第九話 古き世を新しく
正明「…未来連邦だと?」
岡田「未来軍将校並びに防衛大臣も推奨しています。」
正明「今や権力を失いつつある国際連合を解散させ、新たな枠組みを作る…日・独・英・米・伊の五カ国を筆頭に…」
岡田「いかがでしょう?早速国連本部へ…」
正明「ならん!こんなことは断じてするものか!また我が祖国を打ち壊す気か!?」
岡田「滅相もございません!これは新たな歴史を踏み出す機会なのです!」
正明「WW2の時…我が祖国はアジア人解放のため大陸を横断した。だがそれは侵略と同じようなものだった!分からんのか!?お前らがやろうとしてる事は、あの時の軍人と同じだ!」
岡田「で、ですが…」
正明「いいから出ていけ!二度とその話は…うっ…ゲホゲホ…」
岡田「総理!余りもう…」
正明「良い…もう良いのだ。」
未来党 第一会議室
田中「もうそろそろ選挙だな。」
増原「ああ…もう私たちも歳だ。そろそろ若人に後を頼もう。」
森戸「しかしですなあ。まずは衆議院戦に勝たなければ…」
芦田「その前に、総裁選があるだろう。」
木村「そうか!もうその時期か…」
鈴木「しかし、総理にはもう成人した子がいる。」
一松「だが、あの人に政治は任せられん。御子息は親の七光りだぞ。」
西尾「まあ良い。ともかく、仕事に移ろう。」
川田「み、みなさま…今すぐ執務室に来てください…!」
芦田「専属秘書の…いかがなされましたか。」
川田「将軍様が…将軍様が、ご逝去なされました…」
数日後
一松「これで総裁選は前倒しが確定か。」
森戸「御子息は行方不明…果てには安岡の本家はもう子がいない…」
増原「安岡の血は途絶える…ということか。」
木村「いや、そんな事はない。将軍様には御子息の他に養子がいる。しかも、長野県支部長のな。」
長野県 未来党長野支部
支部長 入江雅明
「未来軍及び未来党の総裁に…私が…!?」
木村「はい。党本部全会一致で決まりました。」
入江「しかし…私にはそんな事できませんよ。貴方がたの誰かが…」
木村「しかしながら。初代総合将軍の遺言によればこれは代々世襲もしくは入江家にお願いするといった形になってます。」
入江「その時が来たというのか。」
木村「支部長。ご決断を。」
入江「…わかった。ただし、私のやるようにやる。異論はないな?」
木村「畏まりました」
数日後 未来党党大会
3代目総裁就任式
入江「この度、先代総裁の後任を任されました。入江雅明でございます。私のような青二才が、どこまで力を発揮できるかわかりませんが是非、皆様もお力をお貸しください。」
議員「オー!」
入江「やれやれ。総裁というのも大変だな。」
田中「総裁。就任早々ですが、この後はすぐ内閣総理大臣の就任式であります。」
入江「ああ、そうか。行くとしよう。」
衆議院本会議場
衆議院議長 新井正和
「入江雅明君を内閣総理大臣に任命いたします。」
入江「よし、やるとするか。組閣を…そうだな。若い人材と女性も半分ほど…残りは老骨を使うか…」
数日後の内閣就任式にて
キャスター「本日ここに、入江雅明氏を筆頭する新たな内閣が誕生いたしました。顔ぶれは以下のようになっています。内閣総理大臣に入江雅明氏、副総理大臣には日本初となる女性副総理として新人の川田茜音氏、法務大臣には新人で25歳の石岡淳史氏、外務大臣には新人でこちらも女性初の藤村由美氏、大蔵大臣には新人の堺和氏、文部大臣には女性初の天音凛氏、厚生兼農林大臣には前文部大臣の森戸辰男氏、運輸大臣には女性初の大塚こころ氏労働大臣には前外務大臣の芦田均氏。以上の内閣となっております。また、入江総理は組閣後、アメリカ大統領ドワイト・デイビッド・アイゼンハワー大統領と電話会談し、両国の更なる繁栄と栄光を願うと話しました。」
入江「さて…国民には親近感がかなり築けたな。私が総理になった真の理由…未来連邦への第一歩だ。」