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第90話 戦闘開始

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」



皆が沈黙して状況を見守る。息を潜めてやり過ごそうとする。

西国人…つまりはジェネラル達は、そのまま歩みを進めていく。


だが、皆が居る茂みを通り越した辺りで、ノーランがピタリと止まる。



「ん? どうしたんだよノーランさん」



足を止めた彼に、ルークが反応する。その言葉に反応し、エレンもアクセルも足を止める。



「アクセル」


「ん」



指名したのはアクセル。周囲を見渡しながら、彼を自身の下に呼び寄せる。



「この辺りで展開出来るか?」


「……うん」



展開。何らかの魔術か。指示を受けたアクセルは右手をかざす。



―ブラックホライズン―



すると手に黒いもやのようなものが掛かり、それが地面を這うように広がっていく。

それはイズミたちの足元も通過し、非常に広範囲へ広がって行く。


アクセルは1分ほどその姿勢を維持。その後もやは晴れ、彼はノーランをジロリと見る。



「人間の影が四つ……あと動物か何かかな……それが一つ」


「居るな」


「!!!」



皆、冷や汗が自然に現れる。

息を呑み、自然と同化するかのように身動きを封じ込める。



(索敵系の魔術か! ……だが、正確な位置までは分からねえようだ。つーか、茂みで影なんて出てねえのに……いや、待てよ……)



よくよく自分の足元を見ると、影に濃淡や僅かな自身の影があることに気付くリュウシロウ。



(チッ! これを識別したってのかよ! ……クソが……これがジェネラルか……)



だが、その影が何かであることを正確に掴める分、位置情報の正確性には欠けるようだ。どんな術でも万能ではないのである。



「よし、この辺りをしらみつぶしに探すぞ」


「……いや、ノーランさんよく勘付いたな……なんでここって?」


「はは、伊達にお前達のボスをしてないさ。……フフ」



その瞬間、イズミたちが居る茂みに視線を置いたような素振りを見せるノーラン。



(……ぽん吉?)


「……」



その際、どういう訳かぽん吉が震える。

ひどく怯えているようで、イズミにも不安感が伝わる。



(あの男……)



白丸も、ノーランを訝しげに見つめている様子。

彼女はリュウシロウの裾を引っ張る。



(な、なんだよ! この距離じゃバレる……)


(もうバレてる。どうして他の連中に探させる手間を与えるのかが分からないが……)


(はあ!?)



白丸曰く『バレている』。もちろん冗談には聞こえない上に、冗談を言う場面でもない。



(ならば、大人しく出て事情を話すとするかの?)


(そうだな……話せば分かるかも……)


(ダメだ)



フウマの提案にイズミは乗るのだが、リュウシロウがそれを許さない。

彼が選択したのは……



(奇襲……いけるか?)


(何!? 戦闘は避けたいって話じゃないか!)


(よく考えろ。まず相手は四人、この時点でこっちが不利だ。そんで、ヤツらの目標は俺とお前……目標が二つもそこにあるんだ。話し合いで、はいオッケーなんて無理だろうがよ。そんで連れて行かれた時点でアウトだ。この連中とスザクをまとめて相手取るのは無理だろ。


それならここで先手だ。もうバレてるって話だが、どういう訳か奴さん舐めプしてくれてるみてえだから、ここはそれを有効利用しない手はねえ。だが、こっちは三人……どう奇襲を掛けるかだが……)



皆動きが止まる。無言の了承だろう。ここでフウマが口火を切る。



(ならば、ワシが二人を相手取ろう。今なら、丁度あの頭と思わしき男と長い髪の男が直線状におる。思い切り吹き飛ばしてやれば、分断することも出来るじゃろう)


(分かった! じゃあボクは……茶色の髪の男を倒す!)


(フフフ……ならば妾は、あの生意気そうな女を始末してやろう)


(ひゅー、頼りになるぜみんな! じゃあ善は急げだ。じいさんが派手にぶっ飛ばしたらそれが合図だ!)



そしてフウマ、即座に印を結ぶのだが……



「!?」



同時にノーランが、またしてもこちらを見る素振りをし手を前に差し出した!



