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5-17【黒塗】ライトVS【蛮勇】イスカル 下




「死なないように藻掻け、お坊ちゃん」


《黒剛彩王-虚の理-杖術:天級-剣術・蛇道:上級-悪逆非道-暴虐非道-偽詐術策-回避錬術-怪力-聡明》


―――中級重力魔法:重々加重(グラヴィティアス)


「――ッカ!?!?」



 重力の増した右腕が、まだ唖然としていたイスカルの顔面を捉える。

 ゴリッと何かが砕けるような感触がしたが、ライトの知ったことではない。



「オイオイッ、何ボーッとしてんだよっ!」


―――上級杖術:(かた)()戦刃(せんじん)薙流(ナギリュウ)



 大きくよろけた彼の胴に、魔力を籠めた蹴りを放つ。

 籠められた魔力が炸裂し、衝撃で彼を水平に吹き飛ばす。


 ライトがイグニティ及び武器を使わないのは、武器を使うとさっさと終わって面白くないから。

 と、ヨルと戦う時の想定で身体そのものでの攻撃の扱い方を練習しているからだ。

 そう、唯の実験台である。中々生身の人型の生物に使う機会はないので、かなり張り切っている。



「まだ死んでないだろ?さっさと起きろ」

「うっ…貴様、何をっ」

「ありゃ?その程度も分からねぇのか?別に複雑な動きはしてないさ、ただ殴って蹴っただけ。魔法は使ったけどな」



 ただ殴って蹴ったというのは、少し語弊がある。特に蹴ったという部分には。

 通常の者は、武器で使うスキル技を生身で使うことなどしないからだ。それがあるのは体術・武術だけ。


 身体の至る所から血を流すイスカルは、身に着けている装身具の効果なのか、鎧が無くなり防御力が下がっている筈なのに、新しく血石が砕けたようには見えない。



(別のパターンで殺してみるか)

「少し、遊び方を変えよう」

「遊び方、だ――」



 イスカルが口を開いた瞬間には、ライトは前に出した人差し指を左から右へ動かしていた。

 まるで、空中に線を引くように。



《黒剛彩王-虚の理-悪逆非道-暴虐非道-偽詐術策-聡明》


―――虚の理:≪空間支配法則(SpaceRule)空間分離(Separate)



 空間に白い光が一瞬走ったかと思えば、イスカルの首がズレて落ちる。同時に身体も地に伏せ、分離面から血が吹き出す。

 理でイスカルの首を分けるように支配した空間を分離させたのだ。



「確実に死んだが、どうなるか」



 何故このようにやったのかといえば、血石の効果を確かめる為。

 確かにこれまでの攻撃で血石で砕けているのは、分かっているがそれが物理的衝撃で壊れているのか、死の肩代わりで砕けているのかは判別不能だった。

 さっきまでそれで砕けてる体で戦ってたろとかは、言うんじゃない。



「あれ?死んだまま――うわっ、そうなんのか」

「……ぁ…わ、私は」



 何も怒らず、死に切ったかと思えば、瞬きの間に首と胴が元に戻っていた。

 耳には、何かが砕ける音が確かに入っていたので、血石の効果だろう。



(ダメージを引き受けるんじゃなくて、死んだ後に時間を巻き戻した?……ああ成程、だから今まで仕組みが分からなかったのか)



 イスカルが何系統の力によって蘇生されたのかを即座に見抜いた。

 また、何故自分が気づけてこれまでの者が『生命(いのち)血石(けっせき)』の効果を解析できなかったのかも理解する。


 時空系統、というか虚属性に属するものは、そもそも扱い手が少ない為感知出来る者も少なかったのだろう。

 そもそもの全数が少ない中で、効果が発動する場に虚属性持ちが居ることの方が稀。だから今まで分からなかったのだ。

 これは歴史的な発見なのだが、当然ながらライトは面倒なのでこれを仲間内以上で話すことはないだろう。



(待てよ?それだと肩代わりって言わなくないか?いや、本来死ぬ前に発動して傷を無くすのか)

