2-32 追及No続行
―――それでは、区切りもついたし戻ろうか。三か月後へと。
「蛇王蛇法で出来たなら、僕の"三か月"の苦労と羞恥を返して欲しいです!僕がミスティの契約者だからって理由で断り、『着替えられないミスティの着替えを僕にやらせた』のヨルですよね!!」
これより前が気になる人は普通に話を戻ってくれ。
描写的には少ないというか無いが、ライトはミスティアナの着替えを行っていた。多分今後入ると思う。
押しに弱く、なし崩し的に肉体関係とか持つ男だが、精神力お化けであり、自分が好意的に思っている少女の着替えをすべてやるという偉業を過ち無く為し遂げたのだ。
普通に凄いよね。
「うっ、いや、そのだな」
「正当な説明か謝罪を要求します!」
逃がさないという気概がありありと感じられるライトは、ヨルに詰め寄る。
珍しくも、動揺したように見えるヨルは、あわあわとして答えることが出来ていない。
(くっ、完全なる想定外。ミスティめ、我が蛇王蛇法による"洗脳"をいとも容易く、破るとは……いや、実際にライトの命令が上回っただけか?それとも、あの"首輪"の効果か……)
「ヨル、今日という今日は逃がしませんよ!」
「ぬぬぬぅ~――」
―――逃れ跳ぶ空蛇
ヨルがライトの視界から消える。
口頭で術が唱えられるが故に、ライトは何を使われたか分かった。
「――待てヨルッ!」
「こういう時には、逃げるが吉じゃよ。狡猾となれ、ライトよっ!」
「だから逃がすかぁ!!」
背後から腹が立つ言葉と共に、扉の閉まる音が聞こえた。
謎の使命感と怒りが、ライトに行動を止める選択を許さない。
「ミスティ!協力して下さい!僕だけじゃ手が足りません!」
「了解致しました。マスターの仰せのままに」
今日は、騒がしくなりそうだ。
◆◇◆
二人は、エントランスへと来ていた。
「ふ~む、気配なしですね……ミスティ、直感で良いので何処に居るか分かりますか?」
「そうですね……マスターの部屋かと」
「じゃ、そうしましょうか。ミスティの勘はよく当たりますし」
(本当によく当たるんですよね……何か僕に見えない力でも見えてるんでしょうか)
ライトは、余りにもよく当たるミスティアナの勘に心底疑問を抱いていた。
賭け事、天気、依頼の良し悪し、人との遭遇、等々何でもかんでもミスティアナに聞くと、言った通りにある程度なるのだ。
感覚としては八割方当たる。
だが、ライトは忘れ、気付いていない。ミスティアナが『未来予知』を出来ることを。
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スキル-未来予知
ランク-S
詳細-所持者の能動的行動時に、その行動の過程又は
結果の未来を意思に関わらず見させる。見える
未来は、確定した未来ではなく可能性の未来で
あり、確実には当たらない。未来に関する情報
を得ている程予知する未来の精度が上がり、見
える未来が増え、更に当たりやすくなる。
系統-未来スキル…No.1
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まあ、所持者の意思に関わらないから仕方ないとも言えるが、チートである。
彼女のステータスを一度見ている筈なのに、頭からすっぽ抜けているライトは、全くそんなことには気づいていないのだ。
と、いう訳でミスティアナ勘(ほぼ確証)を元に、二人は移動をした。
「さて、中に居ますかね」
「恐らくは」
「ミスティ、僕が外したら作戦通り、ディスグレストーンでお願いします」
「はい、マスター」
「じゃ、突撃」
その言葉とは裏腹にとんでもない力でライトは、自室の扉を蹴り壊す。
元に戻せるからと言って、それはどうかと思う。
感じたのは、当然私だけでは無かったようだ。
「別に普通に開けても良かったと思うんじゃがのう」
「何を言ってるんですか?その場合、開けた瞬間に攻撃する気だったのなんて分かり切ってますよ」
「分かっとるではない――っか!」
―――上級杖術:型無き戦刃・降流
「ぐだぐだ無駄話しないでください」
ヨルが喋っている最中に、ライトはいつの間にか取り出した、見たことの無い杖を振り下ろした。
全体が灰色で青色の機械的な筋が通った紅い宝玉を持つ杖。
ま、本編にも後書きにも書いていないので、皆様は知らなくて当然なのだが。
だが、物語の者である彼女らは知っている。
「ちっ『戦列杖 ドレッドノート』か……我が使えぬからと言って、浮気は良くないのではないか?」
