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第80話 作戦会議

「よし、集まったか?」


「いつでもいいぞ!」

「ぽーん♪」

「どんとカムヒアーですヨ!」

「うむ」

「まーた長話になりそうじゃの」

「僕も聞かせてもらおうかな。あ、母屋で何かあったらすぐ連絡は付くようにしてありますから」

「またリュウシロウの切れ者ぶりが見れるなんて、妾幸せ……」



何時の間にか随分と大所帯になったものである。

リュウシロウの一言を皮切りに話し合いが行われる。



「まずは明日の予定なんだが……」


「行くんだろ? すずな町に」



これまでずっと落ち込んでいたイズミ。すでに心は晴れ、完全にいつもの彼女に戻っている。もちろんリュウシロウからすれば『?』でしかない。



(……なんだコイツ? 落ち込んだり元気になったり……ま、いっか。何があったか知らねえけど吹っ切れた感あるぜ)



だが、特に細かいことは聞かない。イズミが元通りになればそれでいいのだ。

彼は続ける。



「俺なりに考えたんだけどよ、ここでチーム分けをしたいと思う」


「チーム……ですカ?」



皆予想外だったのだろう。当然、皆ですずな町へ向かうのかと思いきやまさかチーム分け。

トムのオウム返しにリュウシロウは答える。



「ごぎょうを叩くなら今だ。何せハフクとゲンゾウはすずな町へ進行中、呼び寄せた西国人たちの動きが今ひとつ分からねえけど、すでにごぎょうを起ってるならあの腐れ神社のまともな戦力はスザクのアホだけだぜ。


となりゃ、上手く西国人たちを躱せばスザクと一騎打ちに持っていける。かと言って、一揆の本拠も放っておけねえ。だがバカ姉と弟はまず間違いなく急いでねえから、こっちが急げばすずな町の校外で迎え撃つことが出来る」


「それはそうだが……こちらの戦力でどうにかなるものなのか? たしかハクフとゲンゾウとやらは二文字。こちらは……」



ゴウダイの疑問は当然なのだが、彼はトムがすでに二文字になっていることを知らない。よって……



「そこはクリアだ。何せトムは二文字なんだからな」


「な、な、何!?」


「あ、イヤー、そのー……」



トムは少々恥ずかしそうだ。するとゴウダイはトムの間近にやって来る。



「そうか! おめでとうトム! 俺も負けていられんな! 必ずその域にたどり着いてみせるぞ!」



その面差しに妬みや悔恨(かいこん)は一切見られない。トムを真っ直ぐ見つめ、笑顔で祝福する。



「ゴ、ゴウダイサン……ありがとうゴザイマス!」


(ゴウダイ……お前は本当に、強さに真っ直ぐなんだな。自分が恥ずかしいや……)



礼を言うトムに、それを見た思うところのあるイズミ。



「つーことで!」



良い雰囲気もひとしお、リュウシロウが空気を変える。



「Aチームはゴウダイとトム。Bチームはそれ以外だ!」



一同、時が止まる。



「リュウシロウ君……それはちょっと大胆過ぎるかな? ごぎょうの二人の戦力は……」


「いや、いけるかもしれんぞい!」



テツがやんわりと否定しかかったところに、フウマが被せる。何か気付いたようだ。



「坊主……お主、一揆の戦力も拝借する気じゃの? トムに先行させる作戦か」


「さっすがじいさん、ご名答。風忍術でしかも二文字のトムなら、ここからすずな町まで一日も掛からねえだろ。先行して事態を伝えて、すずな町の校外でゴウダイと落ち合った上で迎え撃てばいい。


何せ一揆にゃ番衆が三人、ゴウダイが合わさって四人、さらに二文字のトムが居りゃどうあがいても勝てるぜ」


「なるほど……トムさんの力が……」



足の速いトムが、二人のきょうだいの進行を追い抜いた上で一揆に報告。万全の体勢で迎え撃てるようにするわけだ。テツも納得したようだ。



「そんなに急がなくてもいいんじゃないのか? ごぎょうからすずな町までめちゃくちゃ掛かるんだよな?」


「まあな。だが、アイツらの気が変わらねえって保障もねえしな。ハクフの忍術だと、風忍術ほどじゃねえけど加速される可能性もある。トムの足はその保険だ。で、ゴウダイの話の流れからすりゃ、加速されても間に合うぜ」



トムを抜擢したのは、二文字という戦力のみならず『足の速さ』にも期待してのこと。もしリュウシロウの言うとおり二人が……特にハクフが忍術を使い速度を早めたとしても、それを上回るという二段構えの算段。


