4-23 フラグ回収は遅い方が良い
昨日中に投稿できず、申し訳ありません。
少し立て込みまして、時間が取れなく遅れました。
「ライト……」
「ナイ、助けに来た。今その鎖外すから」
崩れた床に鎖で繋がれているナイを見て、ライトは直ぐ様、空色の魔法陣を形成する。
―――超級時空魔法:スナッチアポーツ
魔法陣が霧散し消える代わりに、その場所にナイが現れた。
彼女を正面へ腕で引き寄せ、強く抱きしめる。半ば反射的なその行動も彼女は、少し驚いただけで受けいれてくれる。
自然と言葉が漏れ出ていた。
「ナイ…無事で、良かった」
「貴方の方こそ」
「俺のことなんて、どうだっていい」
「良くないわよ、もっと自分を大切にしなさい」
「…善処するよ」
自身の心の弱さを、今これでもかとライトは理解した。普段は分かっていなかったが、彼女を抱き締めた現在、感じるその温かさが、隣りに居てくれる存在の大きさを感じさせたのだ。
恐らく、そうしっかりと感じれたのは、ライトとナイの間の関係が限りなく対等に近いからだろう。
ヨルは、気兼ねなく接せられてはいるが、師であり目標でありそもそも現時点絶対に敵わない為、表面上は対等だが心持ちとしては上で対等ではない。
ミスティアナは、ヨルとは逆で表面上明確に下な奴隷で、彼自身は対等にしようと意識しているが、彼女の方が、下手に絶対来る(偶に違うが)ので、どうしても対等とは言えない。
対してナイは、言動こそ上からだが基本的にはお願いであり、傲慢不遜な態度なのに身の回りのことは自分でやる。
そのくせに、知識と戦闘などの師はライトというチグハグさ。
それらがギュッとなった結果、一番対等に近いのが彼女だ。つまり、時間は短くも隣に立っていてくれている感が一番強いのがナイなのである。
だから、その温かさが胸の内に染み広がる。
「にしてもナイ、何だか雰囲気が――」
『――貴様ァーー!!!』
「チッ、うるせぇなぁ!!!」
狂気の叫びが辺りの空間を震わす。
不快感を欠片も隠さずライトは怒鳴った。
『貴様ッ、貴様その力、その気配『黒剛の王』かっ!!』
「あ?今頃気づいたのか?遅ぇなぁ」
『前の『黒剛の王』には大きな、そう大きな借りがある。故に――今此処で殺すっ!!』
黒き王気が引いたボロボロの地面から無数の触手が現れ出て、二人を貫こうと殺到する。
彼は顔を緩めず、イグニティを乱雑に振るう。
《黒剛彩王-杖術:天級-剣術・蛇道:上級-悪逆非道-暴虐非道-回避錬術-怪力》
―――超級杖術:杖楽舞侭
全ての触手がバラバラに切り裂かれる。
「おいおい、強度が足んな――」
[――当然ダ。囮ダカラナ]
《不死魔王-不死の理-魔法・邪道:神級-確定確立-魔導深淵-叡智-月蝕-背理-悪意》
―――神級闇魔法・邪道:呪影刃の千刺
崩れた瓦礫の下から、数え切れない赤黒い刃が飛んでくる。
その物量から回避を即座に選択した。
ナイを抱きしめる形からただ腕で引き寄せている形に変え、魔法を使う。
―――中級時空魔法:テレポート
「――な、追尾系か」
上空へと転移するが、刃は唸りライト達へと迫る。
数が数なだけに大技を使わなければ、消しきれないが如何せん速度も早く、回避を続けることになる。
―――中級時空魔法:テレポート
―――中級時空魔法:テレポート
―――中級時空魔法:テレポート
―――中級時空魔法:テレポート
―――中級時空魔法:テレポート
「ここだ」
《黒剛彩王-虚の理-蛇王蛇法-杖術:天級-剣術・蛇道:上級-悪逆非道-暴虐非道-偽詐術策-回避錬術-怪力-聡明》
―――蛇剣舞:岩蛇天蓋斬
―――超級重力魔法:超常加過重力
連続で転移を繰り返し、魔法の追尾を惑わしながら距離を取り、刃群の上の位置に移動しイグニティを振るう。
軌跡に出来上がった岩の刃が肥大して落ち、刃を砕き潰す。
「こんなもんか」
《狂気魔王-狂気の理-武術・邪道:神級-触烙奇手-不倶戴天-破壊砕衝動-天賦-絶腕-狂乱》
―――天級武術・邪道:不全化の血弾
「――なっに!?」
「ライトッ!?」
気配が全く感じられなかった。
意識の外側から放たれた血の弾丸と呼ぶべき物が、ライトの右肩を貫く。
身体から力が抜け、地面との距離が急速に縮まりだす。
「舐めんなっ!」
《黒剛彩王-虚の理-悪逆非道-暴虐非道-偽詐術策-聡明》
―――神級時空魔法・変異:非想天の逆巻時計
掌に生じた魔法陣が彼の身体を正常な時へと巻き戻す。脱力感も消え、傷も消える。
地面が、直ぐそこだ。
―――包み守る風蛇ッ!
