4-29 第ニ次 黒剛の王VS蛇の覇王 中
軽く体調を崩しておりまして、昨日は投稿できず申し訳ありません。
横薙ぎに、銀河の刃が振るわれる。
ヨルをして素では、捉えることが困難な程の速度の攻撃だ。
「くっ、だから硬すぎんだよっ!!」
「当然じゃ『最硬』であるからに、な!」
身体と刃の接触したとは思えない程の金属音が響き、ヨルの腕にイグニティが止められた。
お返しとばかりに放たれる風を纏う蹴りを身体を捻り回避、勢いのままに黒を纏う刃を彼女へと叩きつける。
やはり、傷は付けられない。
(どれもこれもまともな攻撃になんない、このままだと体力切れで俺が負ける…それだけは避けなきゃならない)
同じような攻防を既に何度も繰り返しているのだ。
ヨルの硬さは、身体能力ではなくスキルから来るものらしく、黒い王気の性質【侵蝕】も意味を為さない。
どうやら身体の表面に不可視にして頑強な壁を作るスキルのようで、それは差し詰め"鱗"のようにも思えた。
不意に攻撃が通るところから、常に使用している訳ではないのは分かるのだが、それが知覚出来ない為タイミングが掴めないでいる。
(その不可視の鱗ごと叩き切れれば、良いんだが威力が、破壊力が足りないんだよな)
恐らく、今の状態のライトならば砕けない強度ではないのだが、それだけの攻撃を当てることが出来ない。
というよりは、当てられているが威力の大部分を受け流されてしまっているというのが正しい。
ヨルも危険だと分かっているからだろう、ほぼ完璧に攻撃を殺されている。
(…ん?破壊力……そうか破壊りょ――)
「――燃え尽きろ」
―――再事翼蛇・事実改変=火炎の理・変異:≪天喰らう焦滅の業蛇炎≫
青黒い炎が、知らぬ間に眼前に迫り、ライトを灰に変えんとする。
いつものままだったならば、既に死んでいただろう熱量だと理解しながら、空いている手で口を覆う。
して、小さく呟く。
《黒剛彩王-神罰執行-悪逆非道-暴虐非道+疑神暗戯-終末的退廃理論-狂気恐悦-傲慢不遜+戦威無為》
「『絶えろ』」
露出した肌が焼ける痛みを感じた所で、炎を消え去る。
晴れた視界には、ヨルは居ない。
《蛇之覇王-円環の理-蛇王蛇法-武術・蛇道:神級-戦威無為-堅牢堅固-神喰-不動-隔絶-破魔-etc.》
―――円環の理:≪壊奪魂生・隔離する封印の百腕≫
「カァッ…ヨ、ル……」
「いつまでも戯れに付き合っている訳には行かぬのだ。今のお主では、我には届かぬ」
胴から生えた腕が、視界に映る。
その血塗れた手に握られているいるのは『真っ黒な脈動する心臓』。
激痛が思考を乱すが、認識できた状況の中で何故自身が生きているのか、意味が分からなかった。
状況から考えれば確実に目に見える黒い心臓は、ライトのモノだ。
自身の心臓など見たことが無い故に断定は出来ないが、やはり確実に彼のモノであろう。
だからこそ、理解が出来ない。
「始める前から、分かっていたことじゃろう。ライト…もういいのだ。お主は十分に頑張った。全力ではなくとも、本気の我の攻撃に耐えた。もう、良いじゃろう」
「な、ニを…」(何を言ってやがる…諦められる訳がねぇ…だろ)
「安心しろ、この界で起きた全ての記憶を喰ってやる。苦しみさえも、全てだ。気に病むことはない。元から、そういう運命だったのだ」
「ふざ、ケルな…」(記憶を、喰う?それこそ…認められる、訳がない)
後方から一方的に告げられる言葉に、怒りが募る。
身を焦がす程の憤りを感じようとも、身体は動かすことが出来ない。
それでも、思考は回る。
「これ以上苦しむことはない、あの神の器もそう――」
「――黙、れ」
「よくそのような言葉をまだ――主、何をっ」
《黒剛彩王-虚の理-神罰執行-悪逆非道-暴虐非道-etc.+疑神暗戯-終末的退廃理論-狂気恐悦-傲慢不遜-etc.+戦威無為》
―――虚の理:≪時間支配法則・時戻しの全舞≫
ライトの首元に現れた淡く光る全舞が、カチリと音を立てて一回転する。
視界が切り替わり、浮遊感と下から上へと流れる風を感じる。
落下していると理解するまでに時間は掛からなかった。
身体から痛みは消えているが、虚脱感のようなものを感じていた。
「でも、やるしかない。足りないなら、届かないなら何度でも巻き戻せばいいだけのこと」
それでも、闘志は瞳から消えていない。
地上へと視線を向ける。どうやらとんでもない高所らしく、落ち続けているにも関わらず、レギノー全体が見渡せた。
違和感を感じる。
