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黒塗の八岐大蛇 ~負けれない少年は、人道外れでも勝利をもぎ取りたい~  作者: 白亜黒糖
第6章 誇り高き青の王家と生贄喰らいの魔本
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6-6 応接室で自己紹介





「ん〜美味しいね、流石王家、良いもの準備してる」

「それは良かったです。ライト様。きっと城の料理人たちも喜んでいることでしょう」



 謁見の間から移動したライトは、現在応接室にてロゼリアの持ってきたスイーツを食べていた。

 王家なだけあり、そのスイーツの美味しさに彼も唸っている。



「美味しいものは、何処でも変わらないね。良いことだ」



 一通り食べ終えたライトは、息を吐いてからロゼリアの方を見る。



「所で、付かぬ事を聞くが、ロゼリアは此処に来て何年くらいだ?唯ふと気になっただけなんだけど」

「七年、約八年というところでしょうか。気づけば、後進が多くなっていました。時の流れとは早いものです」

「へぇ、まあそのくらいか。新人を王子の世話係にする訳ないしな。所作は完璧、それに相手を敬いつつも楽しませる話術。王家のメイドなだけあるね」

「お褒め頂き光栄です」



 ライトが口にしたことは、嘘ではなく思ったことだ。彼は、面倒くさいので口先だけの褒めはしない。

 その立ち姿から足運び、言葉遣いに至るまで明らかに洗練されていた。別にメイドを数多く見てきたわけではないので、飽くまで彼の主観での話だが。


 少しの雑談をロゼリアとしていると、応接室の扉が軽くノックされる。



「来たか、入っていいぞ」

「――失礼しよう」

「……多くないか?」



 入ってきた者達は、思ったよりも多かった。


 話をするといった王は、当然のこと宰相らしき初老の男、ライトと剣を交わらした壮年の男。

 青系統の髪、王家の血筋だろう面々が三人。

 あとは、ムルング辺境伯親子と謁見の間で見た貴族の親子一組。



「これでも少なくした方である」

「ま、だろうと思ったよ。大臣も削られてるし、王家も全員じゃない。面倒だが、良いだろう」

「…あの、ライトさん」



 突然、またしてもイレーヌから声が掛かる。正直、よくこのメンバーの中で声を上げられるなと思う。

 彼女よりも立場が上な者ばかりなのに。



「何だイレーヌ?」

「その喋り方止めてほしいのだけれど」

「どうしてだ?」

「威圧感が強くて話しづらいし、何か慣れないのよ。私の中のライトさんのイメージとかなりズレるというか…」

「別に俺がどういう話し方をしようと勝手だろ」

「それはそうなのだけれど……」



 彼女の願いに対して辛辣に返すライト。しかし、



「――と、言いたいところだが。まあ、僕としても面倒ですしね。そのお願いの聞くのも吝かではありませんよ」



 それイコール却下ではないのが、彼だ。全くひねくれている。

 口調を戻した彼を見て、イレーヌは胸を撫で下ろす。



「さっさと座ってください。立ってても話しづらいでしょう?」

「分かったが…主、それが素の喋り方なのか?」

「当然でしょう。あんな面倒な喋り方、ずっとしてるとでも思ってたんですか?」

「そうか、いやなんでも無い」

「そうですか、変な人ですね」

(この物怖じしない態度は素なのか、そちらの方がよっぽど面倒だと思うがな)



 彼の面倒臭い本質を読み取ったローガスは、正面に座りつつもその内情を口にはしない。

 触らぬ神に祟りなし、である。


 ローガスの移動に応じて、他の面々も動いた。

 王族は彼の左右、ソファに座り、彼の補佐と護衛であろう二人は彼らの後ろに。

 イレーヌとデーウルスはライトの横に、残りの貴族親子はその更に横に立っている。



「さて、改めて自己紹介と行きましょう。僕は、Aランクパーティー〈黒蛇白塗(ケーリュケイオン)〉のリーダー。【黒塗(くろぬり)】の二つ名を持つ冒険者、ライト・ミドガルズです。どうぞ宜しくお願いします。あ、ローガスはしなくていいですよ、分かってますんで」