ただイズミ、その返答に対しさらに疑問を抱く。



「そういや、そのごぎょうの二人はどんな忍術を使うんだ?」


「そういや言ってなかったな。じゃあ事前知識っつーことで説明しとく。ハクフは猟獣忍術。いつぞやにぽん吉が獣忍術使ったろ? アレの二文字版だ。で、ゲンゾウは塵土(じんど)忍術。イズミがチョウジと戦った時に土刻流とか使ってきたろ? それの上位忍術だ。


で、なんで俺がそんなことを知ってるのかって質問はナシだ。アイツらぶっ殺すためならなんでもやるってのが答えってことにしとけ。最近ようやく隙を見せ始めたからな……」



冗長にする気はないのか、次から次へと要点だけを話していくリュウシロウ。

すると白丸がいつものように羽根をパタパタとしながら彼に近付く。



「わ、妾たちは『その他』なの……? たしかに妾はトーフにも……」


「トムですヨ。豆製品じゃナイんですカラ」


「トムにもフウマにも負けたから役立たずなの……? くすん」



しょんぼりする白丸。

しかしリュウシロウはここで苦笑い。



「バカ言ってんじゃねえ。Bチームの方がヤベーんだぜ? 何せAチームはトムが一揆に駆け込めば勝ち確だ。だが俺たちは、スザクを相手にするんだからな」


「うん? スザクの情報はないのか?」


「……無いんだよ。あのヤロウだけは隙を見せねえ。二文字なのは間違いないが、属性が炎ってだけで何の忍術を使うのかすら分からねえんだよ」



イズミはスザクの情報について問う。

だが腕利きの周旋屋、リュウシロウでもほとんど把握出来ていないようだ。



「?? 二文字ってひとつだけじゃないのか?」


「今それ聞くなよ……一文字は火とか風とか水とかひとつだけだが、二文字はいくつかあるんだよ。じいさんが疾風忍術だろ? そんでトムが烈風忍術だ。それで理解しろ」


「そ、そうか。力忍術にもいくつかあるのかぁ? うふふ」



脱線。イズミ、本当にいつも通りになったようだ。

リュウシロウは続ける。



「しかも、必ず西国人を躱せる保障もねえ。遭遇戦の可能性もあるだろうし、下手すりゃまだ腐れ神社に居る可能性だってある。そのために、こっちにゃじいさんと白丸を残しておきたかったんだよ……はっ!?」


「そうだったの~~!? じゃあ妾頑張るー♪」



自分が戦力になる、頼りになると分かった瞬間、上機嫌になる白丸。

だがリュウシロウ、話し終わった後で重大なことに気付いてしまった様子。おそるおそるイズミに視線を置く。



「ん? 別に気にしてないぞ? ボクはまだ弱いが、強くなればいいだけのことだ! なあゴウダイ!」


「うむ! そのとおりだ! ……やはり勇ましいイズミの方が美しげふんごふんはふん」



どうやらリュウシロウ、残しておきたかったメンバーにイズミを入れていなかったことに気付いたようだ。しかし彼女はもう大丈夫そうである。



「ホッ……まあそういうこった。じいさん、悪いけど……」


「ふぇっふぇっふぇ。任せておくがよい。ここで近頃の失態を取り返さんとのう」



ここでリュウシロウ、地図を取り出す。



「そんで次。見てのとおりだが、はこべらからごぎょうまではパンピーの徒歩で十日、すずな町までは二十日だ。Bチームは俺がいるおかげで、パンピーのそれと速度が変わらねえ」


「おかげって何だ……」



イズミの冷静な突っ込みにリュウシロウは無視を決め込む。



「だが、Aチームのトムは二十日掛かるところでも一日掛からねえ。ゴウダイも全力で二日か三日ってところだよな? つまり、Aチームがすずな町で万全の体勢を喫して、クソカス二人組を迎え撃つのに四日か五日ってところだろ。一揆への報告や準備、迎え撃つための移動なんかもあるからな。


そんでクソカス二人組をぶっ殺してからごぎょうに向かえば、全部で丁度十日くらいになるんじゃねえか? あくまで最短だけどな」


「なる……ホド……Bチームの不測の事態ニモ、我々が対応出来るってコトですか……」


「そ、そこまで考えているのか……」


「……お主、一揆に来ぬか? 軍師として雇うぞい?」



トム、ゴウダイ、フウマ舌を巻く。

フウマの誘いも無視し、リュウシロウはニヤリ。



「ま、とりあえず明日の流れは以上……かーらーの!」



まだ何かある様子。

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