(何で、都市がほぼ消えて無くなってんだ?さっきはそこまで大規模の攻撃を俺もヨルもしてなかった筈なのに)
まるで、一度時間を巻き戻す前の時のように、レギノーは崩壊していた。
また矛盾が生じている。しかし、今気にすべきことはそれではない。
(ヨルは…居た、ナイは離れた場所に居て『七種覇王』も離れた所にやっぱ纏まってる。今が、絶好のチャンスだ。…ん?今回は神罰執行が切れてない、それにナイとの同調もヨルの模倣も残ってる。つくづくよく分からん術だ)
分からないことだらけで、混乱もするが何とか意識を集中させる。
ヨルにまだ探知されていないだろう今こそが、最大のチャンスだと気付いたから。
―――包み惑わす幻蛇
薄い膜に覆われるような感覚と共に、自身の気配が漏れなくなる。
(ヨルの身体に攻撃を通すには、破壊力を受け流されずそのままぶつけるか、受け流さても通せるだけの破壊力で攻撃するかのどちらかだ)
どちらも難しいことだ。彼女は、それだけ【最強】だから。
けれども手はどちらかしかしないのなら、選ぶ他無い。
(どっちもやれば問題ないよな)
というわけでもないようだ。余りにも強引だが、間違ってはいない。
この無理矢理こそが、彼を彼たらしめる強さだ。
手に軽くだが握られていたイグニティをしっかりと力を籠めて両手で掴む。
「速くて重い攻撃、それこそが最も破壊力が出る」
―――再事翼蛇=『重力特異点』&『不変光速』
―――虚の理:≪重力支配法則・超越加重≫
―――虚の理:≪時空支配法則・超越加速≫
身体に、途轍もない重みが掛かる。視界には何も映らず黒のみが映る。
それは分かっていたこと、光速より速く動けば光が瞳の水晶体に届かない反射しない為に、視界には何も映らない。
この理由があるから、ライトは一度目の使用以外にこの加速を使用していなかった。
また、今彼に掛かる重力は、通常の生命に耐えられるようなものではない。空中であろうとも、身体が煎餅のようにぺしゃんこになる程の異常重力だ。
神罰執行とヨルの身体能力無しでは耐え切れなかっただろう。
そしてこの加速と加重が合わった今、彼より速く重いもの――破壊力を有するものは、この瞬間存在しない。
イグニティが漆黒に染まる。
加速加重した刹那には、地上数百mの位置に居たにも関わらずヨルの真上、拳一つ分上に移動していた。
思考も加速させていなければ、今頃唯地面に激突して物言わぬ形も残していない肉塊だっただろう。
身体をくるりと回転させ地面へと足を向け、全身全霊を持ってして漆黒の刃を振り下ろす。
《黒剛彩王-虚の理-神罰執行-悪逆非道-暴虐非道-etc.+疑神暗戯-終末的退廃理論-狂気恐悦-傲慢不遜-etc.+戦威無為》
―――八彩王法:黒刃は、天地を壊す
起きたのは、天災とも呼ぶべき空間の崩壊。
正常に戻った彼の視界に映ったのは、振り下ろした刃が空間を歪め黒く染めながら、粉々に大地を砕いているところと、"宙を舞うヨルの右腕"だった。
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次の投稿は4/29(土)です。
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◆技解説
魔法技録
火炎の理・変異:≪天喰らう焦滅の業蛇炎≫ 使用者の周囲一帯を業炎によって燃やし尽くす 業炎は任意で一点収束など操作可能
補足:業炎 どんな状況下に置いても燃焼し続ける不変の炎 本来周囲の燃焼可能な全てを飲み込み肥大化し続ける
虚の理:≪重力支配法則・超越加重≫ 重力系加重の特異点状態でのみ使用可能 加重状態の対象の周囲の空間そのものに加重を行い重力の世界限界である重力特異点を超越する
補足:『重力特異点』及び特異点状態 世界が世界の形を留められる限界の重力が掛かった地点の状態
※実際に違いますが本作品での定義ですのでご容赦を。
スキル技録
円環の理:≪壊奪魂生・隔離する封印の百腕≫ 使用者を対象の魂を破壊・強奪・保持が可能な状態へと移行させる 魂への干渉には対象の心臓部への物理的な接触の必要あり 魂への干渉途中・過程で攻撃対象が死亡することはない
※上記は ≪壊奪魂生≫の説明であり追加効果である隔離する封印の百腕の説明は『未使用の為、未開示』である
王法技録
八彩王法:黒刃は、天地を壊す 王気を剣の刃へと集束させ圧縮し対象を切断する 被撃後は集束した王気が解放され空間ごと侵蝕し崩壊させる 耐性貫通 防御無視




