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黒塗の八岐大蛇 ~負けれない少年は、人道外れでも勝利をもぎ取りたい~  作者: 白亜黒糖
第6章 誇り高き青の王家と生贄喰らいの魔本
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6-4 依頼の話、今後の予定

ちょっと短めです。





「さあ、広間も戻ったことだし。依頼の話をしようか」



 即座に切り替え、玉座の王――ローガスにそう言うライト。

 その切り替えの早さに、他の面々は呆れ気味だ。



「ああ、そうするとしよう」

「その反応、今までの一連の事柄は仕組まれていたということで良いか?」

「ふむ、否定はせぬ」

「流石は、王ってとこか」



 顔色一つ変えないローガスに、彼は笑みを浮かべる。

 そういう相手は、彼としても嫌いではない。



「ま、アンタんとこの教育方針がどうでも俺には関係ない。重要なのは内容、期間、そして報酬だ」

「ラビットニア女史の言う通り、唯我独尊を体現したような男であるな」

「そうでもないさ、この場に居るのが、俺よりも格下だからと理解しているからこその言動だ。流石のソヨさんには、こんな態度戦闘中以外はとれないね」

「では、余らからすれば、化け物に変わりはあるまい」

「確かにな」



 化け物呼ばわりは、彼からしたら褒め言葉で非常に気分が良い。

 価値観の違いはもう気にしない方が良いと思います。



「戯れはここまで。本格的に話をするとしよう」

「頼むよ」

「先ず、依頼内容は、事前に通達している通り、第三王子コーセルトの魔法の臨時教師。セルトの扱う虚属性魔法は、中々使い手が居なくてな。前々からラビットニア女史に相談していたのだが、丁度良く新しく来たそなたが当てはまると勧められたので、依頼を送った次第だ」

「それだけじゃないだろ?」



 確信めいた且つ直球な物言いをする。彼は、策謀は好きだがまどろっこしいことは嫌いだ。

 このタイミングの依頼に、依頼内容以外の目的があるのは分かりきっていた。



「ドーカス公爵家。いや、トラッシュ・ドーカスについて、何があったか直接俺から聞きたいんだろ?本人が本当に死んでるかどうかは、俺の知ったとこじゃないが。何かしらはトラッシュから聞いた筈だ。それが俺の言うことと差異がないか、また新しいことがないか。知りたいってとこだろ。依頼も別にどうでも良いってほどじゃないが、飽くまで建前で、本命はそっちだと思うんだが、どうだ?ローガス」



 余すこと無く、自分の予想を言い切る。



「思った以上に、面倒くさい男であるな。ライト・ミドガルズよ」

「面倒くさいのは、そっちだ。ローガス・ヴォラクス・アウトライル。これだから貴族は」

「そうでなければ、やっていけぬものよ。それに、直接迫る訳にもいかぬ理由がある」

「何だ?脅されてでもしてんのか?」



 冗談めかして言ったが、少し顔が険しくなったローガスに、強ち間違いでもないと思い直す。

 同時に、その脅している相手というのが、薄っすらと分かった。



「ああ、脅されておるな。ラビットニア女史に『お気に入りだから、何か問題あったら唯じゃ済まさないから』と強く念押しされた」

「……何か済まんな」(ソヨさん、あんまり圧与えないでくださいよ。逆に僕が動きづらくなります……。思いは滅茶苦茶嬉しんですけど…)

「彼の地神には、相当入れ込まれているようだな」

「その、まあ……身体を重ねた関係では、あるからな。言うなれば愛人、みたいな?」(いや、絶対に愛人ではないです。これは言葉選びを間違えました。そうですね……上手い表現が思いつきません)



 愛人、という言葉に広間の雰囲気が少しだけ変わるが、ライトはそれに気付いていない。

 ソヨ・ラビットニア。【不動の地神(フィクサー・ガイア)】と呼ばれ畏怖されている彼女が、どれだけ凄い存在なのか身近な関係の彼は理解していないからこそだ。



「愛人とは、これが時代の傑物か……」

「大袈裟だな……そんなことより、依頼の話だ」

「そうであったな。依頼の期間は、今日より一月。報酬は一日につき白金貨一枚。依頼外の情報提供に、また別途の報酬を準備する。これでよいか?」

「良いね。太っ腹で、それでいいぜ」

「本来ならば、今日から依頼通り働いてもらうつもりだったが、息子は気を失っているからな。仕事は明日からだ」

「了解、ローガス」

「城内に、宿泊用の部屋を用意している。一ヶ月の間は、その部屋を使うと良い」

「ありがたいね、手間が省ける」



 これで、依頼の話は一旦けりが付く。



「折角だ、依頼は勧められぬならば、本命の話を進めよう」

「トラッシュについてか?」

「その通り、公爵家についてだ。だが、いつまでもこんな広間で話しているわけにも行かぬ。重大だが、それぞれ執務もある故な」

「場所を移すってことか。分かったよ」



 公爵家の話をするらしが、場所を変えるとのこと。飲み物でも出してくれねぇかなと、ライトが考えた所で、ローガスが立ち上がる。

 貴族の面々が、膝を突くが別に彼は敬意など無いので、そんなことはしない。



「これにて謁見は終いとする。各々務めに戻り励め、得た情報は順々に送っていく。暫し待て」



 やはり、王の存在感は凄まじく、正直に言って格好良かった。



「ライト様」

「ロゼリア?」

「応接室まで、お案内します。続きの話はそちらで行いますので」

「ん、分かった」



 いつの間にか後ろに来ていたロゼリアに声を掛けられた。

 彼女の言葉に従い、付いていく。



(さて、表ではどういう話になっているのかね)



 密かに笑みを深くしながら、ライトはこの後のローガスの話を楽しみにするのだった。



◆投稿

次の投稿は9/1(金)です。


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