風が二人を包み、地面への激突を避けさせる。
一息つこうとしたが、そんな余裕この場には無い。
《不死魔王-不死の理-魔法・邪道:神級-確定確立-魔導深淵-叡智-月蝕-背理-悪意-不変》
《狂気魔王-狂気の理-武術・邪道:神級-触烙奇手-不倶戴天-破壊砕衝動-天賦-絶腕-狂乱》
―――天級氷魔法・邪道:氷統べる時代・為す術も無く凍てつけ
―――神級武術:炎天を貫く・狂王羅殺貫
不死を中心とした地面や瓦礫全てが白く染まっていく。
反対側からは高速で、一本の鋭い触手が赤黒い力を纏って迫ってきている。
どちらとも対応出来なければ、重傷は確実だろう。
転移で避けれれば良かったのだが、それは出来なかった。彼自身が次の転移に耐えられそうになかったからだ。
転移は、使用者の指定した対象とその周囲の極近い空間と転移先に指定した空間を置換する行為。
それは非常に高度であり、イメージが少しでも崩れると身体が引き裂かれたりなどする為、難しいのもあるが危険なのが大きく非常に使い手が少ない術である。
この転移、実は結構身体に負荷が掛かっていたりする。
急に場所が変わる為に、五感から脳に入る情報が急に変わる、故に脳が混乱してしまうか処理が追いつかなくなってしまう。
それを俗に転移酔いという、吐き気や意識の混濁などの酔いに似た症状が出るからそう呼ばれる。
ライトは既に六回連続で転移をしている。並の者ならば既に意識を失っている回数だ。
だが、これ以上間隔を空けずに使えば、何かしらの症状が出てしまう。
その隙は、今の状況では致命的になる。だから使うに使えない。
―――再事翼蛇=火炎の理:≪不死鳥の炎翼≫
赤い膜のようなものが二人を包む。
既に僅かに感じてきていた寒気が消えてなくなり、片方はこれで対応出来た。
しかし、触手の方は間に合いそうになかった。
近付く速度は魔法よりも触手の方が早かったのにも関わらず、魔法の方から対応したのは完全なるミスである。
それを理解する瞬間には既に、触手は眼前に迫っていた。
「間に合わなっ――」
「――『逸れなさい』」
『クッ、やはり無理か』
触手がライトの胴を貫く、かと思ったギリギリのところで触手が逸れる。
狂気の悔しそうな声が聞こえた。
ライトは即座に、それがナイによって起こされたことだと判断する。
「ナイ、今のは」
「ワタシの本来の力よ、詳しいことは後で話すわ。それと、あまりワタシのことは気にしなくても良いわよ。今なら、貴方の手を煩わせなくても自分は守れるわ」
「そう言うなら、信用したからな?」
「ええ、任せなさい」
白くなった地面へと降りて、彼は意識を改めて警戒をする。
彼女の言う通りに、彼女を一度意識の外にやり、注意すべき対象を絞った。
(そういえば、もう一体の魔王は――)
「――フフッ、あらあら何で気を逸しちゃったの?」
「っ!?て、めぇ何時の間……」(ちょっと待てよっ……)
背後から嫌な声して、振り返る。
魔王と"ソレ"に彼は声が出せなくなった。
(フラグ回収が早すぎるぞ、ナイ)
そこには、『巨大な水晶』があり"その中にナイが居た"。
嫌な汗が、手首を伝った。
◆投稿
次の投稿は4/15(土)です。
◆作者の願い
『面白い』,『続きが気になる!』と思った読者の皆様へ。
後書き下の「ポイントを入れて作者を応援しましょう!」から、評価『★★★★★』をお願いします!
その他『ブックマーク』,『感想』に『いいね』等々して頂けると、大変励みになりますので!
□■□■□
◆技解説
魔法技録
神級闇魔法・邪道:呪影刃の千刺 影から刃を生成し呪いを付与後対象を刺し抜く 呪いの効果は使用者の自由 影から生成している為強い光には弱い 自動追尾あり
天級氷魔法・邪道:氷統べる時代・為す術も無く凍てつけ 使用者を中心とした一帯を凍結させる 凍結したものに接触したものもまた凍結させ次々伝播させる 天級未満の魔法は一帯に入った瞬間凍結され無効化される
スキル技録
天級武術・邪道:不全化の血弾 血液を弾丸として射撃する 撃ち抜かれた対象は思考系以外の身体機能が強制停止される
神級武術:炎天を貫く・狂王羅殺貫 貫通力の極めて高い突きを放つ 突きが当たらずに進んだ距離が長い程威力上昇 貫いた対象の五感をランダムで機能停止させる




