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5-12.5 時空神の指導





「――ふむ」



 気が付けばライトは、自分以外の全てが真っ白の何もない空間に立っていた。

 そこが、いつもの夢空間だというのに気づくのに、もう時間は要らない。



「よく来たわね。馬鹿王」

「今回はクロノスだけですか」

「様を付けなさい、様を」

「じゃあ、クロノスも馬鹿王と呼ぶの止めてくれますか?」



 馬鹿王と彼を呼ぶ、少女――クロノスは、その言葉を受けて数秒黙り込む。


 そして、意を決した様子で僅かに顔を赤らめて、



「じゃあ、その、ら…ライト」



 そう言ってくる。

 ライトは、そんな彼女を半笑いで見ながら、



「はい、クロノス」



 と返す。



「――ちょっと!?様付けなさいよ!折角アタシが呼んであげたんだから!」

「別に馬鹿王と呼ぶのを止めてくれと言っただけで、僕が様付けをするなんて言ってませんけど?」



 当然怒るクロノスだが、またもへらへらと返すライト。

 全く、本当に性根がひん曲がってるね。



「このっ…まあ、良いわライト」

「おや、張り合ってくれないんですか」

「アタシは、慈愛深き女神だからね、この程度のことで怒ったりしないわ」

「前回同じようなことで、腹を殴られた気がするのですが」

「さあ、アタシの記憶には無いわね」



 どっちも偏屈と言う他ない。

 言い合いが一段落した所で、クロノスが彼の瞳をしっかりと見据えて、話しかけてくる。



「それじゃ、指導を始めて行くわよ」

「了解です」



 言われずとも、今回此処に呼ばれた理由は分かっていた。

 虚の理の使い方の指導である。提案はライト、ではなくタナトスだ。


 彼女が、ライトに理の操作の使い方を指導するといったら、便乗してクロノスもやるといったのだ。

 タナトスからは既に死の指導の一回目をしてもらった後だ。



「初めにハッキリ言うけど、時空は虚属性の中でも操作難易度が高いわ」

「でしょうね、逆に簡単に操作できた方が問題です」

「ミスれば、世界に大きな影響を与える。繊細な操作が必要よ。まあそもそも繊細な操作じゃないとまともな効果も得られないけどね」

「下手にやれば、簡単に市に死にますしね。前に使用中に意識が乱れたせいで腕が消えたことがあります」

「それ、転移の時でしょ、あれは指定した空間の置換だから、指定外に出た部位が切断されたりするから」

「あの時はまだ、立体的な空間の指定に慣れてませんでしたからね。若気の至りというやつです」

「アンタまだ十分に若いでしょうが」



 これは、かなり前のことで、まだハジノスに居た頃の話。

 初めて虚の理を使用して時空魔法を使ったt時、魔法陣生成中にヨルに話しかけられて転移で腕が切断された。

 まだ身体の欠損に慣れていない時だったので、彼が焦り散らかしたのは秘密である。

 その後、直ぐにヨルなら簡単に治せると思い出して、頼んだら焦りようを一週間くらいの間弄られ続けた。



「ライト、時空を扱う上でアンタに足りないのは才能でも能力でもなく、基礎よ」

「基礎?もう十分やってると思ってるんですけど」

「その思考が駄目、そう言いながらアンタは応用――"技"に拘り過ぎなのよ。アンタ的には術って言った方が分かり易いかしら」

「技、ですか」

「必要な才能は既にある、扱える能力も既にある。なら、アンタに足んないのは、基礎。まだまだアンタは高みに登れるわ」

「意外と評価してくれてるんですね」



 話の間に垣間見える、自分への高評価にライトは率直に驚いた。

 クロノスからの態度は、お世辞にも良いとは言えないのでかなり下に見られているかと思ったのだが、そうではないらしい。


 彼女は、彼から顔を逸して、小さく言う。



「彩王の座に就くくらいだからね。そりゃ、一定の評価くらいはしてるわよ。可愛げはないけど、嫌いじゃないわ。……それに、結構好み――いやっ何でもないわっ!」



 声を勝手に一人で大きくして頭を振るクロノスを、不思議そうな顔――ではなくこちらも顔を逸した状態で聞いて見ていないライト。

 一つ、言っておくとすれば彼は滅茶苦茶に耳が良い。然も最近神化の影響で更に鋭敏になっている。

 ライトの方もクロノスのことを別に悪くは思っていない、敬う心がないだけで。


 落ち着くための時間、経つこと五分ほど。



「それじゃ、ちょっとこれ受けてみなさい」

「分かりました」

「えいっ」

「何をっ――」



 クロノスが手を動かしたかと思えば、パンッとライトの頭が風船のように弾けた。

 即座に何かの力で蘇生された彼は、何が起きたのかと自分の体を見る。

 何の手がかりも得られなかった彼は、彼女の方を見た。



「時空操作の基礎よ。ただ、生成した空間を圧縮して、ぶつけただけよ」

「空間を生成?圧縮?」

「ほら、全然分かってない」

「くっ、流石は時空の神と言ったところですか」



 ライトは初めて、クロノスの凄さを理解した。

 神に対して不敬ではあるが、それが彼だ。


 空間の生成など、考えたこともなかったことを普通にやる彼女は正に神に思えた。実際にそうなのだが。

 彼の中の常識が崩れた。

 実際に存在しているとは明確に言えない、認識的なものを生成出来るということが、完全に彼の常識を覆す。



「クロノス……様、ご教授お願いします」

「様付けにラグありすぎじゃない?バグったのかしら」

「はぁ?そんなこという奴に様付けは要らないな、クロノス」

「どこまでも生意気、ねっ!」

「舐めるなよ?一回見たら、大丈夫だ」



 彼女の手を振る動作から、先程の死んだ時を思い出し、手の延長線上から避ける。

 ニヤリと彼女の口が歪む。



「――一発なんて言ってないわよ?」

「え?」



 ライトは、腹が弾けるように消えて死亡する。

 そして再度蘇生させられる。

 何が起きたのか分からず、先程よりも強い動揺が彼を襲う。



「な?え?な……」

「別に分かりやすいように動作をしてあげただけで、しなくたって出来るに決まってるでしょ?なんたってアタシは、時空を司る神なんだから。空間を操作してぶつけてアンタを殺すことも、時間を巻き戻してアンタを蘇らせることも容易よ」

「…………」

「さあ、立ちなさい。実践に勝るものはない、だったかしら。アンタの言葉に倣って、してあげるわ」



 見えないが、クロノスの背後に無数の球体のようなものがあるのが、感覚で分かった。

 じっとりとした汗が首を伝う。



「この空間で、今回は虚の理だけは使えるようにしておいてるわ。それで防ぐか、認識して避けるかしなさい」

「成程」

「一旦の終わりは、アンタが百回死ぬまでよ。頑張りなさい」

「死ぬ前提か、面白い。その思惑、壊してみせる」

「やっぱり、威勢だけは良いわね」



 指導が始まっていく、


 ライトが自分の言動を後悔するのに、そこまで時間は掛からなかった。



◆投稿

次の投稿は6/12(月)です。


◆作者の願い

『面白い』,『続きが気になる!』と思った読者の皆様へ。

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