「――をした、何をした、何をした何をしたっ!!貴様は一体何なのだ!」

「うるさいなぁ、ちょっと一回死ねよ」


―――超級重力魔法:超常加過重力アル・グラヴィティエスト


「――アギャッ」



 ライトが伸ばした人差し指を床へと向けると、グチャリと肉の潰れる音と奇怪な声が聞こえ、イスカルが赤黒い個体混じりの液体へと変わる。

 中々のスプラッター映像に、会場が始まりとは別の静まりを見せた。



「対象はアイツだけに絞ったから、アクセは壊れてない筈、一つくらい貰っておくか」


―――中級時空魔法:テレポート



 転移で近づき、血溜まりの中から赤い宝石の付いた黄金の腕輪を引き上げ、虚空へと仕舞い込む。

 血汚れた手を振るい、溜息を吐いたところで、目の前には血石の力で戻されたイスカルが居た。

 顔には、明確な恐怖が浮かんでいるように思えた。



―――()らい()くせ炎蛇(えんだ)


「――!?!?――!!!!――」

「何言ってんのか分かんねぇよ」



 掌から生じた渦を巻く炎が、イスカルを巻き込みながら焼いていく。

 弾ける炎の音の合間に聞こえる断末魔は痛々しい。


 炎が消えれば、床に落ちる黒焦げの死体。

 それもまた瞬きの間に元の形へと戻ってしまう。

 何度も死ぬというのは、どのような感覚なのだろうか?



「何度も死ぬっていうのは、痛いよなぁ苦しいよなぁ。俺も経験したことあるぞ。まあ、お前より綺麗に殺されてるから、まだマシかもしれねぇけど」


《黒剛彩王-杖術:天級-剣術・蛇道:上級-悪逆非道-暴虐非道-回避錬術-怪力》


―――蛇剣舞:風蛇(ふうだ)飛裂刃(ひれつじん)



 いつの間にか取り出したイグニティを横薙ぎに振るう。

 唸る風刃が、イスカルの胴と脚を切り分ける。


 それだけでは、当然殺しきれてはいない。



「こっからは、だたの暴力だ。――覚悟しとけ!」


―――蛇剣舞:地蛇(ちだ)剛撃(ごうげき)



 イグニティが彼の胴を真っ二つにし、後から来た衝撃が彼を肉片へと変える。


 先程よりも格段に早く、彼は再生されてしまう。

 まるでそれが分かっていたかのような動きで、イグニティを持たない空いた拳で腹を抉るように殴る。



―――蛇剣舞:死蛇流光突(シダリュウコウトツ)



 赤黒い光を放つイグニティの切先が、彼を貫く。

 彼の身体から色が抜け、ボロボロに崩れさってしまう


 ライトが少し後ろへステップで下がるとまた、彼は再生される。



―――(つつ)(しば)水蛇(すいだ)



 水の蛇が、彼を縛り上げ包み込む。

 水球の中で藻掻く彼は、酷く滑稽な姿で、それを見たライトは愉快そうに笑う。

 ゴポリと、一際大きな空気の塊が彼の口から出る。



―――蛇剣舞:蛇螺刃風(ダラジンプウ)



 ライトは、居合の構えからイグニティを振り抜く。

 一陣の風が吹き、イスカルをズタズタに切り裂いた。


 また彼の身体は再生された。



「まだまだ血石は残っているようだな、さあ楽しもうか、イスカル!」

「やっ、ヤメローーーー!!!」





◆◇◆





「これで終わりだ、敗北者イスカル、お前の蛮勇は何の意味もなかった、本当に唯の無謀だったってわけだ」


―――超級重力魔法:圧壊重力爆弾(パスガルボム)



 灰色の魔法陣が霧散すると同時に、発生した異常重力がイスカルを破裂させる。

 パンッと弾けるその姿は、風船のようで面白い。



[ビ〜〜〜!!]



 耳に五月蝿い機械音が響く。

 そして、



[勝者〜ライト・ミドガルズ〜]



 という気の抜けたソヨの声が響いた。



◆投稿

次の投稿は6/25(日)です。


◆作者の願い

『面白い』,『続きが気になる!』と思った読者の皆様へ。

後書き下の「ポイントを入れて作者を応援しましょう!」から、評価『★★★★★』をお願いします!

その他『ブックマーク』,『感想』に『いいね』等々して頂けると、大変励みになりますので!



□■□■□



◆技解説

魔法技録

虚の理:≪空間支配法則(SpaceRule)空間分離(Separate)≫ 支配下にある空間を使用者の意のままに分離する 空間内の物質などに分離の工程が邪魔されることはない


蛇王蛇法技録

()らい()くせ炎蛇(えんだ) 起点から渦を巻く炎を発生させ対象を捻り潰す 延焼効果あり



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