察知したライトは、駆け出した。



「あっぶねっ――うおあっ!?」



 盾が砕けたせいなのか、途轍もない衝撃が背後から襲い、地面に伏せることになる。

 王気の弾けた衝撃というのは、今まで気にしたことがなかったが、凄まじいようだ。



(どうなった?)



 声を出さずに立ち上がり土煙の中、目を凝らす。

 辛うじて、ナニカが立ったままなことは分かった。



―――()()ばせ風蛇(ふうだ)



 掌から生じた強風が、煙を綺麗に吹き飛ばす。

 見えたのは、変わらず佇むが斧が破損し右腕が千切れたナニカ。

 右腕は恐らく、さっきの衝撃で吹き飛んだのだろう。



「まだ、足りねぇ。再生する前に、切り刻む!」


―――()(きざ)炎蛇(えんだ)・五連

―――()(きざ)水蛇(すいだ)・五連

―――()(きざ)氷蛇(ひょうだ)・五連

―――()(きざ)風蛇(ふうだ)・五連

―――()(きざ)雷蛇(らいだ)・五連

―――()(きざ)地蛇(ちだ)・五連

―――()(きざ)闇蛇(あんだ)・五連

―――()(きざ)光蛇(こうだ)・五連



 各属性の刃が、再生を開始したナニカに殺到する。

 


「――ッ"ウ"!?」



 突如、頭に激痛が走る。目眩もしたが、何とか踏みとどまった。

 直感的に、原因を察した。



(王気の操作が限界近いな。精神を、この空間というか満たしてる力が削ってきやがる。あの怪物も、同じような感じだし、相性が全く悪ぃ)



 頭痛を忘れ去り、汗を拭って、ナニカへと視線を向け直す。

 

 そこには、各属性が混じり合ったせいか、様々変化をした肉片が転がっていた。



(そういえば、コイツ。もしかして再生してる時は、無防備なのか?)



 何故、ここまで出来たのかその理由を推察しながら、ライトは近づいていく。

 最中で、肉片の中に赤黒い本があることに気付いた。



(力の源はあれかっ!そういえば、無くなってたわ。というか、ネビュロルは?)



 今更に変化を気付いた。まあ、半気絶だったので仕方ない。

 そんなことよりも、肉片に近付ききった。ライトは、剣を構えた。

 本を、消すために。



「何だか知らんが、面倒そうだから、消えてくれっ!」


―――蛇剣舞・変異:地蛇(ちだ)剛撃(ごうげき)衝黒鎚(ショウコクツイ)



 彼は躊躇いなく、剣を振り下ろした。



◆投稿

次の投稿は11/13(月)です。


◆作者の願い

『面白い』,『続きが気になる!』と思った読者の皆様へ。

後書き下の「ポイントを入れて作者を応援しましょう!」から、評価『★★★★★』をお願いします!

その他『ブックマーク』,『感想』に『いいね』等々して頂けると、大変励みになりますので!



□■□■□



◆技解説

蛇王蛇法技録

()()ばせ風蛇(ふうだ) 前方に相手を飛ばすことに特化した強風を起こす


()(きざ)炎蛇(えんだ) 使用者が選択した対象のみを炎の刃で切り刻む 炎症効果あり

()(きざ)水蛇(すいだ) 使用者が選択した対象のみを水の刃で切り刻む 遅延効果あり

()(きざ)氷蛇(ひょうだ) 使用者が選択した対象のみを氷の刃で切り刻む 凍結効果あり

()(きざ)雷蛇(らいだ) 使用者が選択した対象のみを雷の刃で切り刻む 麻痺効果あり

()(きざ)地蛇(ちだ) 使用者が選択した対象のみを地の刃で切り刻む 鈍化効果あり

()(きざ)闇蛇(あんだ) 使用者が選択した対象のみを闇の刃で切り刻む 暗闇効果あり

()(きざ)光蛇(こうだ) 使用者が選択した対象のみを光の刃で切り刻む 閃光効果あり



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