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5-19【黒塗】VS〈アニマリー〉



 ライトは、執務室から休憩を終え訓練場へと戻ってきていた。

 そんな彼の目の前には四人の少女達が居た。

 同じような意匠の装備を着た、それぞれ違う役職の獣人の少女達だ。



「初回はイレーヌさん達ですか」

「何気にライトさんとは、闘ったことなかったわよね」

「そうですね、話をすることや一緒に食事はしましたけど、別に依頼を共にしたことはありませんし」

「だから、今日は全力でいかせてもらうわ」



 そう、Cランクパーティー〈アニマリー〉である。

 イレーヌ、ルト、ミケ、フォークの四人は、やる気がその瞳に現れていた。



「ライトさんの活躍は聞いてるからね、何処まで自分たちが届くか試させてもらうよ」

「ん、全部出し切る」

「頑張りますっ!」

「そうですか…」



 ライトは深い息を吐いてから笑みを浮かべる。

 放たれる戦意に、少女らは顔を強張らせる。



「すみませんが、今日は長いので手を抜く気はありません。全力ではありませんが本気ではあります。そうですね。一分保てたら、上出来ですよ」

「ちょっとアタシ達を舐めすぎじゃないかしら」

「はぁ…――違う、測り損ねているのは、お前らだ」


「「「「っ!?」」」」



 これは、先に言って置かなければならなかった。

 彼女らが、自分達の強さを見誤らないようにする為に。



「人数差なんて、役にも立たない程、俺とお前達の差は大きい。精々その身で理解し、今後に活かせ、雑魚共」


[只今より、【黒塗】ライト・ミドガルズの百人斬りを開始します!初めの相手は、若き獣人の少女達、Cランクパーティー〈アニマリー〉!その巧みな連携は、【黒塗】に通用するのかっ!]



 静まった、いや舞台の外部の音が遮断された。

 彼女らの、息遣いが鮮明に聞こえる。



[それじゃあ、レディ――ファイトッ!!]



 開始の合図が響く。

 全身に魔力を巡らす。イグニティは取り出さない。


 床を蹴る音が聞こえ、想像通り前衛であるイレーヌとルトが駆けてくる。

 フォークは杖を構え、魔法を放とうとしている。

 ミケは、既に矢を弓に番えていた。ライトの渡したエガルチュアの黒矢を使っている辺り、確かに本気なのだろう。


 だが、遅すぎる。


 前衛二人が自分へと近付き切る前に、ミケの弓から矢が放たれる。

 それを確認した後で、床を蹴り、ルトの顔面を掴む。



「――うぬっ!?」

「はい、さよなら」



 そして、彼女を飛んでくる黒矢の軌道と丁度重なるように投げる。

 何故彼女の方にしたかと言えば、イレーヌより軽装だから近づくのが早かったから、ただそれだけ。


 黒矢が彼女に触れた瞬間、矢の表面に光が走り、炸裂する。

 とても綺麗な軌道で彼女は吹き飛んだ。



「ルトッ!?」

「気を逸らすな馬鹿」

「――アガッ」



 ルトに意識を持っていかれた、隙だらけのイレーヌの腹に拳をめり込めませ、意識を奪う。



―――上級風魔法:エアロスカッター


「効かないって分かってるだろ?」

「分かってます!」


―――超級闇魔法:呪闇刃(カースダークス)



 鋭い風刃を蹴り壊し、フォークとの距離を詰める。


 彼女の持つ杖の先に紫色の刃が生まれた。杖が迷わずに振るわれる。

 一応強く魔力を纏わせた腕で刃を受けると、魔力が切り裂かれコートで刃が止まった。



「惜しいね――っ!」



 空いている方の腕で、フォークに触れようとしたら、それよりも早く彼女はライトから離れており。

 気づけば黒矢が眉間ギリギリにまで迫っていた。



「――あっぶねぇなぁ!!」

「アレに反応するとか、本当に化け物。結構自信あったのに」

「むぅ、あの反射神経、ズルいです」

「いい線行ってたぞ、危うく一撃食らうところだった」



 ライトは、黒矢を馬鹿げた反射神経で掴み虚空へと一瞬で仕舞い込んだのだ。

 本来後衛である魔法使いが近接攻撃で意識を逸し、その瞬間に完全なる意識外からの射撃。

 大抵の者は、この時点で負けているだろうが、そうはいかないのがライト。



「わたし達は、ルトやレーヌと違ってまっすぐ戦わないので、覚悟してください、ライトさん!」

「ん、負ける気ない」

「そりゃ、楽しみだっ!」



 再度、地を蹴り彼女らとの距離を詰める、わけではなく後ろへと回り込む。



―――上級地魔法:大地の檻壁(グラウンド・ジェイル)


「まじかっ」

「これでも喰らう」


―――中級弓術:跳曲矢射(ラピッドルアロー)



