第十五話 未来を賭けた総裁選
「未来党の総裁選が、いよいよ明日から始まります。世論調査によりますと、現職の入江雅明氏が支持率70%と圧倒的な優勢。対する安岡千紘氏は、20%となっておりかなり不利だと思われます。」
未来党 総裁室
入江「千紘の敗北は、決まったとでも言っておくか。」
芦田「今頃、千紘さんは悔しがっているでしょう。祝杯をあげますか?」
森戸「おいおい。まだ投票が終わったわけじゃないんだぞ?」
堺「前祝いという事にでもしますか。ハハハ…」
議員宿舎 千紘議員室
千紘「クソッ!入江め…汚い手を使いやがったな!」
天音「落ち着いてください。まだ、相手が勝つと決まってはいません。」
藤村「しかし…世論は許さないでしょう。入江派は未来党最大派閥です。与党議員の過半数も入江派ですから。不信任を出されたらひとたまりもありません。」
大塚「その時は、我々が未来党から分裂すればいいのでは?野党を吸収すればかなりの戦力になります。」
石岡「だめだ。それでまた巨大な連合内閣になれば結局何も決まらないだろう。」
千紘「ともかく…明日にかけるしかないな…」
その夜 総裁室にて
「以上が千紘派で行われた会議内容です。」
入江「ご苦労だった。あともう一踏ん張り頼むぞ。」
「お任せください。全ては正しき未来のために。」
翌日 総裁選結果発表
「それでは。結果をお伝えします。入江君、800票。千紘君、200票。よって、入江君を総裁に決定いたします。」
入江「ふう…勝てたかてた。」
「おめでとうございます総裁!」
入江「はは。まあね。」
千紘「クソ!俺は認めないぞ!お前はいずれ世界を滅ぼす悪魔となるくせに!!」
入江「おい。誰か千紘君を休ませてやれ。」
「総裁。例のプロジェクトが完成間際だと報告が。」
入江「!そうか。さて諸君、私は少し外させてもらうよ。」
未来党本部 地下実験場
未来軍薬剤研究局長 Dr.アンノウン
「総裁継続、おめでとうございます…」
入江「御託はいい。例の新型薬はできたのか。」
アンノウン「はい…こちらがそうです。特殊なワクチンを撃たない限り防げない新型感染薬…ご要望どうり、女性には感染しないようにしましたよ…」
入江「それで良いのだ。この世の男性は身勝手で強欲。なら、女性は?温厚で扱いやすい…これに越したことはない。」
アンノウン「さよう…して、いつ使われますかな?」
入江「そうだな…しばらくは君が持っていたまえ。」
アンノウン「かしこまりました…」
「総裁。ご子息が待機室でお待ちです。」
入江「わかった。すぐに行こう。」