華麗に戦列杖を回避したヨルが、真顔でそんなことを言ってくる。
「何処が浮気なんですか、というか武器に浮気の概念とかないでしょ」
《物理戦列・五重》+《黒剛彩王-杖術:天級-剣術・蛇道:上級-悪逆非道-回避錬術-怪力》
―――上級杖術:型無き戦刃・薙流
魔力を籠めた戦列杖が振るわれる。
そこまでは、先程と方向が違うだけで変わらないのだが、その攻撃が――増えたのだ。
元の杖から一撃に加え、全方位から複製された五つの攻撃がヨルを襲う。
「ほいよっと、甘いな」
「素手って、相変わらずの化け物装甲ですね」
「化け物とは言ってくれる――なっ!!」
「バッカ――」
視界がズレ、それとほぼ同時に身体が部屋の壁にぶつかり壊され、吹き飛ばされる感覚がライトを襲う。
足払いの後、身体が空に浮いた一瞬の内に、ヨルはライトを殴り飛ばした。
その威力は凄まじく、ライトの部屋どころか一直線に壁に風穴が空いてしまう。
《未来予知-槍術:神級-電光石火-絶技-天眼-神風-真愛》
―――超級槍術:千撃の流光風閃
「ぬうっ――速いが、我を穿つには少し威力不足じゃな」
主の惨事に目もくれず、ミスティアナはヨルへと剥奪槍を突き出す。
ライトからの命令が最優先の彼女は、ライトに何があろうとも、命令を遂行する。
今は、作戦通りにヨルを攻撃することだけを考えているのである。
「主の心配は良いのか?」
「それが、マスターの命令ですので。……それと、別に威力の高くある必要は無いのです」
「どうしてじゃ?」
剥奪槍と素手の攻防の最中、会話が続く。
「……それは、こう言うことですよ《速度剥奪》《魔力剥奪》《命気剥奪》」
「しまっ」
ミスティアナの言葉に呼応して、剥奪槍がいつもより強く輝く。
目に見えて、ヨルの動きが鈍くなる。
無表情ながらも、彼女の口の端が少し上がった。
ヨルが、大きく腕を払い、ミスティアナと距離を取る。
「成程、考えたものじゃ。ディグレストーンの発動条件は、穂先に触れること。それならば威力は要らないという訳か。我の落ち度じゃな」
「それに、剥奪の効果は一度触れれば、一定時間続く」
「持久戦になれば、我に不利、とな」
ライトが考えたのは、剥奪槍による持久戦で少しずつヨルを削るという作戦。
自分が正面で戦わないという驚きの作戦だが、確実性はかなり高い。
故に、ライトはそれに賭けた。
だが、その程度で勝てる程、蛇の王は弱くない。
「じゃが、まだ足りぬな。一対一では、我には勝てぬぞ?」
―――上級時空魔法:テレポート
《魔法戦列・十重》+《黒剛彩王-虚の理-悪逆非道-聡明-会心》
―――超級死魔法:死鎖陣牢
ヨルの下に赤黒い魔法陣が現れ、同色の鎖がヨルを一瞬にして拘束する。
驚くヨルの、背後にはライトが立っていた。
「油断しちゃ駄目ですよ?最初から二人居るんですから」
「蛇王蛇法で気配を隠して背後に回ったか。それにしても、"死魔法"か、我を殺す気か?」
「それくらいじゃなきゃ、ヨルには勝てません」
「ああ――」
《蛇之覇王-蛇王蛇法-戦威無為-堅牢堅固-神喰-不動-隔絶-破魔》
鎖が元々無かったかのように、瞬時に消えた。
危険を感じ、ライトは距離を取る。
ヨルの身体から、魔力が溢れ出す。明らかな戦闘態勢だ。
「――そうじゃな」
「本当に、化け物ですね……」
ライトは、自分の口の端が引き攣るのを自覚した。
拳が、構えられる。
「今日は、心行くまで戦うとしようか」
「……仕方ありませんね。マジモードっぽいです。ミスティ、こっちも本気で行きますよ」
「はい、マスター」
この日は、館の内部がとんでもなく崩壊したとかしてないとか。
あと……目的変わって無いか?
◆投稿
次の投稿は12/30(金)です。
◆作者の願い
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◆技解説
蛇王蛇法技録
逃れ跳ぶ空蛇 使用者の危険が及ばない範囲まで使用者を転移させる 長距離転移の確率は極稀
魔法技録
超級死魔法:死鎖陣牢 魔法陣から鎖を作り出し対象を拘束する 拘束時確率で即死・スキル封印
◆蛇足
蛇の王「実は本編の進行は、今回で終わりなんじゃよな」
語り部「次、エピローグは3章への繋げだしな。こんな中途半端で良いのか?」
蛇の王「良いんじゃよ、もう出ておるし変えられん」
語り部「そうか……仕方ないな。でさ、部屋壊すのはどうなの?」
蛇の王「直せるから良いのじゃ」
語り部「終わり良ければ全て良しスタイルか、蛇王はいつもそれだ」
蛇の王「それが我じゃ!」
語り部「本当、流石だよ」