「はぁ、傲慢であるな。では、ミエルから頼む」

「分かりました。私は、ローガスが妻、第一王妃のハルミエル・ヴォラクス・アウトライルです」

「はいどうもー」



 ローガスの右隣に座る、整えられた薄い青緑色の髪の品の良い女性が自己紹介を行う。

 別に対して興味もないライトは適当に返す。



「あたしは、第二王女のルナーラ・ヴォラクス・アウトライル。よろしく、ライト」

「ルナ、もう少し丁寧に。はぁ…私は、第二王子のルーカス・ヴォラクス・アウトライルです。宜しくお願い致します。ライト・ミドガルズ殿」

「うんうん、よろしく」



 ローガスの左隣に座る、明らかにお転婆そうな明るい青髪のポニーテールの少女と、明らかにインドア派であろう暗い青色の短髪の青年。

 王妃よりかは関わりはありそうなので、笑顔は向けておく。

 ソファの奥へと目を向ける。



「私は、この国の宰相を務めております。オリバ・レッグノートと申します」

「私は、陛下が剣。近衛騎士隊長、アルグ・ダンだ。」

「やっぱり貴方が宰相か、成程ね。で、そっちの人は近衛隊長と、まま強いわけだね。お二人共、よろしく」


 緑混じりの黄色の髪で、柔らかな雰囲気とは裏腹に話術に長けてそうな初老の男と、くすんだ赤色の髪の細身だが服の上からでも鍛えただろう身体が分かる壮年の男。

 恐らく、この中で関わることが多くなりそうで、実力がある程度ある者は頭に入れておくライト。

 面白そうな相手は、どうにも覚えずにはいられない。



「ウルスさんとイレーヌはいいとして、そちらのお二人は?」

「私は、カイエン・ロゴラリー。この国の法務大臣を務める伯爵だ。ウルスから、話はよく聞いている。癖の強い男だとな」

「えっと、ロゴラリー伯爵家嫡男、エルン・ロゴラリーです。宜しくお願いします」



 ロマンスグレーの髪がよく似合うカッチリとした貴族服の男と、眼鏡をかけた明るめの灰色の髪の青年。

 ハッキリ言って、青年には目もくれずカイエンの方へ意識を向けるライト。



「貴方が法務大臣ですか。いやぁ、助かりましたよ。貴方の協力がなければ、結構面倒なことになってそうでしたから」

「感謝をするのは、私の方だ。君が、決闘でトラッシュと騎士団の注意を引いてくれなければ、こちらも行動に移せなかったからな」

「ふっ、そうですか。…では、自己紹介も終わった所で、本題に入りましょうか」



 一通り自己紹介を終え、相手方を覚えた彼は話を切り出すことにした。



「僕も詳細には知らないので教えてほしいのですが、トラッシュ・ドーカス及びドーカス公爵家は、表ではどうなったんですか?」

「それは、私から説明しましょう」



 オリバが持っていた本、というよりは資料を纏めたものを開き、口を開く。



「ドーカス公爵家は、危険薬物の流通、機密情報の国外漏洩、法外奴隷の売買、その他複数の罪状により公爵家そのものを取り潰し。罪状に関しては、公爵家邸宅から回収された資料により全て裏付けが取れており、再審の必要すら不要と判断されました。当主のトラッシュは死刑、血筋にある者は全員奴隷堕ち。また、罪に関わった公爵家関係者も同じく奴隷堕ちとなっております。現在、ドーカス公爵家の領地は国の管理下に置かれ、流通物の回収や違法組織などの捜索逮捕を行っている途中となります。その後は、第一王子、カイナ様の領地となる予定です」


「ふ〜む、成程……」



 彼の説明を、耳で聞き取り、脳内で咀嚼し理解し分析する。

 簡単に言ってしまえば、公爵家は終了しその土地は国が管理してるってだけだ。


 取り敢えずの一般での現状は分かったので、改めてライトは、切り込むことにする。



「――それで、トラッシュは生きてるんですか?」



 と、そう言い放った。



◆投稿

次の投稿は9/15(金)です。


◆作者の願い

『面白い』,『続きが気になる!』と思った読者の皆様へ。

後書き下の「ポイントを入れて作者を応援しましょう!」から、評価『★★★★★』をお願いします!

その他『ブックマーク』,『感想』に『いいね』等々して頂けると、大変励みになりますので!



□■□■□



◆蛇足

語り部「新キャラが多い!何でそんなに自分の首を絞めるのか」

白き槍「仕方がありません物語の進行に必要ですので」

蛇の王「それに、別に全員を深堀するわけでもないしのう」

語り部「然も深堀するのは、この場に居ないキャラの予定というね。全くどうなってんだか」

白き槍「それでこそ、この物語ですよ」



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