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4-9 頑張って学ぼうっ!姫様





「さて、先ずは魔力を知覚するところからですね」



 気を取り直して、再開。



「魔力は世界中に溢れるものなんでしょ?そんなの空気を見ろって言うのと同じじゃないかしら?無理じゃない」

「いえ、空気は特定の条件下では見れたりします。だから、それと同じように魔力を見るってことです」



 ナイの主張は間違ってはいない。


 そこら辺に溢れているのに見えないものを見る、というのは普通に考えれば無謀だ。

 だって、そもそもが見えていないのだから。

 しかし、魔力にそれは当てはまらない。

 単純に魔力は、空気の成分なんかよりも変質しやすいからだ。


 ライトは、右手へ魔力を流して溜める。

 そして、掌から魔力を放出すると、その上に半透明の球体が現れた。



「こんな風に、魔力は一定以上の濃度になる、圧縮されると可視化、視認できるようになります」

「へぇ~、凄いわね。触ってもいいかしら」

「いいですよ。まあ、触れるという風にはなりませんけどね」

「わっ、何かぬるま湯に浸かってるみたいな感じ、不思議な感覚ね、嫌いじゃないわ」



 彼女の手が魔力球に触れるとすり抜ける。その中で手をゆっくり動かす様子が少し面白い。

 一通り楽しんだのか、手が魔力球から抜かれた。


 それを確認してから魔力球を消す。



「可視化する程の魔力はかなりの濃度ですから、これが出来るの人はそんなに居ないんですよ?」

「じゃあ、ライトは魔力が多いのね」

「そこそこですけどね」



 見える魔力、というのは須らくあり得ない濃度、圧縮率だ。

 そんな馬鹿げた魔力を普通に身体から出していると視認出来る相手は、化け物中の化け物と判断していい。

 つまり、どっかの蛇とか兎とか精霊のことだ。



「取り敢えず、魔力の感じは少し分かった筈です。なので、次は体内の魔力を感じてみましょう」

「う~ん………………分からないわ」

「ふふっ、でしょうね」



 目を瞑り、腕を組んで悩んでいるように見えるナイに、笑みが零れる。

 だがその様子をずっと眺めている訳にもいかないので彼は、笑みをそのまま口を開いた。



「姫様は、身体の表面で魔力を感じただけで身体に流れる魔力を感じた訳ではないので、分からないだろうと思ってました」

「それが分かってて敢えてやらせたわね?」

「何事も経験です。一度試した、という過程が重要なんですよ」

「むぅ、まあ納得してあげる」

「では、姫様。手を貸して下さい。両方共です」

「はい、何をするの?」

「それはですね……」



 更に笑みを深くしたライトは、差し出された両の手を取り、素早く指を絡める。

 やはりと言うべきか、彼の行動に驚いた彼女は、反射的に手を放そうとして来た。

 当然、力で彼に敵う訳もなく、最終的には抵抗を止めた。



「いきなりしないで、驚いちゃうでしょ」

「すみません、姫様。少し面白そうだったので」

「このっ、後で覚えてなさい」



 少し拗ねたような彼女に、やり過ぎたかと思いつつも後悔は無かった。



「それで、何するのよ」

「こうします」

「ひゃいっ!?ちょ、これ何!?何か流れ込んでくるみたいな感じなんだけどっ!?いやでも、抜けてるみたいな風にも」

「今感じてるのが、魔力です」



 彼が何をしたかと言うと、繋いだ左手から彼女に自身の魔力を送り込み、右手からその魔力を抜いていた。

 魔力の流れる感覚を教えるには、これが一番手っ取り早かったのだ。

 あと、魔力を抜いているのは、余りにも魔力を与えすぎると魔力過多で体調が崩れてしまうという理由がある。


 一連の作業を一旦止める。



「凄いわ。こう、ライトの熱いのがドクドクとワタクの中に注がれていくような、でもそれが溢れて出ていくような……言いようのない気持ち良さだったわね。癖になりそうな感じ」

