第十六話 我らは官軍にして官軍にあらず
未来党総裁選が繰り広げられていた時 アメリカでは…
アメリカ合衆国 ホワイトハウス
合衆国50代目大統領
アンドリュー・ベクソン
「さて諸君。最近の日本は劇的な発展を遂げている。このままでは、いずれ先の大戦と同じことが起きてしまうだろう。」
国防長官
ハリス・マッケンニー
「最新の調査によると、現在与党の未来党は既に海軍部を設立したと報告があります。」
アンドリュー「しかし、それはまだ自衛の範囲内だ。私が恐れるのは表立っている軍のことではない。先ほど、陸軍大将のマークから電報が入った。日本は何か公にしていない軍部がある。」
東京 霞ヶ関
入江「横浜にいる海軍部から連絡があった。近くアメリカ国防長官が来るらしい。」
芦田「事前の連絡も無しにですか。こっちは総裁選が終わったばかりだというのに。」
入江「幸にも、任期期間内に終わったのがよかった。余裕があるな。」
森戸「まさか、ドイツとの秘密裏にしている協定がバレたのでは?」
堺「まさか。アレを知られたらアメリカはまた戦力を向けてくるぞ。」
入江「とにかく、今は時間がない。未来軍もまだ実用過程に過ぎないぞ。」
森戸「海軍部は既に役割を果たしています。陸軍部もアメリカが撤退するとなれば国民の人気も得られるでしょう。」
「失礼します。陸軍将校の天道ハジメ様がお越しに…」
入江「ほう。良いタイミングに来てくれた。」
天道「失礼します。総理、陸軍についてなのですが…」
入江「何か頼みたいことが?」
天道「参謀長官に、川崎バッハ及び春馬鶴子の二名を選出したいと思う所存です。」
入江「成程…ふむ、この二人には期待がある。よかろう、やってみっせたまえ。」
天道「ありがとうございます。」
堺「しかし、もし仮にドイツとの協定がバレたらどうしますか?“彼ら”もまだあまり身軽な行動は出来ませんし…」
森戸「そもそも、この計画は我が未来軍の技術部ですら困難をきたしています。あまりにも無謀では…」
入江「安心しろ、私の後継にはもう話してある。入江家が政治一家、いや。この日本を引っ張る偉大なる血族になるためなのだ…待っているがいいさ。」
東ドイツ ベルリン
特別政治治安特区
「ナチの残党がここに固まっていたとはな…よくもまあ耐えたものだ。」
「我らが総統は死んではおらぬ。これは総統閣下の最後の計画なのだ。」
「フレンスブルク政府の重鎮は、今もまだ夢を見るのか?デーニッツ大統領…」
ナチス最後の政府大統領 カール・デーニッツ
「未来軍の後継がこんな所に居るのがバレたらどうするのです?」
入江雅明3代目未来軍将軍の息子 入江翔魔
「バカを言うな…どの道私は、じきに4代目になる。その時にこそ、未来軍を動かして、ソ連を討つ。」
デーニッツ「分かりました。よろしくお願いしますよ…」