 後ろへと回れば、既に予測され準備されていた魔法が発動し盛り上がった地面が、檻と化してライトを包む。

 檻の合間から入り込んできた黒矢を避けるが、矢はぶつかった箇所で落ちるのではなく反射し勢いそのままにライトに再度飛んでくる。



「この程度なら、避けられないことは――」

「放った矢が、一本だけなんて言った覚えはない」


―――上級弓術:爆裂の炎矢エクスプロード・アロー



 そんな微かに聞こえた言葉と同時、右足に何かが触れる感覚が走ると、間を置かず爆発が巻き起こる。

 檻ごと吹き飛ばされ、身体が宙を舞う。

 熱い空気を飲み込んだ喉が僅かに焼ける。


 身体が床へとぶつかると同時に、床に腕を無理やりに突き刺し、これ以上の移動を止める。



「――ハッ!!」

「見てないのにっ」

「気ぃ抜いてんじゃねぇ」



 煙を突き破り飛来してきた黒矢を、気配だけで感じ取り掴む。

 床から腕を引き抜いて、跳び上がり晴れた視界で黒矢を素手でミケへと投げ返す。


 彼女ではなく、彼女の足元に当たった黒矢はそこで爆発する。

 手元に黒矢が転移で戻ってくる。


 床へと降りる最中、フォークの場所を確認し、足が着いた瞬間にそちらへと駆ける。



「これで終わりだ」

「そうはいかな――」

「遅いんだよっ!」



 フォークが杖を振るうよりも早く、一歩先に踏み出し、腕力で杖を叩き飛ばす。

 反対の手で、彼女の首を掴み握力だけで締め上げる。



「あっけない終幕だな」

「まだ、です…」

「そんなわけ」


―――超級弓術:音速之風矢(ゲイル・ソニック)



 右側から、強い魔力の籠もった何かが飛んでくる感知する。

 僅かに視線を向けれるよりも早く、フォークを掴む腕を何か貫く。


 右腕が爆ぜ、身体も吹き飛ばされる。



(一瞬だけ見えたが、良い根性してやがる!)



 床を転がりながら、笑みを浮かべる。

 ライトには、少しだけだが、見えていた。

 "片足が欠損した状態"で膝を突いて矢を放った後の形でいたミケが。


 右腕がなくなった痛みなど気にならないほどに、楽しくて仕方がなかった。



(あの至近距離だ、フォークにもダメージは入っている筈だ、どこまで行けるかね)


―――超級炎魔法:イグニスブラスト


「くくっ、ここで超級か。決めに来てるな」



 轟々と巨大な炎の球がライトを焼き尽くそうと迫る。

 だが、笑みは絶えない。



「誇れ、Cランクの癖に俺に魔法を使わせたってな!」


《黒剛彩王-虚の理-悪逆非道-暴虐非道-偽詐術策-聡明》


―――中級時空魔法:テレポート


「――頑張ったな、フォーク」

「はうがっ……」



 彼女の後ろへと転移し、首裏に蹴りを入れて意識を奪う。

 刹那、矢が飛来する。



「普通の速度じゃ、届かないぜ」



 これまでと同じ要領で、矢を掴み、万力を籠めて投げ返す。

 空気が切れる音の後に爆発音が聞こえた。



[――ゲームセットッ!勝者、ライト・ミドガルズッ!!]



 遮音が解除されたのか、耳に歓声が響く。


 訓練場の機能が作動し、舞台が修復され、損傷した身体が元に戻る。

 四人は、身体は戻った状態で倒れて気絶している。



「思ったより、いい動きしてましたね」 



 そう呟きながら、入ってきた救護班が四人を連れて行くのを楽しそうに眺めた。



◆投稿

次の投稿は7/1(土)です。


◆作者の願い

『面白い』,『続きが気になる!』と思った読者の皆様へ。

後書き下の「ポイントを入れて作者を応援しましょう!」から、評価『★★★★★』をお願いします!

その他『ブックマーク』,『感想』に『いいね』等々して頂けると、大変励みになりますので!



□■□■□



◆技解説

魔法技録

上級風魔法:エアロスカッター 広い幅の鋭い風の刃を放つ 切断力高め


上級地魔法:大地の檻壁(グラウンド・ジェイル) 指定した場所の地面を檻状変形させ対象の行動を制限する


超級闇魔法:呪闇刃(カースダークス) 使用した物品に闇の刃を作り出す 魔力を切り裂くことが可能 攻撃時対象の行動速度を一定時間下げる


スキル技録

中級弓術:跳曲矢射(ラピッドルアロー) 矢が物体に衝突しても跳ね返るようになる 技量によって跳弾回数変動


超級弓術:音速之風矢(ゲイル・ソニック) 音速の矢を放つ 風を纏っており空気抵抗を受けない 裂傷効果あり


◆蛇足

語り部「結構危ないところまでいったよな」

白き槍「そうでもないかと思いますよ?ライト様は殆ど魔法も、それこそ蛇王蛇法も使っていませんから」

蛇の王「身体の損傷など、ほぼほぼ意味をなさんからのう」

語り部「まあ、そう言われれば確かに。何かライトの身体能力の高さとイカレ具合浮き彫りになった感じがする。飛んでくる矢手で掴むし、片腕なくなっても笑ってるし、地面に腕突き刺して止まるし、やっぱり化け物だよなぁ」

蛇の王「まわりが強いから薄れがちになっていたが、ライトもまた上から数えた方が早い強者、ということじゃ」

白き槍「流石、ライト様です」



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