「……そう、ですか」



 ナイは、率直な感想を言っているだけなのである。

 がしかし、何処かの相棒の蛇に脳を侵されたのか知らぬがライトは、その表現に少しの引っ掛かりを覚えてしまった。

 頭を軽く振って、頭に浮かんだしたり顔の蛇を脳内から追い出す。



「魔力の流れる感じ、分かりましたか?」

「何となく、本当に何となくだけど分かったわ」

「じゃあ、少し難易度は高いですが、僕がやったのと同じこと、やってみましょう」

「頑張るわっ……こんな感じかしらね?」

「う~ん、冷たいですね…うん、冷たい?」


《疑神暗戯-終末的退廃理論-傲慢不遜-魔法》


―――中級氷魔法:ブラストアイス


「――っ!?」



 突如、視界が白く染め上げられ、身動きが取れなくなる。

 全身に感じる冷感に何が起きたか直ぐに理解した。

 それと同時に、イメージをして空色の魔法陣を"二つ"形成する。



《黒剛彩王-虚の理-偽詐術策-聡明》


―――中級時空魔法:テレポート



 視界が晴れ、元の草原が映ると目の前に氷塊があり、その中にナイが見えた。

 予め準備していた魔法を使う。



―――超級時空魔法:スナッチアポーツ


「大丈夫ですか?姫様」

「はえっ……何が起きたの?」



 魔法陣の霧散と同時にその位置にナイが現れる。

 彼女は、状況が理解出来ていない。彼はそんな彼女に溜息を吐く。



「多分、姫様の魔法が暴発したんです」

「え?どういうこと?ワタシ魔法なんて使ってないわよ?」

「だからですよ。魔法は、魔力を操作、体外への出すという行為と同時に明確なイメージあると発動するんですよ」



 魔法の発動過程の説明。

 体内中の魔力を身体外部へ出す→同時に何かしらの明確なイメージを持つ→魔力がそのイメージに合った魔法陣へと変化・形成→魔法陣が周囲の魔力へ作用→魔法発動、という感じだ。

 勿論、明確なイメージがあっても、術者の向き不向きや才能というものがあり、全てがイメージ通りに行くとは限らない。



「姫様、魔力を操作してる時に、別のこと結構しっかり考えませんでした?」

「……考えたわ。喉が渇いたから、朝食の時に飲んだお茶が飲みたいって。氷が入ってて冷たかったなぁ、って考えたわ」

「完全にそれのせいです。一般的に、意図せず魔法を使ってしまうことやイメージと違う魔法が発動することを魔法の暴発と言います。姫様のは、それです。しっかり、魔力だけに意識を向けないからですよ?」

「その、ごめんなさい。ワタシだけだったらかなり危なかったし、助かったわ。ありがとう、ライト」

「全く仕方ありませんね、姫様は」



 少し、しょんぼりとした雰囲気になった彼女の頭を軽く撫で、虚空から取り出したタオルを被せて、その身体に少しだけ付いていた氷を取る。



「うぅ、少し寒いわね」

「まあ、一瞬でしたけど氷の中に居ましたし、当然ですね。はい、飲んでください」

「これは?」

「唯の紅茶です。冷たい物を飲むのは、一度身体を温めてからです」



 虚空から取り出した簡易的な机の上に温かい紅茶を置く。

 彼女は、それを綺麗な所作で飲む。



「美味しい」

「それはどうも、少し休みましょうか。元はと言えば、僕が少し難しいことをさせたのが悪いですし、休憩タイムです」

「ふふっ、ありがと。それじゃあ、お菓子でも出してくれないかしら?」

「はぁ、これだから……良いですよ、クッキーで我慢してくださいね」



 草原にて、学びの合間の休息を二人は楽しんだ。



◆投稿

次の投稿は3/25(土)です。


◆作者の願い

『面白い』,『続きが気になる!』と思った読者の皆様へ。

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その他『ブックマーク』,『感想』に『いいね』等々して頂けると、大変励みになりますので!



□■□■□



◆技解説

魔法技録

中級氷魔法:ブラストアイス 氷弾を放ち被弾した対象を凍結させる



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