(チッ! 印の時点で気付いたか! 構わねえ! じいさんやっちまえ!!!!!)


(分かっとる!! ……忍法)



ー猛勢・波状環!!ー



ゴッッ――――!!!



その場に気で圧縮されたような真円の、巨大な風の壁が現れる!!



「な、なんだぁ!?」



驚くルーク。だがそこはやはりジェネラル、一同すぐさま臨戦態勢を取り手に属性を纏わせる。だがいくら予備動作の多い忍術と言えど先手を取った、また練度の高いフウマの方が僅かに早い。



「……」

「あ……あれ……?」



術の直線状に居たノーランとアクセル。

フウマの波状環に当てられ、衝撃波により奥へ飛ばされる。

だがルーク、エレンがそれをさせまいと動く!



「やらせねえよ!!」



まずルーク。何らかの魔術を使用しようとするが……



ガシッ!



「な!?」


「させん!! お前の相手はこのボクだ!!!」



イズミがルークのかざした腕を握り、自分の下へ引き込む。

だがジェネラルは彼だけではない。今度はエレンが手に水をまとわせ何かをしようとする。



「ざけんなぁぁぁぁ!!」



大きな水玉を発生させ、吹き飛ばされようとするノーランとアクセルの背後にそれを回そうと放つ。受け止める算段か。


しかし、それは果たせない。



バシュッ!!!



「あ゛あ゛!?」



突如水玉が弾ける。何が何やら分からず、青筋を立たせるエレンに立ち塞がるは……



「ククク……貴様の相手は妾だ。軽~く揉んでやるとするかな」



白丸だ。イズミたちが始めて出会った時のような面差し。つまり殺る気満々。


フウマの術に対し、援護がなかったためかノーランとアクセルはそのまま森の奥へと吹き飛ぶ。それを追うフウマ。



「イズミ、白丸よ……頼んだぞい」


「分かってる! じいちゃんも気を付けてくれ!」


「誰にモノを言っている。お主こそくたばらんようにな」



そのままフウマは森の奥へと去る。

その場に残された者達……イズミはルークと、白丸はエレンと対峙。

リュウシロウとぽん吉はその場から離れ、遠巻きに観戦だ。


だが、フウマは何かしら懸念があるようでその表情は暗い。



(ノーランと言ったかあの男……ワシの術をどうにかする手立てがあったような……それでいてあえて何もしなかったような……何を考えておる……?)



さらにこの彼の思考、リュウシロウも何か思うところがあるようだ。



「なあぽん吉、あのノーランってヤツ……」


「ぽ……ぽん」


「だろ? お前もおかしいと思うよな?」



知らない間に、ぽん吉の言葉が少し分かるようになっている彼。



(あの野郎……実は対処出来たんじゃねえか? だが、あえて喰らった感じだ。なーに考えてやがる……)



とここでリュウシロウはぽん吉を見る



「ぽ、ぽん?」


「悪いがぽん吉。じいさんの援護に回ってくれねえか?」


「ぽん――――――――!?」


「……すまねえ」



いきなりの謝罪。ぽん吉の動きが止まる。



「俺には……戦いでみんなを助けてやれる何かがねえ。せいぜい思いついた浅知恵を披露するだけなんだよ。お前自身が危険なのは分かってる。でもよ……お前にしか頼めねえんだ……」


「……」



するとぽん吉、直ちにフウマの向かった方角へ走り出す。

リュウシロウの気持ちに気付いたようだ。勇ましい面差しで駆けて行った。



「悪いなぽん吉……まったく歯がゆいぜ……クソッ」



ただただ悔しい。戦闘となれば、全く役に立たないことを自覚している彼だけに、いざその場面が訪れた時の絶望感はとてつもなく大きい。何せ事前に対処出来るものでもなく、その時が来れば自身は引っ込むしかないのだから。



(どこまで力があるかは知らねえけど、チョウジ戦を見た限りぽん吉も立派な戦力だ。頼むぜ……俺の杞憂ならいいんだが、もしもがあればじいさんを助けてやってくれ……)



リュウシロウの不安を余所に、ジェネラルとの戦闘の火蓋が切って落とされる。

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